目次

  1. 本の紹介者
  2. 「モノを売る」ではなく「ブランドをつくる」
  3. 事業再編をきっかけに読み直して取り組んだこと

大西潤さん

2015年慶應大卒。新卒でリンクアンドモチベーションへ入社し、中小ベンチャー企業向け組織人事コンサルティング部門の関西支社に配属。2018年に全社1500人からMVPを獲得、その後東海支社のリーダーに配属。2019年に日東社・ノアインドアステージ入社。前職の知見を生かし、日東社で従業員アンケート、企業理念再策定、新卒採用等を実施。2022年に日東社の専務取締役に就任。

 「モノを売る」ではなく「ブランドをつくる」という考え方で老舗中小企業として生きる経営について書かれた1冊です。

 ほかの中小企業後継ぎたちにも読んでほしいと思ったポイントは次のような点にあります。

  • 本当に自分のやりたいことを見つける
  • まずは決算書分析から
  • まず新商品開発に走りがちだが、業務や社内体制の改善から始めること(業務フローや工場レイアウト、販売管理システム)
  • 自社ブランドとOEMに優劣はない

 日東社は、事業の組織再編を進めるなかで2023年7月31日、紙製品の製造・販売事業と、ライター、マスク、カイロ等販促品(マッチ、シール、のぼりを除く)の販売事業を事業譲渡することにしました。会社として新たなスタートを切るタイミングで、この本を読み直すきっかけになりました。

 本を読んで、会社のMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)をもとに、デザイナーとの対話で個人アイデンティティ(ビジョン)の棚卸しを始めました。

 さらに、創業のルーツでもあるマッチの種類の見直しと価格の再設定にも取り組みました。マッチの自社ブランドは100円ショップなどで安定していますが、OEMの売上自体は減少しています。

 ECでBtoCに展開することで認知を広げ、BtoBで小売店などに最小ロットを少なくしたOEMの受注を増やすという方針を立てるのに役立ちました。

 季節ごとの商材やイベントをアピールするのに使われる「のぼり」も取り扱っています。ただし、商品数が多く、ブランドにならないため、一つに絞ってBtoC向けにブランディング化させようとしています。

 また、工場は3階建てなのですが、機能を集約させることで水道光熱費の削減、業務時間の短縮、工程間の関係性を向上させることに取り組んでいます。