目次

  1. 転売対策をしたのは「クルミッ子切り落とし」
  2. なぜ転売が許されないのか
    1. 食品衛生上の問題
    2. 公式と誤認させる販売手法
    3. 買い占め

 今回、転売対策として4月から商品ラベルに希望小売価格を載せたのは人気商品の一つ「クルミッ子切り落とし」です。

クルミッ子切り落とし

 鎌倉紅谷は「クルミッ子の製造時にできる切れ端を袋詰めにしました。正規品のクルミッ子に比べて生地部分が多く、少し違った味わいと食感を楽しめます」と紹介しています。

 本来は、自社の店舗・EC、百貨店の催事・ECなどに販路は限定されているのですが、インターネット検索するとメルカリなどで高額で多数出品されているのがわかります。

クルミッ子切り落としの商品表示シール

 今回、裏面の商品表示シールに希望小売価格を明示することで、インターネットで商品を高値で転売する「転売ヤー」たちが利幅を上乗せして販売させづらくするのと同時に、購入者にも転売品だと気づいてもらいやすくなることを期待しています。

 鎌倉紅谷は、2017年ごろから転売対策に取り組んできました。

 有井さんは自身のブログで「大切なお客様には、正規ルートで適正な価格で安心して購入出来るという商売にとってごくごく当たり前の環境を我々は提供していかなくてはいけません」との考えを示しつつ、転売商品が流通することに3つの問題点を指摘してきました。

  1. 食品衛生上の問題
  2. 公式と誤認させる販売手法
  3. 買い占め

 買い占められた商品はどんな状態で保存されているかわかりません。有井さんは「賞味期限のある食品ではとくに注意が必要です、また異物混入のリスクもあります」と指摘します。

 AmazonやYahooショッピングで、鎌倉紅谷の公式写真を無断使用している転売ヤーもいます。そのため、購買客が公式サイトからの購入したと誤認しやすいところも課題で、「商品が小さいわりに高すぎる」「買ったのに賞味期限が短すぎる」といったクレームにもつながっているといいます。

 Amazonには何度か、登記簿謄本や商標登録書を提出して、不正に出品されていることを訴え、転売元の出品が取り消されたこともありましたが、数日で復活。いたちごっこが続いています。

 一方、楽天とは2021年8月、適正な流通環境の構築に向けた取り組みについて合意する包括連携協定を締結しました。インターネットショッピングモールの「楽天市場」では、一般消費者向けに販売された食品を購入し転売する行為は、健康被害などの事故を引き起こす恐れがあることから、禁止しているといい、不適切な転売に対し連携して対応しています。

 有井さんは、本来買いたい人に商品が届かなくなる「買い占め」についても問題視しています。ブログでは次のように指摘しています。

 「製造の努力、衛生管理、梱包、店頭販売の努力、通販受注の努力、労務業務、人材育成、財務など、そんな私たちの日々の無数の努力を奪って自分の利益に還元してしまいます。放置していたら一生懸命働いてくれている仲間たちに示しがつきません。誰のためにお菓子を作ってるんだろうとなってしまいます」

 そのうえで、有井さんは、今回の対策を始めた意義について「誰が買ってくれるのかを大事にしたいと考えています。クルミッ子のファンや食べてみたいと思ってくれた人へ日々届け、喜んでもらえているかを考えながら作り続けていきたいのです」と話しました。