目次

  1. ゴム製品の金型、図面なく最終製品から逆算
  2. 「家業を出たい」インテリアで起業も考えた
  3. 「ダメ出し」の末、自治体の制度を活用しデザインフィー無料
  4. コンパクトでシンプルなギフト商品へ
  5. 台湾でデザイン賞を獲得 通算2万個以上売れる
  6. 技術・品質・エンゲージメントがアップする効果も

 石井精工は旋盤工であった石井さんの祖父、石井利之さんが1959年に創業しました。当初は金属部品の加工を手がけていましたが、数年後にプラスチック製品の金型製造に、その後はゴム製品金型にも着手するようになり、現在ではゴム製品金型の設計・製造がメインとなっています。

 「葛飾区や墨田区は、ゴム製品を手がける町工場が多い地域でした。そのためゴム製品の金型を手がけてみてはどうか、と声をかけられたのがきっかけだと聞いています」

 金型の依頼は部品加工とは異なり、図面を渡されることはほとんどありません。最終的な製品の図面から逆算して、どのような金型を作ればよいのか、設計スキルが求められます。加えて、設計どおりに加工する技術も求められます。

ダクトホースなど自動車関連部品の金型が7割を占める

 言葉や図面では表すことが難しい、いわゆる職人の経験値や技術力といった、このようなスキルやノウハウこそ石井精工の強みだと、石井さんは言います。

 顧客のクライアントであるメーカーともやり取りするなどして、存在感を発揮。北は東北から南は九州まで、自動車の部品メーカーを中心に、多くの顧客とやり取りしています。

 石井さんは大学卒業後、自動車エンジンのアルミダイキャスト製品を手がける、業界トップクラスの企業に就職。営業マンとして大手自動車メーカーに出入りする日々を過ごします。

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