目次

  1. 本の紹介者
  2. 著者は「日本でいちばん休みの多い会社」の山田昭男氏
  3. 改善アイデアに500円の報奨金
  4. 投資の新たな判断基準「社員のやる気につながるか」

辻本悠祐さん

1985年生まれ。大学卒業後、金融機関とIT企業を経て、2019年に家業の金剛鋲螺に入社。2023年より常務取締役。入社後は社内プロジェクトや人事全般を担当。現在は2022年に完成した新工場の体制構築に取り組んでいる。

 「日本でいちばん休みの多い会社」「ユニークなアイデアを生み出す提案制度」で有名な未来工業創業者・山田昭男氏による経営論をまとめた1冊です。

 形骸化していた弊社・金剛鋲螺の改善活動促進のための提案制度を見直す際に、未来工業の存在を知り、ヒントを得るため本書を読みました。

 本書からの学びは、社員の深層心理を突いた「やる気の引き出し方」です。

 例えば、未来工業の提案制度は、アイデア1件につき500円が支給されます。成果に対して褒賞金を支給する企業が多いなか、やる気を引き出すために、アイデア段階から褒賞金を支給する仕組みは新たな気づきでした。

 他にも、積極的な権限移譲や失敗を称賛する評価基準、福利厚生の拡充といった「やる気が出るもの」「社員が喜ぶもの」に惜しまず投資する姿勢は、アトツギのみなさんにもヒントになるのではないでしょうか。

 本書を参考に弊社の提案制度を見直した結果、年間提案件数は前期比30倍に増えました。提案を通して各自の頑張りが見える化されたことで、承認・称賛し合う雰囲気も生まれつつあります。

 私自身(辻本さん)も投資を検討するうえで、単純な費用対効果だけではなく、「社員のやる気につながるか」という新たな基準を持つことができました。

 インパクトのあるタイトルですが、人を大切にする経営哲学書としておすすめです。