目次

  1. 「覚悟しておけ」と言われて入社
  2. 値下げ競争でもがき苦しむ
  3. 逆境から生まれた「ねこずかん」
  4. 手塚作品とのコラボが実現
  5. 独自性と情報拡散で差別化
  6. ハンコを海外のアニメファンにも
  7. 裁量権を持って事業を展開

 岡田商会は1980年、岡山さんの父で現社長の嘉彦さんが、営んでいた電気販売店をたたんで立ち上げました。従業員数は現在20人ほどで、年商は約3億5千万円。通販サイトの売り上げが65%、印材卸が30%、あとの5%がPR事業です。

 2016年から販売する「ねこずかん」は累計3万本のヒット。その派生商品の「どうぶつずかん」、仏像や浮世絵など日本文化を表現したものや、人気アニメやゲームとコラボした商品まで、現在67シリーズのハンコをそろえ、デザインのパターンは2千種類にものぼります。

「ねこずかん」は自分の名前が入ったハンコが作れます(岡田商会提供)

 創業当初は業界の羽振りもよく、ハンコ文化は廃れないと見越しての船出でした。しかし、岡山さんが大学卒業後の2000年に岡田商会に入社したころは「斜陽」の色を濃くしていました。

 「大学4年生のとき、家業を継ぐと言ったときの友人の反応が忘れられません。『ハンコなんて先がない。絶対にやめた方がいい』と」

 父からも入社前に「はっきり言って斜陽産業。覚悟しておけ」と言われましたが、岡山さんは激励と受け取りました。「アイデア勝負で成長させろ、という思いを込めた『覚悟しておけ』だったのではないかと思います」

 幼いころ、社長の父と経理の母はいつも仕事に追われ、家族だんらんの思い出はほとんどないそうです。しかし岡山さんに一人の大人として接し、家業の大切さを説き続けてくれた父への思いは強く、「斜陽産業」と言われても継ぐ決心は変わりませんでした。

(続きは会員登録で読めます)

ツギノジダイに会員登録をすると、記事全文をお読みいただけます。
おすすめ記事をまとめたメールマガジンも受信できます。