目次

  1. スパコン「京」にも使われる端子
  2. 効率化しないと「いずれ立ち行かなくなる」
  3. 製造現場が抱える「モヤモヤ」
  4. 進捗を3種のボタンで共有
  5. 市販のセンサーでモニタリングを進化
  6. モニタリングで電気代を月4万円削減
  7. エラーでもかまわない、まずはやってみる

 様々な電子機器で、電力や信号を送るのに欠かせない端子。1953年創業の杉並電機では、はんだを使わずシンプルな方法で電子基板に接続できる「プレスフィット端子」をはじめとして、さまざまな端子を製造しています。2023年11月時点の社員数は32人(うち6人が嘱託)、年商は約5億円です。

杉並電機が製造する端子とその断面(杉並電機提供)

 3代目社長の福田さんは、装置メーカー勤務を経て2000年に家業の杉並電機へ入社。品質管理やISO9000取得などを担当し、2008年から社長をつとめています。

 「うちはプレスフィットの端子製造に注力してきました。はんだ等で接合する端子に比べて、金型製造の工程が多く手間がかかる上に、サブミクロン単位で調整する技術が求められるため、対応できる会社は日本国内でも限られています。ここにはうちの強みとする『コイニング加工』という、きわめて高い精度で金属を曲げ、溝を作る技術が生きています。コイニング加工を用いた端子は、スーパーコンピューター『京』に採用されました」

スーパーコンピューターに使われる端子。差し込んだ基盤にダメージを極力与えないよう、滑らかな形状が求められる。左下は拡大図(杉並電機提供)

 自社が高い技術力を誇る一方で、福田さんには「生産性」に対する危機感がありました。特に2008年のリーマン・ショック後は、競争環境が厳しくなり、そうした思いが強くなっていったといいます。

 「日本の製造業が低コストのために海外移転したり、中国など海外メーカーの品質が大きく向上したりするなかで、あらゆるコストが高い東京で、ものづくりを続けるのには限界がありました。いくら技術力があっても、『少人数で効率的に機械を動かし、大量生産を実現するか』も追求しないと、いずれ立ち行かなくなると感じていました」

 競争力を維持するために、仕事の合理化を図りたい。そう考える福田さんが社内を見渡すと、あることに気がつきました。

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