アトツギアワード2023、グランプリはAsterと田島山業
企業永続のために革新的な事業や社会善の創出に積極的に取り組むアトツギ経営者を称え、ロールモデルとして紹介する初の表彰制度「アトツギアワード2023」が11月25日、東京都渋谷区のNN Shibuya Crossroadsでありました。各部門のグランプリには、途上国の地震被害者を減らそうと耐震塗料を開発している「Aster」の鈴木正臣CEOと、林業の経営改善と脱炭素の両立を目指す「田島山業」の田島大輔統括本部長が選ばれました。
企業永続のために革新的な事業や社会善の創出に積極的に取り組むアトツギ経営者を称え、ロールモデルとして紹介する初の表彰制度「アトツギアワード2023」が11月25日、東京都渋谷区のNN Shibuya Crossroadsでありました。各部門のグランプリには、途上国の地震被害者を減らそうと耐震塗料を開発している「Aster」の鈴木正臣CEOと、林業の経営改善と脱炭素の両立を目指す「田島山業」の田島大輔統括本部長が選ばれました。
既存の経営資源を活用したイノベーションを起こし社会に新たな価値を創出している企業を表彰するのが、イノベーション部門です。
このイノベーション部門のグランプリに選ばれたのが、耐震塗料の開発に取り組むAster(東京都中央区)CEO鈴木正臣さんです。
Asterなどによると、レンガやコンクリートブロックなどを積み上げた組積造は地震の揺れに弱く、過去100年の地震死者のうち、組構造の建物の倒壊による死者が多くを占めています。
こうした状況に、地震犠牲者ゼロを社会的使命に掲げ、家業の「エスジー」の技術を掛け合わせて開発したのが、柔らかいのに高強度な耐震塗料です。
JICAの協力を得ながら、フィリピンでの普及に向けて事業を進めています。
このほか、イノベーション部門の受賞者は次の2人です。
長期的な視点に立ち世代を超えて関係者の幸せと業績の両立を実現している企業を表彰するのが、ロングターミズム部門です。
グランプリに選ばれたのは、「田島山業」(大分県日田市)統括本部長の田島大輔さんです。
田島さんは、赤字経営となりがちで伐採後の植林にまで手が回りづらくなっている林業を変えつつ、地球規模の課題となっている脱炭素にも役立てようと、2024年にカーボンクレジットの販売に向けて大企業と話し合いを続けています。
また、環境省「自然共生サイト」に田島山業の森が認定されたことを生かして、生態系の保護に取り組む企業とのマッチングにも取り組もうとしています。
アトツギアワードのグランプリ受賞について「後継ぎのみなさんと一緒に、誰よりも結果を出して社会に貢献したい」と抱負を語りました。
このほか、ロングターミズム部門の受賞者は次の2人です。
審査員を務めた落合康裕・静岡県立大学教授は次のようにコメントしました。
「日本の長寿企業2万~3万社ありますが、そのほとんどはファミリービジネスです。同じことをやるだけでは、長寿企業は続きません。むしろ、エッジの効いたイノベーションを生んでいるという特徴があります。
なぜ変えられるのか。
そこには、パラドクスがあるのではないでしょうか。後継ぎたちは、先代たちに新しい挑戦に反対され、突き放されつつも『なにくそ』と奮闘し、結果を出そうとします。その姿に先代も後継ぎの評価を変えていくのです。
また、自分の世代では回収できないかもしれない長期のリスクを負えるのもファミリービジネスの特徴です。次の世代で回収できるのであれば、目の前がマイナスであっても正当化されるのではないでしょうか。このアワードはそんな事業を評価しています。この視点は、今後の地方創生でも、大きなキーワードになるのではないでしょうか」
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