目次

  1. SKUとは
    1. SKUの考え方
    2. SKUの使い方
    3. SKUと混合されがちな言葉
  2. 【業界別】SKUの具体例
    1. アパレル
    2. 食品
    3. IT
  3. SKUのメリット・デメリット
    1. SKUのメリット
    2. SKUのデメリット
  4. SKUの設定方法
    1. SKUを区別するケース
    2. SKUコードの決め方
  5. SKUでミスを生まない正確な在庫管理を実現

 SKU(エス・ケー・ユー)とは、Stock Keeping Unitの略で、受発注や在庫管理を行う際の「最小識別単位」のことです。商品をこれ以上は分類できない単位まで細かく分類した状態を指します。

 例えば、アパレル業界では「綿100%のTシャツ」というアイテムでも、黒・白・ネイビー・カーキなどの色違いや、S・M・L・XLなどのサイズ違いがあります。SKUは、この色違い、サイズ違いを別のものとして認識するもので、4色・3サイズ展開のアイテムなら「12SKU」あると認識します。つまり、SKUはお客様が購入する単位であり、個々の商品を識別する単位であるともいえます。

SKUの例(アパレル)
SKUの例(デザイン:中村里歩)

 SKUは、商品の受発注や在庫管理、販売動向を確認する際に重要となる管理単位で、小売業界や物流業界をはじめとするさまざまな業界で広く使用されています。

 SKUは、個々の商品を識別して単品管理するために設定するものです。店頭にはさまざまな商品が並んでいますが、一つの商品でも色違いやサイズ違いで多くのバリエーションがあります。

 例えばアパレルショップでは、同じデザインの「半袖Tシャツ」でも、黒・白・グレー・ネイビーなどの色違いがありますし、サイズもS・M・L・XLが販売されています。しかし、通常一人のお客様が買うのは「黒のMサイズ」ですので、色違い、サイズ違いを全て別のものと識別して管理しないと「何を販売したのか」「店舗に在庫はあるのか」がわからなくなってしまうのです。

 SKUは、この色違い、サイズ違いを別のものとして扱い、それぞれにコードをつけて分類します。このコードをSKUコードといいます。SKUコードは自社専用のコードですので、自由に決めることができます。

SKUコードの例(アパレル)
SKUコードの例(デザイン:中村里歩)

 店舗や倉庫における在庫管理では、SKUごとに管理するのが基本となります。例えば「綿100%のTシャツ」というアイテムでも、購入されるお客様の体格や好みには違いがありますので、当然、色やサイズごとに売れ行きは異なります。

 SKU単位で在庫管理を行わないと、特定の色やサイズが欠品してしまい、売り逃しによる機会損失につながります。したがって、店舗ではSKU単位で売り場の補充を行い、在庫を管理し、発注を行うのが一般的です。これは、EC通販においても同様です。

 小売業や物流業の現場でよく使われるSKUですが、「品番(型番)」「JANコード」「ASIN」などと混合されがちです。ここでは、それぞれの定義とSKUとの違いについて解説します。

① 品番(型番)とSKUの違い

 品番とは、商品を管理するための番号のことで「型番」「アイテム番号(アイテムコード)」とも呼ばれます。アイテム全体の販売動向を確認したり、次のシーズンの生産計画を立てる際には、品番単位で管理するのが一般的です。一方、SKUは受発注や在庫管理を行う際に用いられます。

 アパレル業界の例では、「綿100%の長袖Tシャツ」「綿100%の七分袖Tシャツ」「綿100%の半袖Tシャツ」は、異なるアイテムとして異なる品番をつけて識別します。対して、SKUはサイズや色によってさらに詳細に分類するのが特徴です。

② JANコードとSKUの違い

 JAN(Japanese Article Number)コードとは、日常的に私たちが買い物する商品についている「バーコード」のことです。SKUが企業独自のコードであるのに対し、JANコードは世界共通の商品コードであり、国際的にはEAN(European Article Number)コードと呼ばれています。

 JANコードには、商品の供給事業者の国、事業者、アイテムの情報が含まれています。一方、SKUは自由に設定できるため、アイテム、カラー、サイズなど商品の単品管理に必要な情報を組み込むことができます。なお、JANコードは「消費者の購入単位」で異なるコードを設定するため、単品識別するSKU単位で設定するのが一般的です。

③ ASINとSKUの違い

 ASINは、世界中のAmazonグループで共通利用されている、書籍以外の商品を識別するためのAmazon独自の商品識別コードです。Amazon Standard Item Numberの頭文字をとってASIN(エイシン)と呼ばれます。書籍の場合は、国際標準図書番号であるISBN(International Standard Book Number)がASINに相当します。

 SKUが在庫管理や受発注をおこなうための企業専用のコードなのに対し、ASINは世界中のAmazonで統一されたコードとなっています。サイズや色のバリエーションがある場合には、アイテム用の「親ASIN」に加えて、バリエーションごと(SKU単位)に「子ASIN」が設定され、国境を超えた商品検索や出品、販売管理の効率化に活用されています。

 SKUの利用は、業界や商品特性によって異なります。代表的な業界の例を見ていきましょう。

アパレルの場合のSKUの例
SKUの例:アパレル(デザイン:中村里歩)

 アパレル業界では、前述の通り「綿100%の半袖Tシャツ」というアイテムに対して、黒・白・ネイビー・カーキなどの色違いや、S・M・L・XLなどのサイズ違いが存在します。SKUは、この色違い、サイズ違いを別のものとして認識するもので、4色・4サイズで展開のアイテムなら「16SKU」となります。

 特にアパレル業界の場合は、サイズ間違いや色間違いを防ぐため、SKU単位での管理は非常に重要になります。

食品の場合のSKUの例
SKUの例:食品(デザイン:中村里歩)

 食品業界では、フレーバー(風味や味)や容量でのバリエーションが存在します。例えば、缶チューハイではひとつのアイテム「〇〇チューハイ」でも、「レモン味」「ライム味」「ウメ味」といったフレーバー違いが存在しますし、350ml缶、500ml缶といった「容量違い」も存在します。

 SKUでは、これらを全て別のものとして認識し、3フレーバー・2容量で展開のアイテムなら「6SKU」となります。

ITの場合のSKUの例
SKUの例:IT(デザイン:中村里歩)

 IT業界では、販売するソフトウェアのエディション(グレード)違いを異なるSKUと認識します。一つのアイテム「〇〇販売管理」というソフトウェアにも「ライト」「スタンダード」「エンタープライズ」などのエディション違いが存在します。この例の場合、「〇〇販売管理」は「3SKU」ということになります。

 ここからは、SKUのメリットとデメリットについて解説します。

 SKUで管理するメリットは、色違い、サイズ違い、フレーバー違い、容量違いなどがある商品を、それぞれ別のものとして認識し、個別管理できる点です。

 細かく商品を個別管理(単品管理ともいいます)することで、小売業では店頭での補充、在庫管理、追加発注を適切に行えるようになり、欠品などによる販売機会の喪失を防止できます。

 また、倉庫や物流の現場では、正確な単品管理を実現することで、誤入庫や誤出庫によるトラブルを防ぐことができます。

 SKUのデメリットは、管理対象となるSKUの数が多くなることです。例えば、1,000アイテムの商品を取り扱っている場合、色やサイズのバリエーションが平均で10あるとSKUでは10,000SKUになります。

 10,000SKUの商品を単品管理することになるので、ソフトウェアやITシステムの支援が必要になります。

 ここからは、SKUの設定方法を解説します。まずは、SKUを区別するケースについて見ていきましょう。

 一般的にSKUは、以下のようなケースで別のSKUコードを設定し、在庫管理時や販売時に明確に区別します。

  • 商品の色が異なる場合
  • 商品のサイズが異なる場合
  • 商品の内容量が異なる場合
  • 商品のフレーバー(風味や味)が異なる場合
  • 商品の販売単位が異なる場合

 下記で少し詳しく解説します。

商品の色が異なる場合
Tシャツやボールペン、口紅など、同じアイテムで色違いがあるものは、それぞれ別のJANコードを設定して別のSKUとして取り扱います
商品のサイズが異なる場合
TシャツのS、M、L、XLやスニーカーのサイズなど、同じアイテムでサイズ違いがあるものは、それぞれ別のJANコードを設定して別のSKUとして取り扱います
商品の内容量が異なる場合

350ml缶と500ml缶など、同じアイテムで内容量に違いがあるものは、それぞれ別のJANコードを設定して別のSKUとして取り扱います

ただし、商品の仕様見直しで容量変更を行った場合やキャンペーンで一時的な増量を行う場合は、JANコードを変更せずに同じSKUとして取り扱うこともあります

商品のフレーバー(風味や味)が異なる場合

缶チューハイの「レモン味」「ライム味」「ウメ味」やアロマオイルの香り違いなど、同じアイテムでフレーバー(風味や味)に違いがあるものは、それぞれ別のJANコードを設定して別のSKUとして取り扱います

商品の販売単位が異なる場合

同じ350mlの缶ビールでも、バラ売り、6缶パック売り、ケース売りなど、異なる単位で販売されることが想定される場合には、それぞれ別のJANコードを設定して別のSKUとして取り扱います

 SKUの決め方には定められたルールは存在しませんので、自社の商品特性に合わせて自由に設定できます。一方で、注意したい点もあります。

  • コード番号をつける場合には重複を必ず避ける
  • アルファベットや数字を組み合わせて、ある程度意味が通じるように決める
  • 自社内で桁数を揃える

 例えば、黒のボールペンで、ペン先が5mmの場合、以下のようにSKUコードを設定します。

 カテゴリーコード:ST(ステーショナリー)
 アイテムコード:BALL(ボールペン)
 カラーコード:BLK(ブラック)
 ペン先太さ:5MM(5mm)
 SKUコード:ST-BALL-BLK-5MM

 紙の伝票やFAXで受発注や在庫管理を行っていた時代には、上記のようにSKUコードを設定して単品管理をしていました。

 しかし、コンビニエンスストアの発展とともにPOSシステムが普及した現在では、システム上にJANコード、商品名、色、サイズ、内容量などを「商品マスター」として登録しておき、SKUコードは設定せずにJANコードだけで管理する方法が一般的です。

 小売業の店頭や物流業界など商品の受発注や入出庫が多く行われる現場では、商品在庫を正確に管理することが求められます。店頭欠品や誤発注・誤発送などのミスを発生させないためには、商品を単品管理できるSKUを設定することが重要です。

 SKUは自社で自由に決められるため、自社の商品特性に応じて設定したり、JANコードを活用したりして適切なコードを設定しましょう。

 SKUコードやJANコードを上手に活用して、正確な在庫管理を実現しましょう。