目次

  1. 株式移転の三つの方法
    1. 遺言による遺贈
    2. 売買
    3. 贈与
  2. 事業承継税制のメリットとデメリット
  3. 自社株を信託財産にする承継の仕組み
  4. 信託に必要な二つの手続き
  5. 承継で家族信託を利用するメリット
    1. 贈与税がかからない
    2. 現経営者が引き続き経営に関われる
    3. 現経営者はいつでも自社株を戻せる
    4. 判断能力がなくなっても運営を続けられる
  6. 家族信託と事業承継税制は併用できない
  7. まとめ

 中小企業は現経営者が自社株の大半を保有しているケースが多いため、事業承継には後継者への株式の移転が必要になります。事業承継をめぐる主な株式移転の方法は、①遺言による遺贈、②売買、③贈与の三つが挙げられます。

 遺言は本人の死亡で効力が発生し、自社株が後継者に移ります。遺言での遺産の分け方によっては、他の相続人の遺留分を侵害するという問題が生じることもあります。相続時における株式の評価額が高ければ、高額な相続税が発生する可能性もあります。遺言で遺贈することを決めていても、死亡するまでの間は効力が発生しないので、経営者が脳梗塞などで寝たきりや後遺症で判断能力がなくなった際には、経営者は議決権を行使できません。株主としても会社経営者としても機能しなくなります。

 後継者が現経営者から株式を買い取る方法があります。この場合、株式の対価が高額になることが多く、後継者はそれなりの資金が必要です。手元資金がない場合には融資を受けることになり、利息負担が生じてしまうことになります。後継者が力不足の場合であっても、一度売却した株式を返却してもらいたいと思っても、同様に費用が掛かり、実行するのは、困難になります。売買を実行するには、後継者の力量を見極めなければなりません。

 贈与で後継者に株式を無償譲渡すると、確実に後継者にわたりますが、会社の評価額が高ければ、受け取る後継者に多額の贈与税が課税されてしまいます。一度に贈与してしまうと大きな税負担となるので、暦年贈与の非課税枠を利用する方法もありますが、長い期間を要する可能性があります。

 自社株の売買と同じで、贈与後、後継者が経営者として不適格だと思っても、いったん渡した株式を返してもらうことは困難になります。現経営者の財産の比率の多くを自社株式が占めている場合は、後継者以外の相続人の遺留分を侵害する可能性もあります。

 上記の三つの方法には、いくつかの問題点があり、実行に移すには資金面などの事前の準備が相当必要となります。では、事業承継税制を活用したらどうなるでしょうか。

(続きは会員登録で読めます)

ツギノジダイに会員登録をすると、記事全文をお読みいただけます。
おすすめ記事をまとめたメールマガジンも受信できます。