目次

  1. 本の紹介者
  2. 困難や不条理に立ち向かう姿に共感
  3. 真逆な生き方から学んだ情熱と冷静さ

渡部竜也さん

株式会社プロスパイン代表取締役。金融機関、コンサルティングファームを経て、2016年に義父が創業した同社に入社。2020年より現職。「ニッチな技術で顧客の期待に応え続ける」というビジョンを掲げ、主力商品である永久磁石を使用した非接触動力伝達部品「マグネットギア」の拡販に精力的に取り組んでいる。

 関ヶ原~大阪夏の陣と武士の価値観が大きく変わる時代のなかで、ともに偉大な父親を持つ長宗我部盛親と徳川秀忠という武家の後継ぎの苦悩と生き様が対比的に描かれています。

 変化する価値観に翻弄されて落ちぶれていく中でも家の再興にもがく盛親、家康という存命する先代の大きな影響力に翻弄されながら自分の存在意義に悩む秀忠。

 運命的に組織を託された人間が直面する困難、不条理に立ち向かう姿に、時代は違えど現代の後継ぎたちも共感できるポイントが多いと思います。

 本書では盛親、秀忠の両者の真逆な生き様と運命が描かれています。個人的には不遇を囲いつつも組織を守る盛親の情熱に惹かれつつも、実際に組織を率いる立場上、打ち手を間違えて滅亡していく運命を肯定することもできません。

 短絡的かもしれませんが、経営者として私(渡部さん)は両者の良い所(盛親の情熱さと秀忠の政治的冷静さ)をバランス良く持つことを意識するようになりました。