目次

  1. 後継者不在による倒産とは
  2. 最も多い理由は「代表者の病気・死亡」
  3. 2025年問題とは 後継者不在倒産は今後も
  4. 事業承継で活用できる補助金や制度の例
    1. 事業承継・引継ぎ補助金、2023年も活用可
    2. 事業承継税制、特例承継計画の提出期限は2023年度末
    3. 信用保証協会の保証制度

 中小企業では、後継者が見つからないことを理由として事業をたたむケースが増えています。少しずつ改善しているとはいえ、帝国データバンクの調査では、2022年の全国・全業種約27万社の後継者不在率は57.2%でした。経営者の高齢化が進むなか、後継者不足は社会問題となっています。

 このほか、帝国データバンクは毎年度、負債1000万円以上で法的整理(倒産)となった企業のうち、後継者不在のため事業継続の見込みが立たなくなったことを理由とする倒産の件数を調べています。

 今回の調査期間は、2022年4月1日~2023年3月31日です。2022年度の後継者不在による倒産は、前年度を2.3%上回る487件あり、2年連続で増え、最多を更新しました。

後継者不在による業種別の倒産件数

 2022年度の後継者難倒産を業種別にみると、「建設業」が119件と最多となり、小売業(89件)、製造業(87件)、サービス業(80件)、卸売業(73件)が続いています。

 後継者不在による倒産のなかで、直接の原因となったのは長らく「販売不振」が最も多くで、後継者が事業を継ぐことをためらい倒産に至った事例が多く見られました。

 しかし、2021年度に「代表者の病気・死亡」が初めて最多となりました。2022年度も同じ状況で47.8%を占めました。帝国データバンクは「後継者の選定・育成ができない代表者が活動できなくなるといった不測の事態に対応しきれず倒産となった企業が増加している」と分析しています。

 2025年問題とは、厚生労働省によると、戦後の第一次ベビーブームに生まれ、人口ボリュームの最も大きい「団塊の世代」が2025年にはすべて75歳となり、75歳以上が全人口の18%を占めることを指します。

 後継者不在倒産でもこうした2025年問題が影響してくる可能性があります。

 代表者が70代の後継者不在率は約30%に達する一方で、事業承継の準備は数年かかることが多く、帝国データバンクは「代表が高齢で後継者がいない、円滑な事業承継が進まない企業を中心に、後継者不在による倒産が今後も発生する可能性が高い」と分析しています。

 後継者の不在の原因が資金面にある場合、円滑な事業承継を後押しする補助金や制度を活用することができます。

 事業承継・引継ぎ補助金は、事業承継、事業再編・事業統合を促進し、経済の活性化を図ることを目的とする補助金です。事業承継・引き継ぎにかかる設備投資や販路開拓、専門家活用、廃業費などを支援します。

 国は、贈与・相続(承継)時に贈与税・相続税の負担をすることなく、自社株などを承継できる事業承継税制という制度を設けています。特例承継計画を提出することで、自社株の贈与税、相続税の承継時の納税を全額猶予一定の要件を満たせば、猶予税額は免除となります。

 ただし、特例承継計画の提出期限は2024年3月31日までで、2018年1月1日から2027年12月31日までの贈与・相続が対象ですので、余裕をもって準備しましょう。

 信用保証協会の公式サイトによると、事業承継を検討している中小企業・小規模事業者向けに、さまざまな保証制度を用意しています。

  • 事業承継特別保証…経営者保証が不要であり、また経営者保証ありの既存の借入金についても借り換えにより経営者保証を不要にすることが可能
  • 事業承継サポート保証…持株会社を設立し、持株会社が事業会社の株式を買い取る資金に利用できる
  • 経営承継関連保証…中小企業者が経営の承継のために必要な資金に利用できる
  • 特定経営承継関連保証…後継者である中小企業者の代表者が経営の承継に伴い当該中小企業者以外の者から株式等を取得するために必要な資金に利用できる
  • 経営承継準備関連保証…M&Aによる事業承継に必要な資金に利用できる
  • 特定経営承継準備関連保証…従業員をはじめとした事業を営んでいない個人による買収(EBO等)による事業承継に必要な資金に利用できる
  • 経営承継借換関連保証…経営者保証を提供している金融機関からの借入れによる債務を経営者保証が不要とする融資に借り換えるときに利用できる