目次

  1. 反スパイ法違反で拘束 中国当局から詳細明かされず
  2. 拘束された日本人、これまでに17人
  3. 反スパイ法の改正案、邦人拘束のリスク高まる
  4. 駐在員が注意すべきポイント

 中国の首都北京で3月、50代の日本人男性がスパイ行為などを取り締まる国家安全当局に拘束されたことが明らかになりました。この男性は大手製薬会社のアステラス製薬に勤務し、中国で20年近くも勤務経験があるベテラン社員で、3月に日本に帰国する予定だったとされます。

 まさに帰国直前での拘束となったわけですが、中国当局は同男性に取り調べを行っていることを公式に認め、中国の刑法と反スパイ法に違反した疑いがあると発表しています。

 しかし、なぜこのタイミングで男性が拘束されたか、どのような行動が法律に違反したかなど具体的なことは一切説明していません。

 この出来事に、中国に社員を派遣する、今後派遣を予定している中小企業経営者の中には大きな不安を覚えた方も多いと思われます。ここでは中小企業の経営者がこの問題をどう認識するべきかについて、国際政治や安全保障の視点から助言したいと思います。

 まず、反スパイ法に抵触して拘束される日本人のケースは、今回が初めてではありません。2014年に中国で反スパイ法が施行されて以降、今回のケースを含み、反スパイ法などに違反した容疑で拘束された日本人はこれまでに17人に上ります。

 2022年10月には、スパイ容疑で懲役6年の判決を受け刑期を終えた男性が帰国しました。この男性は1997年以降、北京外国語大学などで日本政治を教え、2010年には日中青年交流協会を設立するなど日中友好にも尽力を注いできました。

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