目次

  1. 副業・兼業支援補助金とは
  2. 副業・兼業支援補助金、送り出しと受け入れの2類型
    1. 類型A 副業・兼業送り出し型
    2. 類型B 副業・兼業受け入れ型
  3. 副業・兼業支援補助金の要件
    1. 類型A 副業・兼業送り出し型
    2. 類型B 副業・兼業受け入れ型
  4. 補助対象経費
    1. 類型A 副業・兼業送り出し型
    2. 類型B 副業・兼業受け入れ型
  5. 申請の流れ 第1回公募、いつからいつまで?
  6. 審査項目と加点項目
  7. 提出方法・提出先

 厚生労働省は2018年1月、副業・兼業について、企業や働く人が現行の法令のもとでどういう事項に留意すべきかをまとめたガイドラインを作成するなど、政府として副業・兼業を促進する政策を打ち出しています。

 こうしたなか、政府は、企業などが副業・兼業の人材を送り出す、もしくは受け入れる際にかかる費用の一部を助成する「副業・兼業支援補助金」を設けました。

 ただし、同一の内容の事業については、国や地方自治体が助成する他の制度(補助金、委託費等)と重複して補助を受けることはできませんので、注意してください。

 副業・兼業支援補助金には、送り出し型と受け入れ方の2類型があります。

 企業などが副業・兼業への人材の送り出し(自社の従業員が他の企業での就業等を行うことを認めるための環境整備)を行うために要する費用について、その経費の一部を助成する類型です。

補助率 1/2以内
補助上限 1事業者あたり100万円
補助対象経費 ①専門家経費、②研修費、③クラウドサービス利用費

 企業などが副業・兼業人材の受け入れを行うために要する費用について、その経費の一部を助成する類型です。

補助率 1/2以内
補助上限 副業・兼業人材の受け入れ1人あたり50万円
1事業者あたり 250 万円5人まで)
補助対象経費 ①仲介サービス利用費、②専門家経費、③旅費、④クラウドサービス利用費

 補助金の要件についてもそれぞれの類型について整理します。

 自社の従業員が他の企業等での就業等を行うことを認めるための環境整備を行うものであって、以下のいずれの要件も満たすものであること。

  1. 従業員の就業に関する社内ルール(就業規則等の社内ルールとして明文化されたものに限る)の改定を伴うものであること
  2. 社内ルールの改定によって、従業員の副業・兼業を認める範囲が広がることが見込まれること
  3. 改定後の社内ルールが、モデル就業規則(厚生労働省)第70条の規定に準じたもの、または、同条の規定よりも広範に従業員の副業・兼業を認めるものになると見込まれること
  4. 改定後の社内ルールについて、全ての従業員に周知することが見込まれること

 モデル就業規則第70条の規定は以下の通りです。以前のモデル就業規則を改定し、労働者の遵守事項の「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと」という規定を削除し、副業・兼業について規定を設けています。

第70条 労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる。
2 会社は、労働者からの前項の業務に従事する旨の届出に基づき、当該労働者が当該業務に従事することにより次の各号のいずれかに該当する場合には、これを禁止又は制限することができる。

①労務提供上の支障がある場合
②企業秘密が漏洩する場合
③会社の名誉や信用を損なう行為や、信頼関係を破壊する行為がある場合
④競業により、企業の利益を害する場合

厚生労働省の公式サイト「副業・兼業」

 他の企業等において雇用契約又は業務委託契約に基づき就業している個人と新たに雇用契約又は業務委託契約を締結した上で、同契約に基づき、当該個人が当該他の企業等での就業を継続している状態のまま、自社の業務に就業させるものであって、以下のいずれの要件も満たすものであること

  1. 自社の業務に就業させる期間が、少なくとも3ヵ月以上であること
  2. 受け入れる人材が有するスキルや経験などを活用することが、受け入れ企業の経営課題の解決につながると見込まれること(ただし、自社の既存の業務に関する人員が不足しているという課題に対応するために、当該業務に関する人員として、副業・兼業人材を受け入れる場合を除く)

 補助対象経費は類型ごとに少し異なります。

専門家経費・就業規則等の作成・改定や人事制度の設計に係る社労士・弁護士等への相談費用及び旅費
研修費・副業・兼業に係る外部講師による研修費
クラウドサービス利用費・副業・兼業を行う従業員の勤怠・労務管理を行うためのクラウドサービスの利用費

仲介サービス利用費・補助事業の実施のために、副業・兼業人材の受け入れを仲介するサービスを提供する人材会社等に支払われる経費(求人掲載料・仲介手数料)

専門家経費・副業・兼業人材と締結する契約書の内容に係る専門家相談費用及び旅費・副業・兼業人材への業務の切り出しをより効果的に行うための専門家相談費用及び旅費

旅費・副業・兼業人材の受け入れに伴い、初期研修や現地視察等のために当該人材が当該企業等を訪問するための旅費(電車賃・新幹線料金・航空機代・宿泊施設への宿泊代)

クラウドサービス利用費・受け入れる副業・兼業人材に係るクラウドサービスの利用費

 補助事業開始までの大まかな流れは以下の通りです。

  1. 本事業の交付規程・公募要領の確認
  2. 利用が見込まれる各種サービスの選定、研修等の企画検討、これらに伴う見積書の取得(※契約は交付決定日以降)
  3. GビズIDプライムの取得(※未取得の場合)
  4. 本事業の申請書、事業計画書の作成
  5. 必要書類の準備(見積書・履歴事項全部証明書・決算書等)
  6. JグランツにGビズIDプライムでログイン。本事業の申請フォームから公募申請(必要情報の入力・添付)
  7. 審査委員会による採択審査
  8. 採択・交付決定

 第1回公募の具体的なスケジュールは次の通りです。

3月31日 公募開始
5月11日 公募締め切り、採択審査
6月ごろ 採択・交付決定、事業開始

 まず、基礎審査項目として、類型A・Bとも次の要件を全て満たすものであることが必要です。要件を満たさない場合は、その提案は不採択となります。

  • 補助事業の要件に適した申請内容となっているか
  • 補助対象経費の計上について、事業実施に必要な計上・積算となっているか
  • 補助対象経費の計上について、経済合理的ではない積算を行っていないか。また、不適切な計上が行われていないか

 さらに、類型A、Bそれぞれに加点審査項目があります。類型Aの加点審査項目は次の通りです。

  • 補助事業による社内ルールの改定によって、従業員の副業・兼業を認める範囲の変化幅が大きなものになると見込まれるか
  • 従業員が副業・兼業を行いやすいような環境整備上の工夫がみられるか

 類型Bの加点審査項目は次の通りです。

  • 自社の経営課題を具体的に把握した上で、その経営課題の解決に適した副業・兼業人材の受け入れを行おうとしているか
  • 副業・兼業人材の受け入れによる経営課題の解決が、経営上大きな効果を持つと見込まれるか
  • 副業・兼業人材が担う業務が、付加価値の高い業務になると見込まれるか

 申請は、補助金申請システム「jGrants」で応募を受け付けています。詳細は、副業・兼業補助金のポータルサイトへ。