目次

  1. 燃え尽き症候群(バーンアウトシンドローム)とは
    1. 燃え尽き症候群とは燃え尽きたように意欲を失う症状
    2. 燃え尽き症候群の症状
  2. 燃え尽き症候群の原因
    1. 環境要因
    2. 個人要因
  3. 燃え尽き症候群への予防策
    1. 自分が燃え尽き症候群にならないために
    2. 周囲が燃え尽き症候群にならないために
  4. 燃え尽き症候群から回復するには 立ち直り方も
    1. 自分が燃え尽き症候群になったとき
    2. 周囲が燃え尽き症候群になったとき
  5. 燃え尽き症候群を予防できる企業へ

 燃え尽き症候群とは、物事に意欲的に取り組んでいた人が、燃え尽きたようにやる気や意欲をなくしてしまう症状のことです。

 プレッシャーなどのストレスを継続的に感じたり、体を酷使したりするなど心身ともに無理をした結果、極度の疲労を抱えてしまうことが原因と考えられており、うつ病の一種とも言われています。

 心身の限界を超えて頑張りすぎたことで疲弊し、意欲を失ってしまうのが燃え尽き症候群です。

 燃え尽き症候群には、3つの主な症状があります。

  • 情緒的消耗感
  • 脱人格化
  • 個人的達成感の低下

①情緒的消耗感(物事への興味が薄れるなど)

 情緒的消耗感とは、情緒的に仕事などに取り組んだことで、心が消耗してしまった状態を指します。情緒的とは、物事に触れることによる感情の動きであり、情緒的消耗感では熱意や思い入れを持っている人が挙げられます。

 症状としては、以下があります。

  • 仕事や人間関係に対する興味や関心が薄れ、無気力や無感情になる
  • 仕事へのやりがいや達成感がなくなり、自分の能力に自信が持てなくなる

②脱人格化(他人への共感が失われる)

 脱人格化とは、自分への興味や他人への共感力が失われ、無常で非人情的な態度をとることです。

 具体的な症状としては、以下の傾向があります。

  • 自分の価値観や目標が曖昧になり、仕事に意味を見いだせなくなる
  • 仕事上のパートナーや取引先、また家族や友人などの人間関係を面倒に感じ、他人と距離をとるようになる

③個人的達成感の低下

 個人的達成感の低下とは、仕事などに対する有能感や達成感が低下することです。

 自分の仕事や人生における目標や意義を見失い、存在価値を低く評価するなどの症状であり、表面的な影響では仕事の能率や成果の低下などが見られます。

 燃え尽き症候群の原因は、大きく「環境要因」と「個人要因」の2つに分けられます。

 環境要因、個人要因ともに、さまざまなものがありますが、それぞれ次のような一例が考えられます。

環境要因 個人要因
・過剰な仕事量
・仕事の質や内容、評価に対する不満
・人間関係のストレス
・過度な責任感を持ちやすい、完璧主義
・自己肯定感の低さ
・ストレスへの対処法やリラックス法の不足

 環境要因とは、仕事や家庭など、自分ではコントロールできない外的な環境要素からなる要因です。

 燃え尽き症候群は、以下の代表例をストレス源として引き起こされる可能性があります。

➀過剰な仕事量

 仕事量の過剰さは、環境要因の代表的な例に挙げられます。多くの業務や長時間労働、過剰なノルマなどにより、心身ともに消耗し、疲労やイライラ、無力感、失望感、絶望感などを抱えやすくなります。このような状態が長く続くことで、燃え尽き症候群になる場合が考えられます。

➁仕事の質や内容、評価に対する不満

 仕事に対する何らかの不満や、仕事内容、職場環境への不信感がストレスとなってモチベーションの低下が起こり、燃え尽き症候群になる場合があります。具体的には、自分の能力に合わない(求められる能力が低すぎる、もしくは高すぎる)仕事や、興味のない仕事を強いられることで起こり得ます。また、自身の仕事に対して適正な評価が得られていないと感じるなどの不満が多く該当します。

③人間関係のストレス

 燃え尽き症候群の要因となる人間関係のストレスとは、主に上司や同僚とのコミュニケーションが円滑に行われない場合に感じるストレスを指します。個人は課題や業務に取り組むうえで、上司や同僚と意見が違っていたり、情報共有が不十分であったりすると、不安やストレスを感じやすくなります。これらのストレスが長期的に続くと、身体的、精神的な疲労感を引き起こし、燃え尽き症候群につながる可能性があります。

 個人要因とは、自分自身の内的な性格要素からなる要因を指します。以下は、代表的な例です。

➀過度な責任感を持ちやすい・完璧主義

 過度な責任感がある人や完璧主義者は、燃え尽き症候群になりやすいとされています。過度な責任感があったり、完璧主義であったりすると、自分自身に高すぎる目標や基準を設定してしまい、達成できないことで自己批判につながる、他人の評価に過敏になるなどの状態に陥ります。そして、自身の理想と現実の差から自己否定や罪悪感を抱き、ストレスを感じて、燃え尽き症候群となってしまう可能性が高くなります。

➁自己肯定感の低さ

 自己肯定感の低さも、個人要因の一つです。自己肯定感とは、他人と比較することなく自分自身を認め、尊重できる感情です。自己肯定感の低さにより、自信が持てず、自身を否定的に考えて継続的なストレスを抱え、燃え尽き症候群となってしまう場合があります。

③ストレスの対処法やリラックス方法がない

 自分なりのストレスの対処法やリラックス方法が不足していると、ストレスが長期的となり、燃え尽き症候群になる可能性が高まります。

 燃え尽き症候群への予防策を「自分が燃え尽き症候群にならないため」と「周囲が燃え尽き症候群にならないため」の2つの視点から紹介します。

 自分が燃え尽き症候群にならないためには、セルフケアが重要です。セルフケアとは、自分自身の状態を心身ともに把握して、適切にケアすることを言います。燃え尽き症候群に限らずメンタル不調にならないために、セルフケアは有効です。

 セルフケアには、以下のような方法が挙げられます。

  • 健康的な食事や睡眠を心がける
  • 運動やストレッチをする
  • 自分の感情や考え方をポジティブにする
  • 自分の価値や能力を認める
  • 他人からの評価に左右されない
  • 仕事量や期限を適切に管理し、無理をしない
  • 趣味やリラックス方法を見つけて、仕事以外の時間を充実させる
  • 必要なときには休暇や休憩をとる
  • 必要なときには専門家や信頼できる人に相談をする

 周囲が燃え尽き症候群にならないためには、周囲にいる人たちの状態や環境の変化に気づいたり、周囲を適切に評価したりすることが大切です。

 特に新入社員や職歴が浅く仕事に慣れていない社員は、仕事に慣れるために頑張りすぎてしまうことが多く、また経験の浅さから業務に対して自信がなくプレッシャーを感じがちです。燃え尽き症候群を発症する条件がそろっているため、特に気を配る必要があるでしょう。 

 職場での燃え尽き症候群の予防策には、以下のような方法が考えられます。

  • 適切なコミュニケーションを図り、協力をする
  • 労働時間や休憩時間などを把握し、適切に管理する
  • 必要なときには休暇や休憩をすすめる
  • 適切な仕事量や期限を設定する
  • 必要なときには専門家や信頼できる人に相談できる体制を整える

 燃え尽き症候群からの回復方法を「自分が燃え尽き症候群になったとき」と「周囲が燃え尽き症候群になったとき」の2つの視点から紹介します。

 自分が燃え尽き症候群になったときは、以下のような方法が有効です。

  • 信頼できる人や専門家に相談をする
  • ストレスへの対処法やリラックス方法を見つける
  • ストレス源から離れる

➀信頼できる人や専門家に相談をする

 「あれだけ一生懸命やってきた仕事に対して、やる気がまったく起きずにいる」「やりがいや楽しさを感じていたけど、今はストレスしかない」など、燃え尽き症候群になっていると感じた場合は、自分自身で抱え込まずに周囲の信頼できる人に相談することをおすすめします。自分一人で抱え込むと、さらに症状が悪化してしまう可能性も考えられます。

 周囲の人に相談しにくい場合には、カウンセラーなどの専門家への相談も検討しましょう

➁ストレスへの対処法やリラックス方法を見つける

 ストレスの対処法やリラックス方法を見つけることは、予防の面からも、回復方法としても効果的です。

 以下にて、ストレスへの対処法とリラックス方法を一例として挙げてみます。

ストレスへの対処法 リラックス方法
・自分の感情や考え方をポジティブにする
・問題解決能力や自己管理能力を高める

・運動やストレッチ
・呼吸法や瞑想
・アロマテラピー

 燃え尽き症候群は、心身への極度の疲労が原因となる場合が多くあります。そのため、例を参考にしながらも自分自身に合ったストレス対処法やリラックス方法を見つけて、心身ともに休むことが大切です。

③ストレス源から離れる

 ストレス源から離れることも燃え尽き症候群の回復方法の一つです。

 例えば、仕事が原因で燃え尽き症候群となった場合、ストレス源から離れることは難しいかもしれませんが、重度のメンタル不調になってしまう可能性も考えられます。そのため、思い切って休みをとる、周囲に相談をして環境を変えてもらうなど、ストレス源から離れる対策も重要です。

 周囲が燃え尽き症候群になったときに、回復に向けて自分や組織ができるサポートには、以下のような方法が有効です。

  • 周囲の人の状態や変化に気づく・気づける体制を整える
  • 休養などストレス源から離れられるような体制を整える
  • 相談できる体制を整える

➀周囲の人の状態や様子の変化に気づく・気づける体制を整える

 周囲の人の状態や様子を気にして、できるだけ早く変化に気づき、サポートをすることは、燃え尽き症候群を含め、さまざまなメンタル不調の予防策として重要です。

 周囲の人の状態や様子の変化には、燃え尽き症候群の症状である無気力や無感情になっていないか、冷淡や皮肉な態度をとっていないか、自己批判をしていないかどうかを、観察、また本人や他の周囲の人に聞いて気づくことができます。

 このような変化に従業員の多くが気づけるよう、社内で勉強会や講習の機会を設けるなどして、気づける体制を整えておくことをおすすめします。

➁休養などストレス源から離れられるような体制を整える

 休養などの方法でストレス源から離れることで、燃え尽き症候群をはじめ、さまざまなメンタル不調において効果的に回復へと働く場合が多くあります。そのため、従業員がメンタル不調に陥った場合に備えて、休養がとれる社内体制やストレス源から離れられる環境を整えることが大切です。

 このような体制を整えることは、燃え尽き症候群になってしまった従業員の回復はもちろんですが、働きやすい体制づくりにもつながり、生産性が向上したり従業員の採用にも有利に働いたりする可能性があります。

③相談できる体制を整える

 信頼できる人や専門家など周囲へ相談することも回復に効果的です。そのため、社内でも相談がしやすい社風をつくったり、定期的にカウンセラーなどの専門家を招いたりして、相談できる機会・体制を整えることが大切です。

 従業員の燃え尽き症候群は企業にとっても深刻な問題であり、生産性低下や離職率の増加などの影響が懸念されます。このような事態を避けるためにも、従業員が燃え尽き症候群にならないような組織づくり・体制づくりをしましょう。

 予防策を徹底することで、その他のメンタル不調の予防にもつながり、企業全体に良い影響を及ぼすはずです。