目次

  1. 中国がガリウム・ゲルマニウムの輸出規制をする背景
  2. 貿易と安全保障、今後も攻撃の応酬の可能性
  3. 日本企業が注意すべき2つのポイント
    1. 半導体以外にも影響が波及するリスク
    2. 日本が米中貿易摩擦に巻き込まれるリスク

 中国の商務部によると、2023年7月3日、中華人民共和国輸出管理法、対外貿易法、税関法にもとづき、ガリウムおよびゲルマニウムの関連品目に対して輸出管理を実施する旨の公告を発表しました。

 公告は、詳細な関連品目を挙げたうえで、輸出事業者はこれらの品目を輸出するにあたって、省レベルの商務主管部門を通じて商務部に申請を行い、エンドユーザーや最終用途の証明などを提出しなければならないと説明しています。

 ガリウムなどは、液晶テレビのバックライトなどの白色発光ダイオード、スマートフォンの顔認証に使っている面発光レーザーや液晶テレビなどに欠かせない物資で、中国が世界生産の9割を占めており、日本も中国からの輸入に頼っています。

 中国は、なぜ半導体の材料となるガリウムとゲルマニウムの輸出規制に踏み切ったのでしょうか。

 それには、先端半導体を巡る米主導の対中輸出規制があります。バイデン政権は昨年秋、先端半導体の製造装置や技術における対中輸出禁止措置を発表しました。

 そして、米国単独では中国への流出が防止できないと判断したバイデン政権は今年に入り、先端半導体の製造装置で高い世界シェアを持つ日本とオランダに対して同様の規制を強化するよう要請し、オランダが先行する形で日本も3月、先端半導体分野の流出を抑えるべく、繊細な回路パターンを基板に記録する露光装置、洗浄・検査に用いる装備など23品目で対中輸出規制を敷くことを明らかにし、7月23日から実行に移されました。

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