目次

  1. 農作物被害に除雪作業……”厄介者”の雪の使い道は
  2. 「雪中モノしかない」感覚のギャップに注目
  3. 初年度の試験販売から即完売
  4. 「不要なもの」だった雪 見方を変えると地域資源

 湯沢市は雪の多い秋田県内の中でも特に降雪が多く、多いときは2mを超える積雪にもなります。

 夏場の大雨や大地震といった自然災害も少ないため、地元住民は「雪さえなければ湯沢市は住みやすくてとてもいいところ」という言葉をよく口にします。豪雪地帯の中でも特に雪の多い地域として国から「特別豪雪地帯」に指定されている湯沢市で、2020-2021年の「令和3年豪雪」は、特に近年まれにみる大雪と、それによる甚大な「雪害」をもたらしました。

 市内では、降り積もった雪の重みによる家屋倒壊が相次いだほか、湯沢市の主力産品であるりんごの樹木の枝折れや、ビニールハウスの倒壊も相次ぎ、農業への大きな被害が生じました。

 このように毎年地元住民を苦しめる雪を「黙っていても降る雪を使って、何か利益の出るような取り組みはできないだろうか」と、農業などにたずさわる若手事業者が2021年2月にゆざわ-Bizに訪れました。

 筆者は雪のない地域で育ち、大人になってからも湯沢市に来るまでは雪国に住んだことはありませんでした。豪雪地帯に住む人たちにとっては、確かに雪は「厄介者」ですが、雪の降らない地域の人たちにとっては、雪がもたらす景色は時に美しく、非日常を味わえるものです。

 雪が日常的でない地域の人たちが持つ、この雪に対する非日常感と憧れという感覚のギャップを利用し、雪そのものを、地域ブランディングをする際の材料として使えないかと筆者は考えたのです。

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