目次

  1. プロダクトライフサイクルとは
  2. プロダクトライフサイクルの五つのフェーズ
    1. 製品開発期
    2. 導入期
    3. 成長期
    4. 成熟期
    5. 衰退期
  3. プロダクトライフサイクルを理解する三つのメリット
    1. 段階に合わせた事業戦略を立てられる
    2. コストを最適化できる
    3. 長く愛されるブランドを育てられる可能性がある
  4. 自社製品のプロダクトライフサイクルを分析する方法
  5. プロダクトライフサイクルの各フェーズに合った戦略例
    1. 導入期の戦略
    2. 成長期の戦略
    3. 成熟期の戦略
    4. 衰退期の戦略
    5. プロダクトライフサイクルに応じた戦略のまとめ
  6. プロダクトライフサイクルを活用する注意点
    1. 各ステージの長さや形状を正確に予測することが困難
    2. すべての製品が一般的な型に当てはまるわけではない
    3. プロダクトライフサイクルの周期が短期化している
  7. プロダクトライフサイクルに合わせて戦略を立てよう

 プロダクトライフサイクルとは、製品やサービスが開発されて市場に登場してから衰退するまでをいくつかのステージに分けて、その特徴を体系的にまとめたフレームワークのことです。略してPLCと呼ばれることもあります。

 下の図は、典型的な製品のプロダクトライフサイクルを示しています。企業は、ライフサイクルの各段階に適したマーケティング戦略を立てることが重要になります。

典型的なプロダクトライフサイクルの例
典型的なプロダクトライフサイクルの例:『PRINCIPLES OF MARKETING 8th Europian edition』p.28をもとに筆者作成

 段階をいくつに分けるかについては諸説ありますが、この記事では世界的なマーケティング学者であるPhilip Kotler(フィリップ・コトラー)氏が提唱している考え方にもとづいて、発売後の導入期から衰退期の4段階に製品開発期を加えた、合計5段階の分類で解説していきます。

 プロダクトライフサイクルでは、特定の製品やブランド、製品タイプが市場に導入されてからの推移を説明できます。また、スタイルや流行といったより広い概念の推移にも適用可能です。

 そのため、プロダクトライフサイクル曲線に関連する議論をするときは「何のライフサイクルについて語っているか」を明らかにすることが大事です。

 プロダクトライフサイクルを理解して戦略を立てるには、売り上げの曲線だけでなく各フェーズの利益についても知っておく必要があります。先ほどの売り上げ曲線に利益のラインを書き入れたものが下図になります。

プロダクトライフサイクルと利益曲線
プロダクトライフサイクルと利益曲線:『PRINCIPLES OF MARKETING 8th Europian edition』p.28をもとに筆者作成

 ここではまず、各フェーズの全体的な特長について解説していきます。

 プロダクトライフサイクルは、企業が新製品のアイデアを見つけて製品開発をすることから始まります。

 研究開発部門は製品コンセプトにもとづいて試作品を作り、安全かつ効果的に機能することを確認するために厳しいテストをおこないます。また、企業の多くは消費者が価値を見出すかどうかを確認するための市場調査を実施します。

 製品開発中の売り上げはゼロであり、企業の投資コストだけがかかるため利益はマイナスになります。

 導入期は、製品が初めて発売されたフェーズです。ユーザーへの認知や普及にはある程度の時間がかかるため、売り上げが伸び悩む時期になります。また、この段階では売り上げが低いにもかかわらず流通開拓・広告宣伝・販売促進の経費がかかるため、利益はほとんど見込めないか、マイナスになります。

 導入期では、一般的に最も購入準備が整っている消費者をターゲットに、製品の基本バージョンを販売します。まだ競争もあまり激しくないため、パイオニアとなる企業は製品や特長の認知を高め、いち早くシェアを拡大することをねらいます。

 新製品が市場を満足させられれば、販売数量は増え、売り上げ・利益が急上昇する成長段階に入ります。特に好意的な口コミがあれば、購入者が続くようになっていきます。

 同時に、利益のチャンスに惹かれて、新たな競合他社が市場に参入してきます。新しい製品が投入されたり、機能が追加されたりして、市場が拡大していくのが特徴です。競合が増えることで販売店も増加し、それらの店舗の在庫を増やすことで売り上げが急増していきます。

 ここでの製品価格は横這いか、わずかな下落にとどまります。

 ある時点までくると、売上高の伸びが鈍化する成熟期に入ります。製品がほとんどの潜在的購買層に受け入れられた状態です。この成熟段階は通常、前の段階(成長期)よりも長く続きます。

 この段階はマーケティングやマネジメントに多くの課題を突きつけます。新規ユーザーよりリピーターや買い替え層がメインとなるため売り上げの伸びは鈍化し、競合同士がシェアを奪い合います。

 そのため企業は、価格の引き下げや、広告・販売促進の強化といった施策が求められます。

 また、市場が成熟するとユーザーのニーズは多様化します。より高機能なものを求める人も出てくれば、性能はそこそこで格安なものを求める人も出てくるのです。

 多くの企業が製品開発予算を増やし、製品改良をすることで市場での生き残りを図ろうとしますが、これらの活動は利益の減少につながり、弱小の競争相手の一部は脱落し始めます。

 ほとんどの製品やブランドの売り上げは、やがて落ち込みます。これが衰退期です。その落ち込みスピードは緩やかな場合もあれば、急激な場合もあります。売り上げはゼロになることもあれば、低水準に落ち込んで何年も続くこともあります。

 売り上げ減少には、新しい技術の台頭・消費者の嗜好の変化・競争の激化など、さまざまな理由があります。売り上げと利益の減少により撤退する企業が増える一方、利益を確保するために提供する製品を縮小して、生き残りを図る企業も多いでしょう。

 プロダクトライフサイクルの理論および自社製品の立ち位置を理解することには多くのメリットがあります。ここでは、主なメリットを三つ解説します。

 プロダクトライフサイクルの各段階では、それぞれ異なるマーケティング戦略が有効です。プロダクトライフサイクルを理解することで、各段階の特徴を踏まえた適切かつ効果的なアクションを取れます。

 企業は、製品を発売するために費やした労力とリスクをカバーする利益を得る必要があります。しかし短期的な利益を追求するために、長期的な利益を棒に振ることは得策ではありません。プロダクトライフサイクルに合わせた事業戦略をとることは、製品の生涯トータル利益の最大化につながります。

 また、プロダクトライフサイクルのフレームワークを理解することで「この後どうなっていくのか」をある程度予測できるようになります。自社の次の手だけでなく競合の動きも予測できるようになり、それらを踏まえた適切な戦略を選べるようになるのです。

 プロダクトライフサイクルにおけるステージを把握することで、投資や撤退の判断も含め製品にかけるコストを適切に判断できます。

 このフレームワークは、単に導入から衰退の曲線を提示しているだけではなく、各段階でどのような戦略をとるべきかもあわせて教えてくれます。

 例えば、導入期には利益が出なくてもコストをかけて認知度を上げていくことや、衰退期には集客コストは増やさずにロイヤルユーザー(企業・ブランド・製品に強い愛着心を持ち、売り上げへの貢献度が高い顧客)のつなぎ止めのコストにとどめることなど、投入すべきコストの基本を理解できます。

 世の中には、成熟期から衰退期に入りかけたものの、強力なプロモーション戦略やリポジショニングによって再び成長期に戻る例もあります。

 例えば、ハインツ、コカ・コーラ、リンツ・チョコレート、タバスコ・ソースといった老舗ブランドは、誕生から100年以上経った今でも人気を保っています。

 長く愛されているブランドは、自らが置かれているステージを理解したうえで、能動的に仕掛けて成長期に戻すマーケティング戦略をおこなっています。成長期には、衰退期と比べて必要となるコストは高くなりますが、それを許容する事業判断がなされるためには、プロダクトライフサイクル理論の理解が欠かせません。

 自社が参入している製品タイプの市場や、すでに発売して時間の経っている自社製品がどのフェーズに置かれているのか判断するのは簡単ではないかもしれません。

 発売後の自社製品のプロダクトライフサイクルを判断するにあたって、参考になる情報を下表にまとめました。各段階を明確に区分けするための定義ラインはありませんが、下記の事業環境の特徴から総合的に判断するとよいでしょう(参照:『Marketing Management,15th edition』p.358)。

導入期
Introduction
成長期
Growth
成熟期
Maturity
衰退期
Decline
売り上げ 急上昇 ピーク 減少
顧客あたりのコスト 平均的
利益 ほとんどない/赤字 増加 高水準 減少
競合 少ない 増加 安定~減少 減少
顧客 イノベーター
(革新者)
アーリー・アダプター
(早期導入者)
メインストリーム・アダプター
(主流導入者)
ラギング・アダプター
(後発導入者)
潜在顧客のカバー率 0~数% ~約35% ~約80% 約100%

 また、次の章で紹介する各フェーズにあった戦略を参考に、市場の有力プレーヤーの動きを洞察することでも、現在どの段階にあるかを客観的に考えられるでしょう。

 ライフサイクルのステージが変われば、異なるマーケティング戦略と戦術が必要になります。ここでは、製品が発売されてからの四つのフェーズにおいて効果的とされる戦略について説明します。

導入期
Introduction
戦略例 ・認知度をあげる
・ターゲットや製品バリエーションを絞る
・セールスプロモーションを展開

 導入期では、製品のライフサイクル全体を見据えた壮大なマーケティング計画の第一歩であることを認識した戦略を立てることが大事です。パイオニアとなる企業は、市場でのリーダーシップを築き、維持できる絶好のチャンスを手にしているのです。

 この時期に無理に短期的な利益を追い求めることは、長期的な収益を犠牲にしかねません。顧客1人あたりの獲得コストをかけても認知を広めていく戦略が有効です。

 具体的には、ターゲットと製品バリエーションを絞ります。潜在顧客に対して自社製品の優位性や独自性をアピールするだけでなく、トライアル顧客を獲得するためにお得なプロモーションを展開するのも効果的です。

 また、エンドカスタマー(製品やサービスを実際に使用する顧客)だけでなく、流通業者への認知を広げて在庫を置いてもらう活動も重要になります。

成長期
Growth
戦略例 ・広告は認知拡大から納得性向上へシフト
・新しいチャネルやセグメントの開拓
・製品の機能やモデルの追加

 成長期に入ったら、市場の急成長をできるだけ長く維持するための戦略に切り替えます。販売促進費は現状維持か、やや高い水準に保つとよいでしょう。また、広告宣伝の一部を製品認知度の向上から、製品への納得性向上と購買の促進を目的としたものへとシフトさせていきます。

 成長段階では、ユーザーが増えることでプロモーション費用が分散され1人あたりの獲得コストは下がるため、利益が増加します。この時期、利益拡大と市場シェアはトレードオフの関係になりますが、ここで一気に市場シェアを伸ばすためには、製品の改良・プロモーション・流通に一定のコストを費やすことが大事です。

 成長期には、新しい流通チャネルや市場セグメントを開拓していくことも大事になります。製品の機能やモデルの追加も検討しましょう。

 これらの活動がうまくいけば、企業はその地位を確固たるものにできるはずです。

成熟期
Maturity
戦略例 ・ターゲットや市場の変更
・価格を下げる
・新規ユーザー獲得のためのプロモーション展開

 成熟期では売り上げの伸びは鈍化して競争が激化するため、マーケティング戦略にさまざまな課題を突きつけます。多くの場合、製品の改良や追加・ターゲットや市場の変更・マーケティング戦術の変更を検討する必要があります。

 ターゲットや市場の変更とは、自社ブランドの新しいユーザーや新しい市場セグメントを見つけることによって、消費を拡大しようとすることです。それまで市場の伸びを支えてきたユーザーは新しいものを受け入れる土壌があった人たちですが、ここからは世の中の動きを見ながら新しいものを慎重に取り入れていく人たちを取り込む必要があります。

 マーケティングの施策として、新しいユーザーや競合他社の顧客を引きつけるために価格を引き下げるのも一つの手段です。優れた広告キャンペーンを展開したり、値引きやプレゼントキャンペーンなどの積極的な販売促進をしたりするのもよいでしょう。

 また、スタイル・パッケージ・テクノロジープラットフォームなどの特徴を変えることでも、ユーザーを維持したり、新しいユーザーを惹きつけたりできます。

 キャラクターや他業種とコラボレーションをして、製品にサービスを付加して提供することで新しいユーザーの獲得をねらう戦略も考えられます。

 この時期に成功している製品の多くは、長い間変化していないように見えても実は消費者ニーズの変化に合わせて進化しています。ユーザーの声と向き合い、満足度の高い製品を提供し続けることが大切です。

衰退期
Decline
戦略例 ・リポジショニングして再投資
・製品群やチャネル、予算の縮小
・撤退や売却

 衰退期にきて売り上げ・利益が減少してきたら、企業はその分野の事業を再活性化させるか、維持するか、手放すかを決定しなければなりません。

 再活性化は、プロダクトライフサイクルの成長ステージに戻すことを期待しておこなわれます。ターゲットを決めなおし、リポジショニングして、広告宣伝にも再投資します。一度減らしたコストを、再び大きく上げるのには経営判断が伴います。

 再活性化の施策を実施し、消滅寸前から再び成長軌道に乗って拡張するブランドは数多くあります。前述の100年以上愛されているブランドたちがその例です。一方で、投資をしてもうまくいくとは限らず、赤字が膨らんでしまうリスクもあるでしょう。

 事業を維持する場合には、例えば以下の戦略が必要になります。

  • 提供する製品群の縮小
  • 小規模な市場セグメントや取引チャネルからの撤退
  • 販促予算の削減

 支出を減らすことで、限定的な売り上げでも利益を確保するためです。うまくいけば、何年かにわたって利益を上げ続けられるでしょう。

 一方で、衰退期にある弱い製品を維持することは、利益面だけでなくさまざまな負担や隠れたコストを伴います。経営者は、それらのリスクについても理解しておかなければなりません。

 短期的なリスクとしては、別のことに使えたはずの社内リソースをその製品のために使うことが挙げられます。例えば、成長期にあるほかの製品をより収益性の高いものにするための広告費や、営業活動リソースが振り分けられることなどです。

 中長期的に見て、衰退期の製品を維持する最も大きなリスクは、弱い製品を維持することで代替品の探索が遅れ、将来への足掛かりを弱めてしまうことです。また、ある分野での製品の評判が落ちると、顧客はその企業全体や、ほかの製品に懸念を抱くようになるリスクもあります。

 事業を手放すことにした場合、企業はそのブランドを単に廃止あるいは売却することもできます。例えば、消費財大手のP&Gは、過去にアイムスペットフードやマックスファクター化粧品など、戦略的に合わなくなったり衰退しつつあったりしたブランドをいくつか売却しています。

 売却を検討する場合は、成熟期に陰りが見えたらなるべく早めに売却相手を探すことが重要です。

 最後に、Kotler氏の教科書を参考に、それぞれの段階に適した戦略・戦術を一覧にまとめました。マーケティングの4P(製品・価格・販路・プロモーション)を具体的に考える際の参考にしてください。

導入期
Introduction
成長期
Growth
成熟期
Maturity
衰退期
Decline
製品戦略 基本製品の提供 機能拡張やサービス・保証の提供 バリエーションの多様化 弱小アイテムの廃止
価格決定 コストプラス法 市場浸透率を高める価格設定 競合と戦える価格設定 価格の引き下げ
販路 限定的な販路で展開 販路を積極拡大 販路のさらなる拡大 利益の出ない販路からの撤退
広告目的 ターゲットに向けた認知拡大 マスに向けた興味の拡大 差別性を強調 コアのロイヤルユーザーの確保
プロモーション トライアル獲得のためのヘビープロモーション 急拡大するユーザー対応のため削減 競合からのブランドスイッチ(乗り換え)をねらったキャンペーン 最低限のプロモーション

 プロダクトライフサイクルを理解することは重要ですが、市場の予測やマーケティング戦略の立案に活用する際にはいくつかの課題や注意点があります。ここでは、実際に活用する際に覚えておきたいポイントを紹介します。

 注意点の一つとして、プロダクトライフサイクルの各ステージにおける販売水準・それぞれのステージの長さ・PLC曲線の形状(上がり方・下がり方)を正確に予測することが難しいことが挙げられます。なぜなら、各社がとる戦略はプロダクトライフサイクルの原因であると同時に、その結果でもあるためです。

 このフレームワークは、製品の現在のライフサイクル上の位置に合わせて最適なマーケティング戦略を示唆しますが、戦略をとった結果は後の段階に影響を与えます。これを複数の企業が取り組めば、結果としてプロダクトライフサイクルの各ステージの長さは変わってきます。

 企業は常に市場状況を監視して、曲線の変化に柔軟に対応できるようにしておかなくてはなりません。

 すべての製品がプロダクトライフサイクルの5段階すべてを通るわけではありません。導入期からほとんど成長しないままになる製品がある一方で、長い間成熟期にとどまり続ける製品もあります。また、急成長していたステージから一気に衰退するケースも見られます。

 前述のとおり、衰退期に入った後、強力なプロモーションやリポジショニングによって再び成長期に戻る製品もあります。

 なお、季節性のある製品にはプロダクトライフサイクルは関係ないとする説も見られますが、必ずしもそうとはいえません。短期的に見れば季節が終わるとともに売り上げが下がるのが一般的ですが、長期的に見ればプロダクトライフサイクルに合致する例が多くあります。

プロダクトライフサイクルに合致する季節性の製品例:蚊取り線香
蚊取り線香は1890年に市場に登場し、改良が重ねられて大きく成長し、昔は日本のほとんどの家庭で見られました。
しかしその後はマットを使った電気タイプが増えました。現在はリキッド式やスプレータイプとの競争もあり、市場は昔と比べて縮小しています。

 都会では密閉度の高い住空間が増えたことなどの環境変化も、蚊取り線香の衰退に影響を与えているでしょう。このサイクルは長期で見ればまさにプロダクトライフサイクルに当てはまっています。

 すべての製品が典型的なプロダクトライフサイクルを経るわけではないこと、また、季節性のある製品でもプロダクトライフサイクルに当てはまる場合があることを念頭に置いて、自社製品の戦略を考えていきましょう。

 近年、プロダクトライフサイクルが短期化しているといわれています。これにはさまざまな理由がありますが、ITの発達により技術革新のスピードが早まったことは大きな理由の一つでしょう。新しい技術を搭載した製品がすぐ後から台頭すれば、もともとの製品は陳腐化してしまいます。

 また、SNSの普及に伴って情報拡散のスピードが格段に上がり、市場に導入した直後からあっという間に認知が広まるようになってきました。このような場合、短期的に需要が爆発するものの供給が追いつかず、販売店に長蛇の列ができるケースも珍しくありません。

 同時に、新しい流行の情報はすぐに蔓延するため、競合他社が一気に参入し供給過多になっていきます。新しいもの好きな人たちの間で人気が爆発したものの短い間しか流行が維持されず、供給が増えたころには衰退期に入ってしまうことも増えています。

 企業には、常に自社が置かれている環境を客観的に理解して、迅速に意思決定することが求められます。

 経営者は、新製品発売のために費やした労力と投資に見合う利益の獲得を望んでいるでしょう。

 プロダクトライフサイクルのフレームワークは、売り上げの一般的な曲線を示しているだけでなく、各ステージに適したマーケティング戦略・戦術も示しています。そこからは足元の利益だけではなく、中長期的に見て製品がもたらす利益を最大化するための示唆を得られます。

 プロダクトライフサイクルを考慮した事業戦略の立案に、この記事が参考になれば幸いです。