ゼロゼロ融資とは 利用後の倒産が1000件突破 東京商工リサーチ調べ
コロナ禍で始まった実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)利用後の倒産が増えており、 2020年からの累計で1000件を超えたことが東京商工リサーチの調査で明らかになりました。「ゼロゼロ融資の民間金融機関の返済がピークを迎え、業績回復の目途が立たず息切れする企業が増えている」と分析しています。
コロナ禍で始まった実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)利用後の倒産が増えており、 2020年からの累計で1000件を超えたことが東京商工リサーチの調査で明らかになりました。「ゼロゼロ融資の民間金融機関の返済がピークを迎え、業績回復の目途が立たず息切れする企業が増えている」と分析しています。
実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)とは、新型コロナの影響で売り上げが減った中小企業や個人事業者に、利子補給の制度を使い、実質、無利子・無担保で融資する制度のことです。2020年に始まり、民間金融機関は2021年3月、政府系金融機関は2022年9月で受け付けを終了しました。
東京商工リサーチは「コロナ禍で急減な業績悪化に見舞われた中小・零細企業の資金繰り支援策として実施され、倒産抑制に劇的な効果を見せた。しかし、その副作用として過剰債務に陥った企業は多い」と分析しています。
東京商工リサーチの調査では、2023年8月の「ゼロゼロ融資」を利用後の倒産は57件で2022年8月以降、13ヵ月連続で40件を上回り続けています。その結果、初めて倒産が確認された2020年7月からのゼロゼロ融資利用後の倒産の件数は1025件と1000件を超えました。
2023年1~8月の累計は440件と、前年同期比で76.0%増となっており、9月には2022年の1年間を上回る見通しが濃厚だといいます。
この理由について「コロナ禍が落ち着いてきたが、原材料やエネルギー価格の高騰、人手不足を背景にした人件費の上昇や営業機会の損失などで、回復途上にある中小・零細企業の経営は打撃を受けている。また、価格交渉力が弱く、商品・サービスへの価格転嫁も進まず、業績改善が見通せないなか、ゼロゼロ融資の返済が始まり、苦心している」と分析しています。
融資返済に悩む中小企業に対し、経済産業省は2023年1月に「コロナ借り換え保証」制度をつくるなど対応策に取り組んでいます。
コロナ借り換え保証は、一定の要件を満たした中小企業者が、金融機関との対話を通じて「経営行動計画書」を作成したうえで、金融機関による継続的な伴走支援を受けることを条件に、借入時の信用保証料を大幅に引き下げる制度です。
このほか、新型コロナの影響を受けた中小企業が事業再生するための資金の借入を保証する「経営改善サポート保証制度」もあります。
さらに、日本政策金融公庫による資金繰り支援について、コロナ資本性劣後ローンは貸付限度額を引き上げの上、2024年3月末まで申込期限を延長するとともに、スーパー低利・無担保融資は、金利引下げ幅を縮小しつつも、2024年3月末まで申込期限を延長しています。
物価高騰対策のセーフティネット貸付における金利引下げ措置についても、2024年3月末まで申込期限を延長します。
このほか、経済産業省は金融庁・財務省とも連携して、挑戦意欲がある中小企業の経営改善や再生支援を加速していくべく、総合的な支援策を展開することも明らかにしています。
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