目次

  1. 間伐材を使ったボードを開発
  2. 創業者が亡くなり2代目に
  3. リーダーでなくプレーヤーだった
  4. 理念やビジョンに向き合う
  5. 大半の社員が会社に残る
  6. 理念とビジョンを実践
  7. 自治体からのニーズも高まる
  8. 同じビジョンを描けるか
  9. 理念経営をぶれずに実践

 企業経営の根幹にあるのは「創業者の志」になります。それは壮大で、簡単に実現できないものばかりです。その志をわが事として受け継ぎ、実現に近づけるのが後継者の役目です。今回は創業者の志を受け継ぎ、間伐材の有効活用に挑むエスウッド2代目社長・長田剛和さん(42)を紹介します。

 エスウッドは1999年、先代の角田惇さんが「環境問題に人生をかけて取り組む」と決意し、立ち上げました。現在の年商は約1億5千万円、年間納入件数は大小300件程度になります。

 立ち上げ当時の材木市場は大量生産・大量消費が当たり前。使えない間伐材や小径材は放置され、山は荒れる一方でした。間伐材や小径材にも木の良さがあります。それを生かすため、角田さんはこれまでになかった「国産材ストランドボード」の開発に挑みました。

間伐材などをシート状に加工してストランドボードを生み出しています

 ストランドボードはヒノキやスギなどの間伐材を細かい削片(ストランド)に加工し、「ノンゲル」というユニークなのりで板状に成型した建材です。繊細で品のあるテクスチャー(意匠)、そして人と環境に優しいという特徴があります。

 主に内装材や家具材に使われ、岐阜市の中央図書館「みんなの森ぎふメディアコスモス」や、東京大学、京都外国語大学などの公共施設にも採用されています。

エスウッドのストランドボードは「ぎふメディアコスモス」など多くの公共施設に使われています

 エスウッドを2代目として引っ張るのが従業員出身の長田さんです。2016年、志半ばで永眠した角田さんに代わり、経営トップになりました。しかし、長田さんの挑戦は波乱に満ちたものでした。

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