目次

  1. 政府の総合経済対策とは
  2. 赤字の中小企業でも賃上げ促進へ
  3. 価格交渉に関する指針を2023年内に策定へ
  4. ガソリン補助金、2024年4月末まで延長へ
  5. 工場などの省エネ設備導入を促進
  6. 省人化・省力化へ補助金で支援
  7. 2023年度内に再生支援の総合的対策とりまとめ
  8. 経営者保証が不要な信用保証制度を創設へ
  9. 輸出支援へ「新規輸出1万者支援プログラム」を強化
  10. 事業承継税制、延長を検討
  11. 育休支援へ応援手当の助成金

 政府の総合経済対策とは、補正予算だけでなく、税制、制度・規制改革などを含めた総合的な経済対策のことを指します。岸田政権発足後3度目となる総合経済対策は以下の5つの柱で構成されています。

  1. 物価⾼から国⺠を守る(財政支出:6.3兆円程度)
  2. 持続的な賃上げと所得向上(財政支出:3.0兆円程度)
  3. 供給⼒強化・投資促進(財政支出:4.7兆円程度)
  4. ⼈⼝減少を乗り越え変化を⼒に(財政支出:1.6兆円程度)
  5. 安全・安⼼の確保(財政支出:6.1兆円程度)

 「デフレ完全脱却のための総合経済対策~日本経済の新たなステージに向けて~」は、内閣府の公式サイトで確認できます。

 賃上げについては、2023年の春季労使交渉の賃上げ率は3年ぶりの高水準となったものの、業績の改善がみられないのに賃上げに踏み切った中小企業も存在すると指摘しました。

 そこで、岸田首相は「税制改正で、赤字法人が多い中小企業や医療法人などでも活用できるよう賃上げ税制を拡充する」と説明。具体的には、繰越控除制度を創設するとともに、措置の期限の在り方などを検討するといいます。

企業の賃上げ・投資促進のための税制措置(内閣府の資料からhttps://www5.cao.go.jp/keizai1/keizaitaisaku/keizaitaisaku.html)

 また、地方でも賃上げが広がるよう、中堅・中小企業による工場などの拠点の新設や大規模な設備投資を支援するといいます。

 さらに、賃上げを一過性のものとせず、構造的賃上げとするため、以下も取り組みます。

  1. リ・スキリングによる能力向上支援
  2. 個々の企業の実態に応じた職務給の導入
  3. 成長分野への労働移動の円滑化

 中小企業・小規模事業者が賃上げの原資を確保できるよう、原材料費・エネルギーコスト上昇分の全額転嫁を目指し、価格転嫁対策を推進するとしています。そのために、内閣官房と公正取引委員会が、労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針を2023年内に策定するといいます。

 指針には、発注者側は転嫁に関する取組方針を経営トップの関与の下に決定・運用するとともに、受注者側との定期的な協議の場を設けること、また、受注者側が準備する根拠資料は、その負担とならないよう、賃上げに関する公表資料を用いることを盛り込む予定です。

 燃料油価格の激変緩和措置については、エネルギー価格の上昇を踏まえ、年末まで延長する予定でしたが、家計や価格転嫁が困難な中小企業等の負担が重くなりすぎないよう国際情勢や原油価格の動向などなどを見極めつつ、2024年4月末まで延長する予定です。

 2050年カーボンニュートラルの実現や化石燃料の海外依存を引き下げるためにも、企業には、工場などの省エネ設備の導入を複数年度にわたり支援します。また、中小企業向けの省エネ診断も推進します。

 家庭にも、子育て世帯や若者夫婦世帯の省エネ住宅の取得の支援を行うとともに、省エネ改修、断熱窓への改修、高効率の給湯器の導入支援をワンストップの窓口を設置して進めます。

 さらに、企業と家庭共通である運輸部門のCO2排出削減のため、クリーンエネルギー自動車、充電・水素充てんインフラ等の導入や、合成燃料(e-fuel)の早期商用化を目指した実証研究を支援します。

 人手不足に悩む中小企業・小規模事業者のため、政府は省人化・省力化に向けて補助金で支援する予定です。宿泊・飲食サービスであれば自動清掃、自動配膳ロボットなどを想定しています。

 カタログから選ぶような汎用製品の導入への簡易で即効性がある支援を新たに実施すると説明しています。

 中小企業・小規模事業者がインボイス制度への対応を円滑に実施できるよう、相談体制の拡充、取引実態調査、電子化に係るシステム導入支援も予定しています。

中⼩企業等の⼈⼿不⾜対応・⽣産性向上への⽀援(内閣府の資料から https://www5.cao.go.jp/keizai1/keizaitaisaku/keizaitaisaku.html)

 物価高の影響により厳しい状況にある中小企業などに対し、日本政策金融公庫などにおける資本性劣後ローンの運用見直しや、賃上げに取り組む場合の金利低減措置の導入などにより、資金繰りを支援します。

 また、経営改善、債務減免を含めた事業再生、再チャレンジを支援するため、新たに、「挑戦する中小企業の経営改善・再生支援強化会議」(仮称)を設置します。

 特に、官民金融機関や信用保証協会などによる、挑戦意欲がある事業者の計画策定などを通じた経営改善や再生を加速するため、2023年度内に、関係省庁が連携して再生支援の総合的対策を検討し、とりまとめます。

 認定支援機関による経営改善計画の策定支援について、民間金融機関による支援も対象とします。グループ化・事業再構築を行う中小企業に対し、官民ファンドからのリスクマネー供給とハンズオン支援をします。

 経営者保証改革を促進するため、保証料上乗せにより経営者保証の提供を不要とする信用保証制度を2023年度に前倒しして創設します。

 また、3年間の時限的な保証料負担軽減策を講ずることで、中小企業の積極的な事業展開を支援します。

 あわせて、保証申込手続の電子化を促進し、資金繰りの早期改善を図ります。

 農林水産物・食品の輸出額を2025年に2兆円、2030年に5兆円とする目標の達成に向け、JETROなどを通じた輸出先の多角化に向けた販路開拓を支援します。

新規輸出1万者支援プログラムの概要(経済産業省の公式サイトから https://www.meti.go.jp/press/2022/12/20221216001/20221216001.html)

 「新規輸出1万者支援プログラム」で、全国の商工会・商工会議所などの協力を得てさらなる普及を図り、専門家による相談対応を行うとともに、輸出向け製品に必要な設備導入を引き続き支援します。

 新たに、北米や欧州、アジアなど海外5ヵ所にショールームを設置するほか、東欧、中東、中南米などを視野に海外ECサイトと提携した販路開拓の支援を強化します。

農林⽔産品・⾷品や中⼩企業の輸出振興(内閣府の資料から 農林⽔産品・⾷品や中⼩企業の輸出振興)

 後継者不在の中小企業等に対し、事業承継税制について、特例承継計画の
提出期限の延長などを行うべく2024年度税制改正で検討します。

 こども・子育てに対する社会の意識改革を進めるため、育児休業を支える体制整備を行う中小企業で、業務を代替する周囲の社員への応援手当の支給への助成を行うなど、支援を強化します。待機児童の早期解消に向け、保育所や放課後児童クラブなどの受け皿整備を進めます。