不正アクセスによるECサイトの閉鎖、売上高の平均損失は5700万円
ECサイトへの不正アクセスが増えるなか、ECサイトの閉鎖期間における売上高の平均損失額が1社あたり約5700万円、事故対応費用の平均額が約2400万円に上ることが、情報処理推進機構(IPA)などのまとめでわかりました。IPAは「ECサイト構築・運用セキュリティガイドライン」を公開し、経営者らに対策を呼びかけています。
ECサイトへの不正アクセスが増えるなか、ECサイトの閉鎖期間における売上高の平均損失額が1社あたり約5700万円、事故対応費用の平均額が約2400万円に上ることが、情報処理推進機構(IPA)などのまとめでわかりました。IPAは「ECサイト構築・運用セキュリティガイドライン」を公開し、経営者らに対策を呼びかけています。
目次
日本クレジット協会によると、2021年の国内発行クレジットカードの年間不正利用被害総額は約330億円。2016年よりも2倍以上に増えています。
2021年の年間不正利用被害総額のうち、94%はクレジットカード番号盗用による被害で、ECサイトへのサイバー攻撃などによりサイバー攻撃者が入手したクレジットカード情報が不正利用されています。
個人情報保護委員会が実施した「ECサイトへの不正アクセスに関する実態調査」(従業者数500人以下の44社を対象とした場合の集計結果)によると、ECサイトの閉鎖期間における売上高の平均損失額は約5700万円に上るといいます。
これとは別に、IPAの調査では、事故対応費用の平均額は約2400万円に上ったといいます。約3000件の顧客情報が漏洩した企業の事故対応費用の例です。
カードの不正利用被害補償額・再発行手数料……250万円
フォレンジック調査費用……170万円
コールセンター設置費用……75万円
DM発送費用……25万円
その他費用……80万円
合計……600万円
約1万件の顧客情報が漏洩した企業の事故対応費用の例です。
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カードの不正利用被害補償額・再発行手数料……2,800万円
フォレンジック調査費用・コールセンター設置費用・その他……7000万円
合計……9800万円
ECサイトのサイバー被害の発生原因の多くが、最新版にアップデートしていないと設定の不備によるものだとして、IPAは次のように指摘しています。
「ECサイトを構築する際に集客や売上を考えることはもちろん必要ですが、セキュリティ対策を併せて考えることが必須である(対策しないと事故に遭う)という意識を持つことが重要です」
また、IPAの調査では、被害を受けた20のEC サイトの90%が、自社による保守または、外部委託先との運用時のセキュリティ対策を実施していないことが分かりました。
継続的なセキュリティ対策が実施できない理由として、次のような意見があったといいます。
サイバー被害が起きると、EC サイトの閉鎖や事業の停止に追い込まれます。個人情報保護委員会によると、不正アクセスを受けたECサイトの運営事業者の14%がECサイトの再開を断念し、閉鎖が続いているといいます。
また、IPAの調査では、サイバー被害から1年半以上経ってもECサイト経由での売上高が、被害前の売上高の半分以下となった事業者もあるといいます。
EC サイトのサイバー被害が発生した原因としては、次のような回答が寄せられました。
ECサイトへのサイバー攻撃が増え続けるなか、IPAは公式サイトで「ECサイト構築・運用セキュリティガイドライン」を公開し、現場担当者だけでなく、経営者らにも次のような対策を呼びかけています。
そのうえで、経営者が現場担当者に以下の取り組みをさせるよう求めています。
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