目次

  1. トラックGメンとは
  2. 背景に「2024年問題」
  3. 荷主向けのガイドラインも

 トラックGメンとは、運送業界の労働環境を改善するための国交省の取り組みで、2023年7月21日から開始します。

 国交省はこれまで貨物自動車運送事業法にもとづき、違反原因行為を荷主がしている疑いがあると認められる場合に改善にむけて「働きかけ」や「要請」をしてきたと説明していますが、長時間の荷待ちや、運賃・料金などの不当な据え置きといった問題は解消されていません。

貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律の概要(国交省の公式サイトから https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001620057.pdf)

 そこで、今回、トラックGメンを創設し、監視体制を強化して合計162人の体制で適正な取引を阻害する疑いのある荷主企業・元請事業者の監視を強化すると説明しています。

 具体的には、貨物自動車運送事業法による「働きかけ」の時限措置を延長し、違反事例がないか増員した体制で情報収集します。

 また、「トラックGメン」による調査結果を荷主企業・元請事業者への「働きかけ」「要請」「勧告・公表」などに活用する予定だといいます。「勧告・公表」には違反行為に対して、一定の抑止効果が期待できます。

 国交省によると、トラックドライバーは労働時間が長く、低賃金にあることから、担い手不足が課題となっています。そのうえ、2024年4月からドライバーに時間外労働の上限規制(年960時間)が適用されます。物流の適正化・生産性向上について対策を講じなければ、2024年度には輸送能力が約14%不足し、さらに、このまま推移すれば2030年度には約34%不足すると国の検討会で推計しています。

 こうした状況を「2024年問題」と呼び、その対策の一環で政府が2023年6月2日に取りまとめた「物流革新に向けた政策パッケージ」のなかで、トラックGメンの創設が掲げられました。

 トラックGメンにあわせて、経済産業省、農林水産省、国土交通省は、発荷主企業・着荷主企業・物流事業者が取り組むべき内容をまとめた「物流の適正化・生産性向上に向けた荷主事業者・物流事業者の取組に関するガイドライン」(PDF方式)も発表しました。

 国交省の公式サイトによると、トラックドライバーの1運行あたりの荷待ち、荷役作業等にかかる時間が計約3時間となっていることから、ガイドラインは、発荷主事業者及び着荷主事業者に対して、荷待ちや荷役作業等にかかる時間を把握した上、それらの時間を2時間以内とすることを求め、物流への負担となる商慣行の是正や、運送契約の適正化についても定めています。