目次

  1. 農場・直売所・カフェが集結 何十年と続く店へ
  2. BASEL、スイスで修行した父親が創業
  3. 「ボロいよね」 継ぎたいと思わなかった
  4. 商品ではなく「オペレーション」で差をつける
  5. レシピや技術ではなく“アイデア”が大事
  6. 「従業員が全員入れ替わらないと自分の経営はできない」
  7. フランスやイタリアの田舎のお店が手本
  8. 企業理念、テーマは「愛」 
  9. ケーキ屋だと思っていない チキンカレーも評判
  10. ブランディングは醸成されるもの

 今回、取材で訪れたのは、東京都八王子市小比企町で2022年10月にオープンしたばかりの「TOKYO FARM VILLAGE(トウキョウ・ファーム・ヴィレッジ)」内にある「FARM BASEL」。 渡辺さんが目指す、フランスやイタリアの田舎にある農場と直売所、カフェ、レストランが一体化したお店を再現しました。

店の前には芝生の広場があり牧場、農場が隣接する

 この場所では70年以上前から、酪農を営む磯沼ミルクファーム、江戸時代より農業を手がけていた中西ファームが共同で事業を展開しています。以前からこの地を気に入っていた、自分の理想とする店に最適だと考えていた渡辺さんは、10年ほど前より一緒に店をやらないかとオファーし、実現したものです。

ケーキのほか牛乳や地場野菜なども扱っている店内

 この場所であれば、海外で長く続く店のように、何十年と続く店になるだろう。いずれは海外の店がそうであるように、自分ではなく、今働いているスタッフ、もしくはその子どもが後を継いでくれる。そんな思いを込めて店をオープンさせました。

 そもそもBASELは1969年、スイス・バーゼルのお菓子学校で修行を積んだ渡辺さんの父、渡辺圭造さんが、雰囲気がバーゼル地方に似ているからと八王子を選び、創業しました。

 7人の兄弟の多くが実業家であるなど、経営者タイプであった父親は、その後はケーキ店だけでなく、レストラン、宿泊施設など。渡辺さんとも合わせると、60以上もの店舗を手がけます。

 現在は八王子周辺に13店舗を集約し、ケーキ、パン、焼き菓子、キッシュやグラタン、カレーやパスタといったデリカテッセンのほか、センスのよい皿や小物などの雑貨なども扱っています。

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