目次

  1. 請求書とは
  2. 請求書のフォーマットは?
  3. 請求書の書き方と記載項目を紹介
    1. 記載すべき項目【記載例付き】
    2. 記載した方が望ましい項目【記載例付き】
  4. 請求書の作成方法
    1. 専用のツールを用いる
    2. WordやExcelで作成する
    3. 手書きの請求書
  5. 請求書を作成する際のよくある疑問と注意点
    1. 印鑑は必要か
    2. 発行方法
  6. 請求書の作成はミスなくかつ効率的に

 請求書とは、相手先に金銭を請求する際に発行する書類です。金銭を請求するのは、主に商品の販売・サービスの提供・先方が負担すべき費用を立て替えた場合などが挙げられます。これらの事象が生じたら、請求書を作成して相手先に送付します。請求書を送付することで、相手先に報酬を支払う義務があることを主張できます。

 また、もらった側も請求書を元に会計処理や支払いのための社内手続きをするため、ビジネスにおいて非常に重要な書類です。

 請求書を作成するのは、営業担当者・経理担当者が一般的ですが、書き方に統一性がないと社内での管理が煩雑になります。 受け取った側も同じ会社からバラバラの請求書が届くと、読み解くのに時間がかかるほか、誤りがあるのではないかと不安を与えてしまいます。そのため社内で使用する請求書は、社内で統一のフォーマットを作成した方が望ましいといえます。

請求書の概要と正しい書き方
請求書の概要と正しい書き方(デザイン:吉澤風香)

 請求書のフォーマットは、各社が自由に作成可能です。請求金額さえ相手先にわかりやすく伝われば、あとは自社ロゴを入れるなどオリジナリティーを出しても問題ありません。

 以下に、請求書の一例を挙げましたので参照ください。

請求書の例
請求書の例・著者作成

 請求書の書き方と記載項目を紹介します。先述のとおり、請求書のフォーマットはある程度自由に決めて問題ありません。しかし、消費税法上で記載が必要な事項や、もらった相手先にとって記載があると助かる項目があります。

 なお、消費税法上で求められる記載項目は、国税庁のページ「No.6625 請求書等の記載事項や発行のしかた」を参照ください(2023年6月時点)。

 記載すべき項目を表にまとめました。詳細については、以降の見出しで紹介していきます。

記載すべき項目 記載例
請求者の氏名または名称 〇〇株式会社
取引年月日 2023年6月30日
取引内容 商品A
請求金額 220,000円
請求書をもらう側の氏名または名称 株式会社△△

①請求者の氏名または名称

 請求者の氏名または名称は、請求書を発行する側についての記載です。誰から請求されているのかがわかるようになります。

 氏名または名称の記載は必須ですが、請求者以外の担当者名や住所、電話番号などの記載は必須ではありません。しかし、取引先にとっては何かあった際に連絡しやすくなるため、氏名や名称以外の情報も記載することをおすすめします。

②取引年月日

 請求書には、実際に取引を行った年月日を記載します。この年月日は、会計処理を行う日付の根拠にもなるため、非常に重要な項目です。

 年表記は西暦か和暦かの決まりはありません。自社で普段使っている方を選ぶとよいでしょう。ただし近年では、西暦表記を多くみかけるようになった印象です。西暦のほうが一目確認したときに、いつ発行されたものか判別しやすい利点があります。

③請求金額

 請求金額は、相手先に入金してもらいたい金額を記載します。そのため消費税は込みで記載し、源泉徴収などの差引項目があれば差し引いた額を記載します。

 Excelで請求書を作成する場合は、計算式を設定してミスの発生を防いでおくとよいでしょう。その際には、単価・個数・消費税率を別のセルに記載できるように設定する必要があります。

 また、源泉徴収が必要な場合は、その率も設定します。原則は10.21%です(2023年時点)。源泉徴収額は、取引価格が100万円を超えると、率が変更になる報酬もあるため注意しましょう(例:税理士報酬など)。

④取引内容

 取引内容は、実際に納めた商品などや提供したサービスの名称を記載します。食料品などの軽減税率対象となる商品は、軽減税率対象であることがわかるようにしましょう。「※」などの記号を使い、備考欄で軽減税率対象である旨を記載する方法が一般的です。

 商品は、なるべく種類ごとに細かく分けた方が見やすくなるため、相手先にとっても親切です。工事やセットになっているようなものであれば「〇〇工事一式」などと記載しても問題ありません。

⑤請求書をもらう側の氏名または名称

 請求書をもらう側の氏名または名称も記載が必要です。誰に対して請求しているのかを明確にする働きがあります。相手先に氏名や名称を確認したうえで記載するとよいでしょう。

 ここでは、相手先から見た際に記載した方が望ましい項目を表にしました。それぞれの項目の詳細は次の見出しで解説していきます。

記載した方が望ましい項目 記載例
タイトル 請求書
振込期限 2023年7月31日
請求書番号 No.100
振込先 〇〇銀行△△支店普通預金口座番号×××××
備考 振込手数料は貴社負担にてお願いいたします。

①タイトル

 タイトルは、書面の上部に付けることが一般的です。シンプルに「請求書」と書きましょう。このように記載すれば、相手先も請求書が届いたとすぐに理解できます。

②振込期限

 振込期限を記載することで、相手先にいつまでに支払う必要があるかを判別できます。振込期限を記載をしないと、いつまで経っても相手先が支払ってくれない可能性があります。支払いを督促しようにも、期限を定めていなければ督促ができません。

 期限は、相手先と事前に決めている支払条件を元に記載することが一般的です。多くの場合は、請求月翌月末払いが指定されます。ただし、この月末払いは業界慣行によることが多いため、具体的な振込期限は相手先と相談して決めましょう。

③請求番号

 請求番号も記載をした方が賢明です。相手先から請求書に関して問い合わせがあった際に、番号を頼りに該当の書類を見つけ出しやすくなります。

 請求番号の振り方については、さまざまな方法が存在します。1番からスタートして番号を増やす方法もあれば、請求日付に3桁の番号を付ける方法もあります。拠点が多い場合は、拠点コードを請求番号に入れることも一つの方法です。規則性を持たせて運用することが望ましいでしょう。

④振込先

 振込先には、請求金額を振り込んでもらう銀行口座の情報を記載します。主な項目として以下のものが挙げられます。

  • 銀行名
  • 支店名
  • 預金種別(普通や当座など)
  • 口座番号
  • 名義

 請求書にしっかりと記載し、相手先に振込先を明示してください。

⑤備考

 備考では、補足をしたい項目を記載します。よくある例は、支払者に振込手数料を負担してもらう旨の記載です。ほかにも、軽減税率を示す注記が記載されることもあります。

 請求書の作成方法は、主に「専用のツール」「WordやExcel」「手書きの請求書」が挙げられます。順に確認し、自社にふさわしい方法を選んでください。

 請求書の作成には、専用ツールを使った方法があります。会計ソフトに付属しているツールや、インターネット上のサービスとして独立しているツールが存在します。

 これらのツールを利用するメリットは、整ったフォーマットで請求書を発行できる点です。さらに会計ソフトに付属するツールのなかには、請求書の発行に際して売上を自動で計上できる機能が備わっているものもあります。インターネット上で独立しているサービスには、会計ソフトに連携するデータを自動で生成してくれるツールも少なくありません。以上から、データ入力に関する手間がかからない点もメリットとして挙げられます。

 一方でデメリットとして、利用に際して料金が発生したり、フォーマットを自由に変えられず柔軟性に乏しかったりするなどがあります。

 専用ツールを使わずとも、WordやExcelで作成している会社や個人事業主も多くあります。WordやExcelで請求書を作成するときは、そのデータに請求金額などの必要事項を記入して郵送またはPDFデータで相手先に送ります。

 WordやExcelを使うメリットは、料金が印刷用紙やインク代程度しかかからない点です。低コストで運用でき、柔軟にフォーマットを変えられます。

 一方、デメリットとしては、誰でも自由かつ簡単に更新できるため、各担当者がフォーマットを勝手に変更する恐れがある点が挙げられます。

 請求書は、手書きでも作成できます。すでに印刷されている空白の請求書のひな形に、手書きで記載事項を書いて使用します。ひな形の入手方法は、市販のものを購入したり、自社でフォーマットを提供して複写式で作ってもらったりするケースが一般的です。

 手書きの請求書を使うメリットは、パソコンを立ち上げなくても作成できる点です。専用ツールやWord、Excelと比較すると簡単に入手できます。

 主なデメリットとしては、複写式であるため紙が残りやすく、保管コストがかかる点が挙げられます。

 請求書を作成する際のよくある疑問と注意点を2点紹介します。ここで紹介するポイントを押さえて、請求書作成の作業に取りかかりましょう。

 近年では、社判や担当者印を求める文化がなくなりつつあります。請求書も同様に、以前は押印を求められることが多かったものの、最近はなくても業務上に支障がない会社も増えています。

 ただし相手から押印を依頼された場合に備え、社判が印影されたフォーマットも用意した方が賢明です。その都度社判や担当者印を押す必要がなく、効率的に請求書を作成できます。

 近年では、さまざまな請求書の発行方法があります。以前は印刷をして、封書に入れて郵送する方法が主流でした。しかし近年では、オンライン上のサービスが普及し、メールにて添付したり相手先が利用する取引用のツール上で請求情報を作成したりするといった方法も採用されています。

 いずれの方法でも、請求書の有効性に問題はありません。相手先とコミュニケーションを取って、双方にとって1番よい方法を採りましょう。

 請求書は、自社に入金をしてもらうために作成するもので、ビジネス上非常に重要な書類です。重要な書類であるがゆえに、ミスをすると取引先からの信頼を失うことにつながります。そのため、請求書を作成するときは次のポイントをチェックしましょう。

  • フォーマットを統一する
  • 入力箇所を少なくする
  • 可能な限り専門ツールを使う

 これらのポイントを押さえれば、業務もより効率化されます。今回の記事を参考にしていただき、請求書の作成方法について社内で検討してみてください。