目次

  1. 情報持ち出し発覚の経緯
  2. 貸与パソコンに約11万人分の個人情報
  3. 交付決定通知文書を営業利用か 支援事例として紹介
  4. 不正持ち出し疑い 警察へ被害届

 事業再構築補助金事務局の公式サイトによると、情報不正持ち出しの経緯が発覚したのは1通の営業メールでした。

 パソナによると、事務局の元職員(派遣社員)が業務上知り得た1者のメールアドレスに対し、事務局業務において関わっていた補助金採択者が補助金受給にいたるまでの審査の申請を支援する旨の営業メールを送信していました。

 SNSでも営業メールが来ていたという投稿がありました。

 事務局が元職員に貸与していた業務用パソコンを調査したところ、業務マニュアルなど通常の業務に必要なファイルに加えて、約11万人分の個人情報を含む補助金の採択者約7.5万者の情報を保存・閲覧していたことが確認できたといいます。

 外部の専門家が調査したところ、この個人情報かどうかは不明であるものの、業務用パソコンより何らかのファイルが持ち出された痕跡を探知したといいます。

 さらにこの元職員が運営する補助金支援の営業ホームページを確認したところ、補助金採択者に対して交付決定等の通知を行った文書(事業者名、受付番号は黒塗りされた状態。補助金額等も記載)が掲載されており、支援の事実が明らかでないにも関わらず、元職員の支援事例として紹介されていたといいます。個人情報については見られない形で加工されていました。

 パソナは取材に対し「複数の手段で連絡は試みておりますが、ご対応いただけていない状態です」と説明。中小機構からも掲載取り下げを要求する文書を出しましたが、状況は変わっていないといいます。

 パソナと委託元の中小機構によると、情報流出の疑いがある採択者には連絡しており、警察にも偽計業務妨害の疑いで被害届を提出したといいます。約11万人分の個人情報が漏洩した可能性があるとして、個人情報保護委員会にも10月24日に報告したといいます。

 経産省はパソナに対し、適切な再発防止を取るよう指示したといい、パソナと中小機構は「外部のセキュリティ対策専門家の意見を踏まえた再発防止策を既に講じております」と説明しています。