目次

  1. 集荷・貯蔵・出荷を効率化
  2. 故郷にいるのが「窮屈だった」
  3. 志半ばで逝った父の後を継ぐ
  4. 「JA依存」からの決別
  5. スーパーへの直接営業で販路拡大
  6. 利益率の改善へ自ら輸出を開始
  7. 家族経営から法人化へ

 畑や田んぼが広がる山間部を車で走っていると、サツマイモをイメージさせる紫色の巨大な貯蔵庫とクリーム色に彩られたモダンなデザインの社屋など、最新鋭の施設群が現れました。

 宮崎市中心部から南へ1時間半、県の最南端・串間市にある「くしまアオイファーム」の本社です。敷地面積は約1万5千平方メートルに及びます。

くしまアオイファームの本社事務所

 敷地中央に位置するのは集出荷場です。自社農場や契約農家から仕入れたサツマイモを洗浄し、乾燥させた後に袋詰めにする工程では、数十人の従業員が流れるように作業をこなしていました。1袋あたりの重さが均等になるよう音声で知らせてくれる計量器など、効率性を高める機器も各工程で導入されています。

集出荷場での袋詰め作業

 数袋入りの段ボール箱はベルトコンベヤーに載せられた後、出荷先ごとにバーコードで自動で分類されます。トラックに積み込む直前までほぼ機械で自動制御され、短時間で当日分の出荷作業が完了する仕組みです。

サツマイモの入った段ボールを運ぶベルトコンベヤー

 集出荷場に隣接する倉庫はサツマイモ約250トンを貯蔵でき、収穫時の微細な傷をサツマイモ自らの力で治癒する「キュアリング」を促すよう、高温多湿の状態に保つことができる最新設備です。キュアリングによって、傷口から菌などが入ることによる腐敗を防ぐのです。

 倉庫の隣には約1200トンを貯蔵できる大型の低温貯蔵庫もあります。ここで数カ月間貯蔵することで、サツマイモが甘みを増した状態で出荷できます。

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