目次

  1. オワハラとは 職業選択の自由を妨げる行為
  2. オワハラの具体的な事例
  3. オワハラへの対応は
  4. オワハラが起きる背景は
  5. 経団連、日本商工会議所は公式サイトで周知
  6. 2023年6月1日の会見で官房長官が注意喚起

 政府がまとめた要請文「2024(令和6)年度卒業・修了予定者等の就職・採用活動に関する要請等について」(PDF方式)では、オワハラを「就職をしたいという学生の弱みに付け込んだ、学生の職業選択の自由を妨げる行為」と位置付けています。具体的には以下がオワハラにあたるとして、こうした行為の防止徹底を求めています。

  • 正式な内定前に他社への就職活動の終了を迫ったり、誓約書等を要求したりする
  • 内(々)定期間中に行われた業務性が強い研修について、内(々)定辞退後に研修費用の返還を求めたり、事前にその誓約書を要求したりする

 内閣府が2021年11月に公表した調査によると、調査対象の学生4325人のうち、11.6パーセントが「オワハラを受けたことがある」と回答していました。実際に受けたオワハラの事例として、特に多かったのは下記の二つのようなケースです。

  • 内々定を出す代わりに他社への就職活動をやめるように強要された(早めに内々定を受ける旨の返答をしない場合には、内々定を取り消すと言われたなど)
  • 内々定の段階で、内定承諾書の提出を求められた(内定承諾書を提出しない場合は、内々定を辞退したものとみなすと言われたなど)

 このほかにも、下記のような事例があったといいます。

  • 内々定後長時間(長期間)の研修があり、他社の選考を受けられなくなった
  • 内々定後懇親会等が頻繁に開催され、必ず出席するように求められた
  • 自由応募であったのに、内々定の段階になって、まだ他社の選考を受けたいにも関わらず、急遽大学の推薦状の提出を求められた
  • 内々定辞退を申し出たところ、引き留めるために何度も説明を受けたり、拘束を受けたりした

 政府の要請文は、学生が安心して就職活動に取り組める環境作りのため、学生からの苦情・相談に対応することを企業に求めています。「若者雇用促進法に基づく指針等も踏まえ、職業安定機関(ハローワーク等)等と連携を図りつつ、相談窓口の設置など、学生からの苦情・相談を迅速、適切に処理するための体制の整備及び改善向上に努めること」としています。

 「オワハラ」という言葉が朝日新聞の紙面に初めて登場したのは、2015年。同年のユーキャン新語・流行語大賞の候補にもなるなど、 このころから問題が表面化し始めました。

 2015年は、政府の要請を受けて就活の日程変更があり、大手を中心に選考開始時期が従来の4月から8月にずれこんだ年です。一方、7月以前に選考をする企業にとっては、内定者が大手に流れないよう囲い込む必要性が増しました。こうした環境変化でオワハラが起きやすい状況になったとの見方もあります。近年の人手不足による売り手市場も、オワハラにつながっているとみられます。

 経団連は政府からの要請を受け、会員企業向けのお知らせを公式サイトで公表しました。要請文も公表し、「要請の趣旨を踏まえた採用選考活動を行っていただきますよう、お願い申しあげます」と企業に呼びかけています。

 日本商工会議所も政府からの要請を受けたことを、公式サイトで公表しました。小林健会頭は政府の要請に対し「就職・採用活動の早期化・長期化を防止する観点から、一定のルールが必要であり、広く会員企業に周知する」と応じたといいます。

 企業の採用選考がスタートする2023年6月1日には、松野博一官房長官が定例会見で、「就職活動を終わらせることを求め、学生の職業選択の自由を妨げる行為、いわゆる『オワハラ』は許されない行為であり、政府としても、企業や大学に、相談窓口の設置を呼び掛けるなどその防止の徹底に努めている」と発言。「本ルールの順守により、学生が様々な企業を知り、納得できる職業を選択できることを期待する」と述べ、注意を呼びかけました。