独占禁止法の確約手続とは ドラッグストアのダイコク、約7.5億円返金へ
公正取引委員会によると、近畿地方を中心にドラッグストアを展開する「ダイコク」(大阪市)は、コロナ禍で売れ残った商品などを納入業者に返品していたことなどが、独占禁止法(優越的地位の濫用)の規定に違反する疑いがあると認められたといいます。ダイコクは約80の納入業者に約7.5億円を返金する確約計画を申請し、公正取引委員会が認定しました。今回の独占禁止法による確約手続の流れを紹介します。
公正取引委員会によると、近畿地方を中心にドラッグストアを展開する「ダイコク」(大阪市)は、コロナ禍で売れ残った商品などを納入業者に返品していたことなどが、独占禁止法(優越的地位の濫用)の規定に違反する疑いがあると認められたといいます。ダイコクは約80の納入業者に約7.5億円を返金する確約計画を申請し、公正取引委員会が認定しました。今回の独占禁止法による確約手続の流れを紹介します。
公正取引委員会の公式サイトなどによると、確約手続とは、独占禁止法違反の疑いがある行為について,公正取引委員会と事業者との間の合意により自主的に解決する仕組みです。
環太平洋パートナーシップ協定(TPP協定)の締結にあたり、確約手続きの制度を日本でも設ける必要があったため、TPP11協定が発行された2018年に施行された改正独占禁止法で定められました。
確約手続に関する通知を受けた事業者が自主的に確約計画を提出し、公正取引委員会が認定した場合、排除措置命令や課徴金納付命令を受けずに済ませられるとして、問題をより早く解決しやすくなったといいます。
ダイコクは遅くとも2020年3月ごろから2022年4月ごろにかけて、納入業者に対して、新型コロナの影響で売れ残った商品について、納入業者側に落ち度や申し出があったわけでないのに同意なく返品していたと疑いがあるいいます。
また、ダイコクのドラッグストアの閉店、新規開店、改装のときに、納入業者が納入する商品以外の商品を含む当該店舗の商品の陳列等の作業を行わせていた疑いもあるといいます。
こうした行為について公正取引委員会は「新型コロナの影響であったとしても、また納入業者との合意を得ていたとしても、優越的地位の濫用として問題となるものと考えられる」との見解を示しています。
こうした疑いに対し、公正取引委員会は、ダイコクに対し、独占禁止法にもとづいて審査してきたなかで、確約手続をとることで、競争の早期回復が図られると認め、確約手続に係る通知を出しました。
すると、ダイコクから、公正取引委員会に対し、確約計画の認定を求める申請がありました。公正取引委員会は2023年4月6日、この確約計画を認定しました。
ダイコクは確約計画のなかで、独占禁止法に違反する返品や従業員派遣をやめ、従業員に徹底すること、総額7.5億円の返還することなどを盛り込んでいます。
ダイコクは4月6日、公式サイトで以下のようにコメントしています。
納入業者をはじめとする各関係先の皆様に多大なるご迷惑、ご心配をおかけしましたことを深くおわび申し上げます。認定を受けました計画を確実に実行するとともに、独禁法の遵守をはじめとするコンプライアンスの徹底を一層強化し、より信頼される企業を目指して事業活動を進めてまいります。
公正取引委員会による調査の終了に関するお知らせ(ダイコク公式サイト)
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