目次

  1. 生成AIとは 文章も画像も音楽も
  2. 生成AIのメリット
  3. 生成AIのデメリット・注意点
  4. プロンプトとは 精度の高い回答を得るための工夫
    1. 指示は明確に
    2. AIの役割を明示する
    3. #(ハッシュタグ記号)を活用
    4. 逆質問をさせる
  5. 中小企業で活用できる生成AIのプロンプト例
    1. 文章の校正
    2. メールマガジンの文案作成
    3. 営業電話スプリクトの作成
    4. 経営戦略・経営課題解決のアドバイス
    5. 募集要項の校正

 生成AI(Generative AI)とは、ユーザーから入力された情報に応じて、テキスト・画像・音楽・映像などのコンテンツを生成することができる人工知能(AI)です。

 たとえば、テキスト(文章)生成では次のようなサービスがあります。

  • ChatGPT(OpenAI)
  • Google Bard(Google)
  • Bing AIチャット(Microsoft)

 画像生成AIには次のようなサービスがあります。

  • Stable Diffusion(ステーブルディフュージョン)
  • Midjourney(ミッドジャーニー)
  • Adobe Firefly(アドビファイアフライ)
  • Canva(キャンバ)

 ほかにも音楽や映像の生成AIも多数出ています。

 生成AIで、業務に役立つ文書やプログラムを作成できれば、時間の削減に役立ち、より創造的な業務に集中できます。東京都の「文章生成AI利活用ガイドライン」(PDF方式)によれば、以下のような活用方法があります。

  1. 文書作成の補助(要約、言い換え、翻訳、文案作成)
  2. アイデア出し(壁打ち、事業企画のペルソナ分析、デジタルツールの活用案提示)
  3. Excelで使えるマクロやVBAコードをつくる

 使い方次第で、経営判断の支援ツールから現場作業の効率化まで応用できます。

 ただし、生成AIを使う上では、注意点があります。個人情報や機密情報を入力した場合、情報漏洩につながる可能性もあるので、利用前にきちんと組織内でルールを決めましょう。

 また、生成されたデータが、既存の著作物と同一または、類似している場合があり、著作権侵害になる可能性もあります。そのため、公開前にきちんとほかの著作物に類似しないか確認しましょう。

 生成AIが事実にもとづかない情報を生成してしまう「ハルシネーション(幻覚)」にも注意しましょう。

 プロンプトとは、利用者が生成AIに指示をだすときの指示・命令文のことです。精度の高い回答を得るためには、プロンプトの工夫が必要です。筆者の場合は、生成に文書作成の指示をする上で、次のような項目を明示しています。

  1. どの立場で回答するか
  2. 回答の目的や前提条件を示す
  3. 回答を作成するうえでの注意点や出力方法を示す。

 たとえば、ツギノジダイ編集部のメンバーを励ますための言葉を生成AIと一緒に考えるとします。その際には、次のようなプロンプトを作成しました。

あなたは中小企業向けメディアの編集長です。編集部のメンバーが元気になるように声をかけようとしています。
まず #URL を読み込んで #ターゲット を考慮しながら、元気づけてください。#注意点 を守ってください。
#URL:
{参考となる公的機関のサイトなど}
#ターゲット:
会社の内外での調整に取り組む営業担当
#注意点:
セクハラ、パワハラ、人格攻撃は避けてください。

 東京商工会議所の「中小企業のための『生成AI』活用入門ガイド」(PDF方式)は、より精度の高い回答を得るための4つのポイントを紹介しています。

 前提情報、参考情報、例(お手本)は積極的に提供するとともに、条件(例:○○文字以内で、ビジネス文として相応しい形で)、出力方法(例:箇条書き、表、先生と生徒の対話形式で)も明確に記載することを勧めています。

 さらにガイドラインは「企業での活用にあたっては参考情報として自社の経営方針・理念なども入れると自社の方向性に合った回答が得られる可能性が高くなります」とアドバイスしています。

 AIがどのように振舞ったらよいか明示することも重要です。例えば、文章の校正であれば、入力内容の冒頭に「あなたはプロの校正者です」などとAIの役割を明確にすると良いでしょう。

 AIが区別しやすいように、各項目に#を用いて区切りましょう。(例:#命令文 #条件 #入力文 #出力文)

 「より良い回答を提供するために追加で必要な情報があれば私に質問してください。」と付け加えることで、不足する情報があればAIが逆質問してくれます。

 東京商工会議所のガイドラインは、中小企業で活用できるプロンプトを紹介しています。1回では、思ったような回答が得られない場合もあります。こうした場合、個人情報・機密情報は入力しないように注意しながら、自社に合う形で少しずつカスタマイズして試してください。

あなたはプロの校正者です。以下の文章を校正してください。
#入力文
<ここに校正してもらいたい文章を入力>
#条件
・誤字脱字、タイプミス、表記の揺れ、文脈に合わない単語の使用、文末表現
の不一致、主語述語の組み合わせの不備はすべて指摘してください。
・修正点は、太字にしてください。

以下の商品・サービスをPRするメールマガジンを作成してください。
#商品・サービス名
東商ビジネススクール
#概要
会員企業の従業員や経営者を主な対象として有料で実施している集合型研修。開催形態は「通学」、「オンライン」、「動画配信+通学」、「動画配信」、「合宿」の5種類。
#特徴
約150に及ぶ「多彩なテーマ」、他社の受講者と「共感、交流」 、90%に及ぶ「高い満足度」、多くの
企業が「受講効果を実感」、体系的に学ぶことができる「パッケージ型講座」
#ターゲット
都内中小企業・小規模事業者
#条件
ビジネス上のメールとしてふさわしい文体で作成

以下の商品・サービスの営業電話のスプリクトを作成してください。
#商品・サービス名
#概要
#特徴
#ターゲット
#条件
・ビジネス上のやり取りとしてふさわしい丁寧な文体で作成
・「今回、お電話させていただきましたのは、」から始まる文章を作成
・ゴールは商談のアポ取り

※架空の企業概要・理念です。

あなたは一流の経営コンサルタントです。私は、印刷業の会社の経営者です。今から私の悩みを伝えますので、アドバイスをお願いします。まず企業概要について記載します。
#会社概要
東京都文京区に所在する従業員50名の印刷業。オフセット印刷、大判印刷など各種印刷に対応。パンフレット、フライヤー、カタログ、年報、商品パッケージなどの企画制作・印刷・発送まで行うワンストップサービスも提供。
#自社の理念
①お客様の要望を可能な限り形にすることを最優先にします②最高品質の印刷物を提供することに妥協しません③地球にやさしい印刷プロセスを推進します

人材を新卒/既卒で採用するあたり、以下の要領で募集要項を作成したいので、閲覧者が最も応募したくなるように文章を推敲してください。文章を作成するために足りない情報があれば、私に質問してください。
#企業概要
#職種概要
#求める人物像
#勤務条件
#応募方法