目次

  1. 泡盛の廃水処理をDX化で支援
  2. 持続可能なビジネスモデル、地域産業にも
  3. 「稼ぐ力」が文化継承につながる

 小渡さんが新規事業に取り組む上で心掛けているのは、沖縄の地域性を最大限に活かし、テクノロジーの力で循環型経済を実現すること。その一例が、科学技術を活用した、泡盛の製造過程で生まれる廃水を処理する装置のDX化です。

 沖縄特産の蒸留酒、泡盛の年間生産量は12000キロリットル以上(2020年、沖縄県酒造組合)。泡盛は米を原料に、黒麹菌と酵母で発酵させたもろみを蒸留して製造します。製造工程で大量に発生する廃水やもろみはサトウキビ畑に撒くなどして処理していましたが、人件費の高騰などの課題がありました。

 琉球王朝から続く歴史と、地理や気象条件が合わさって独自の文化を築いてきた沖縄。北部の恩納村には、沖縄科学技術大学院大学(OIST)があります。

 OISTは、2012年に開設された博士課程のみの5年生大学院で、2019年には質の高い論文を発表した研究機関ランキングで、東京大学(40位)、京都大学(59位)を上回る9位に選ばれました(英科学誌「ネイチャーインデックス2019」)。

 そこで小渡さんは、okicomとして初発のスタートアップ「Watasumi(わたすみ)」との連携をスタート。Watasumiは2021年に、OISTで研究者をしていた米国人研究者のデヴィッド・シンプソン氏が創業しました。食品や飲料系の企業廃水を微生物によって浄化する廃水処理装置を開発しています。

Watasumiの排水処理装置とokicomの社員。左から二番目がCEOのシンプソン氏、その右隣がokicom代表取締役社長(okicom提供)

 創業者のシンプソン氏は「飲食産業は、文化や伝統を次の世代に繋いでいく役割を担っています。我々の技術で、沖縄の中小飲食料メーカーが持続可能なビジネスを実現できるように貢献したい」と意気込みを語ります。

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