目次

  1. 川沿いの歓楽街に立つ額縁屋
  2. 「イケイケ」だったDJ時代
  3. 従来のスタイルが通用しない
  4. 一代で事業を成功させた祖父との確執
  5. 店を託され大改革へ
  6. 「誰も見たことがない」店を目指して
  7. 納屋橋をソーホーの裏通りに
  8. リニューアルで客層が拡大
  9. 商機を逃さなかった「先手」
  10. 需要と合致した「ミニ額」が人気に
  11. 対面販売への強いこだわり

 高山額縁店の始まりは、戦後間もない1946年。高山さんの祖父で、老舗の額縁会社に生まれた高山常隆さんが創業しました。

高山額縁店創業者の高山常隆さん(同社提供)

 「戦後の物資のない時期に、額縁なんて需要がないと思われるでしょうが、戦争で亡くなった方の英霊を飾るための額縁が、飛ぶように売れたんだそうです」と高山さん。

 時代は高度成長期に突入し、マイホームブームとなります。人々は新居に絵を飾るための額縁をこぞって買い求めました。豊かな時代背景の中、高山額縁店は順調に成長し、1972年に法人化します。周辺に歓楽街が広がる、堀川沿いの納屋橋のすぐ近くに店を構えていました。

 高山さんは、高山額縁が法人化した1972年に誕生。内向的でいつも家で音楽を聴いている子どもでした。

 「僕は次男で、店は兄が継ぐことが決まっていたので、将来は海外か東京に住みたいと漠然と考えていました」

 そんな高山さんに転機が訪れたのが1989年、高校2年のときです。交換留学で過ごした米国マサチューセッツ州ボストンがすっかり気に入り、転校して大学まで進学。しかし、家庭の事情や心境の変化などで、大学に入学してすぐに退学し、日本に帰国します。

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