目次

  1. 採用力を構成する要素、5つに分解
  2. 生産性を高めるために成果が高まる構造に理解が大切
  3. 欲しい人材のイメージが社内でバラバラにならないためのフレーム
  4. 採用したい人に向けて出すメッセージを作り方
  5. 「中サミ2022」勉強会を開催
  6. 「中サミ2023」、7月に開催決定

 青田さんは講演で「そもそも採用力とは何によって構成されているのか」として、採用力を構成する要素を5つに分解して解説しました。

  1. 採用ブランド......専門家をつけて一定の予算を投じる必要があり中小企業は活用が難しい
  2. 採用予算......中小企業でも戦略的に投資できるが少額では効果を生みにくく、やるからには大胆に投資する必要がある
  3. 採用にかかる工数......現場や経営陣のリソースを有効活用できるよう採用担当者のサポートが必要
  4. 生産性......採用活動の基本的なフレームを学んで社員に無駄なことをさせないためにKGIとKPIと活動の関係性の正しい理解が必要
  5. 道具・技術......採用活動をうまく運営していくためにフォーマットやツールも最大限活用する必要がある

 5つの要素のうち、「採用ブランド」や「採用予算」は短期的な取り組みでは効果が見えにくく、中小企業のがんばりどころとして「生産性」と「道具・技術」を紹介しました。

 そこで、講演では「生産性」と「道具・技術」について重点的に話しました。青田さんは 生産性を高めるための採用活動の基本的なフレームを紹介しました。

 「いい採用活動」とは以下の5つの要素を満たすことにあります。

  1. 「最適な質(人材レベル)で」
  2. 「必要な人数を」
  3. 「タイムリーに」
  4. 「より安く」
  5. 「より生産性高く」

 いい採用活動を実現するには、KGI(GOALを数値で表したもの) -KFS(採用成功のカギとなる要素)-KPI(KFSを数値で表したもの)をきちんと整理することが大事だと青田さんは話します。

青田努さんが解説するKGI-KFS-KPI活動

 「採用活動をがんばっているのに成果がでない」を避けるには、成果が高まる構造を理解し、採用担当者として、どの活動が何に効くかを意図しながら設計する必要があると指摘しています。

 採用活動の課題として、人材要件がうまく設計されていないことがあります。たとえば 「コミュニケーション能力が高い人」という採用条件でも、社員によって定義がバラバラで抽象度の高い採用条件を言語化できないまま募集してしまっている場合があるといいます。

 そこで、人材要件は、以下のフレームにきちんと当てはめて考えることが必要です。

  • 業務をしてほしいか・自社のカルチャー
  • 必要なもの
  • 期待行動
  • ジャッジ方法

 たとえば、具体的な業務ごとにどんなことをして欲しいのか、それができる人というのは 仕事でどういった行動・言動になるのかという「期待行動」を設定し、これを丁寧に一個一個書き出して、関係者で認識のすりあわせが大事だと青田さんは話しました。そして、人材要件を測るためにどうやって計測するのか(ジャッジ方法)も決める必要があると紹介しました。

青田努さんが解説するKGIからひもといた採用活動

 さいごに「ターゲットに振り向いてもらうためのフレーム」として採用におけるメッセージ設計の鉄則を紹介。ホームページや求人広告、人材紹介会社を通じて募集する場合など、ターゲットに対して五つのフレームを踏まえてメッセージを設計していく必要があると話し ました。

  1. 誰に興味を持ってもらいたいのかを整理する(スキル、経験、属性、今どの会社でどういった仕事をしている人なのかなど)
  2. 求職者インサイトを明確にする(採用ターゲットの人が何に悩んでいて、どういった点に魅力を感じてくれやすいのか)
  3. 求職者のインサイトに基づいて自社が提供できるベネフィットを示す(自社で働くことで悩みを解決できる)
  4. ベネフィットにリアリティを持たせるファクトを伝える
  5. どのような場でどのような言葉で伝えたら効果的に伝わるのかを考える

 これに加えて内定辞退されないよう、すぐできる工夫の一例として、一人一人の内定者用に「○○さんと働きたい理由」というように自社から期待する役割、期待値を盛り込んだ「オファースライド」を丁寧に作成し、伝えることを提案しました。

 ツギノジダイでは23年2月7日、「中サミ」の講演をもとに中小企業の採用力を高める勉強会を、東京都中央区築地の朝日新聞東京本社で開催します。

 LINEの青田努さんの講演「採用に強い中小企業は何をしているか」をもとに、グループワークを開催。参加者同士で「自社ができること」を振り返り、気づきをシェアします。

 詳しくは下記のリンクをご覧ください。

 2023年7月には第2回目となる「日本を変える中小企業リーダーズサミット 2023夏(仮)」の開催が決定しました。

 次回は3日間の開催を予定しています。第1回でフォーカスしたDXや人材獲得、売上向上、トレンドに加え、新規事業開発、働く環境の改善、販路拡大など中小企業の成長を後押しする講演を充実させる予定です。詳しい内容は、後日公表します。