目次

  1. 祖父が創業した金物工場
  2. 「限りなく雨に近い」水やりを実現
  3. 3歳で始めたじょうろ作り
  4. 問屋任せに「これではダメだ」
  5. 越境ECで広がった世界
  6. 越境ECの注意点も
  7. 「BONSAI」の看板を見たら飛び込む
  8. SNSの活用で出会った「Joro」さん
  9. 「とにかくやってみよう」の精神

 根岸産業の創業は1944年。第2次世界大戦中の物資がない最中に、根岸さんの祖父・蔵信さんが金物製造を営んだのが始まりです。神社仏閣の屋根職人だった蔵信さんは、トタンなどを使って、じょうろや振るい、石炭バケツを始めとした園芸金物を製造しました。

 その後、1966年に父の修さんが2代目となり、先代の技術を応用しながら、銅や真鍮、ステンレスで園芸用じょうろを専門に製造するようになります。

根岸産業の銅製じょうろ。そのデザイン性も評価されています。価格は5千円~3万円ほど(同社提供)

 製造方法は今も変わらず、一つ一つ手作り。銅などの素材を機械で裁断し、それらを曲げて形作り、その各部分をはんだ付けし、磨きをかけて完成です。1日に作れるのはわずか4個ほどだといいます。

 金属板を裁断するのは、足踏み式裁断機。溶接は、七輪とコークス(石炭から作られる燃料で火力が強い)を使って温めます。いずれも先代から受け継いだ技術です。

じょうろ作りの工程。銅板の裁断(上段左)→曲げ加工(上段右)→溶接(下段左)→磨き(下段右)を経て完成する(根岸産業提供)

 根岸産業のじょうろは、壊れたり痛んだりした箇所を修理しながら、長く使い続けることができます。30年は問題なく使えるそうです。

 価格は5千円~3万円ほど。手間もかかっている分安くはありませんが、園芸家や盆栽の専門家から広く支持されています。その理由は、水の出方にあるといいます。

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