目次

  1. 本の紹介者
  2. 利益率にこだわるべき理由がわかる1冊
  3. 利益率にもとづいたシミュレーションで社内を説得

片岡勧さん

1983年生まれ。大学卒業後、ベンチャー企業を経て重機械メーカーで企画マーケティング業務に8年従事。ゴーヤの水耕栽培ブログなどの運営経験をもとに2016年、法人向けWebコンサルとして独立。自作マイクロドローン空撮事業も展開。2021年家業に入り、中学生に3年間シゴカれても壊れないスクールバッグをベースに開発したA4ビジネスサブバッグ「さよなら紙袋」を販売拡大している。

 売上という概念を徹底的に要素分解した1冊です。

 売上増加は一見して喜ばしいのですが、固定費増・在庫・借入などリスクもあります。そのリスクを支えられるように、利益率にこだわるべきであると紹介しています。

 たとえば、年商100億は、仕入値10万円のPCを10万円×10万台売れば達成できますが、利益はゼロのため意味がありません。このように年商を気にしがちな経営者の呪いを解くロジックが数多く記載されています。

 そして高い利益率を実現するための具体的な商品開発~販促手法が紹介されています。たとえば、以下のような例が挙げられています。

  • 社内で話題にならない地味な商品が利益を稼ぎ出している
  • 売れる商品ではなく、売れ続ける商品こそ利益の源泉
  • 課題解決型の本当に自信を持ってPRできる商品しか売らない

 この本を読んでから、利益率に基づいた損益分岐点シミュレーションを作成し、薄利方式では市場も会社体制も限界があると社内を説得し、取引条件が厳しすぎる大口取引先とは何度も交渉を重ねた後、取引を終了しました。

 商品開発は、ユーザーヒアリングを徹底し、品質をある程度固めてから販売するようにしています。また、むやみに品目数を増やさず、リソースを単一商品に集中投下。同時に瞬間風速的なクラウドファンディングには極力頼らず、自社のECサイトで売れる力を地道に鍛えました。

 この本は、読み返す度に発見があります。

 私たちの親世代は高度経済成長期の経済右肩上がりの時代で生きてきたので売上至上主義に陥りがちです。それゆえ、忙しい割に全然儲からないと低収益体質に悩んでいる後継ぎに、この本は力強い指針を与えてくれると思います。