クーリエとは?EMSやフォワーダーとの違いや適切な業者の選び方を解説
近年、手軽に海外へ商品を販売できる越境ECが人気ですが、海外へどのように商品を発送したらよいのかわからないという人も多いのではないでしょうか。海外に商品を発送する手段は多岐にわたりますが、その一つがクーリエです。この記事では、クーリエのサービス内容や利用方法について解説します。
近年、手軽に海外へ商品を販売できる越境ECが人気ですが、海外へどのように商品を発送したらよいのかわからないという人も多いのではないでしょうか。海外に商品を発送する手段は多岐にわたりますが、その一つがクーリエです。この記事では、クーリエのサービス内容や利用方法について解説します。
目次
クーリエとは、書類や小口の荷物を航空便を利用してドアツードアで届ける国際配送サービスです。一般的に、迅速な配送が求められる場合や、特定の荷物を特定の場所に確実に届ける必要がある場合に利用されます。
通常、海外発送には煩雑な通関手続きが必要ですが、クーリエサービスでは専門の通関士がおり、通関手続きを代行します。これにより、国内発送と同じような手軽さで海外へ荷物を送ることが可能になります。
クーリエはインターネットの普及とともに急速に拡大し、今では貿易における便利な物流サービスとして重要な役割を果たしています。
クーリエ業者は、荷物や書類を発送者から受け取り、海外の指定された宛先まで迅速かつ安全に配達する役割を担います。その基本的な業務内容は次の通りです。
クーリエ業者の役割 | |
---|---|
集荷と配達 | 発送者から荷物や書類を受け取り、指定された宛先へ配達します。クーリエ業者は発送者のもとに集荷にきてくれるので、集荷場所まで荷物を持ち込む必要はありません |
荷物の追跡 | 多くのクーリエ業者は、発送者や荷受人が荷物の現在地や配達状況をリアルタイムで確認できるよう、荷物の追跡システムを提供しています |
通関手続きの代行 | 国際的な配送では、輸出入の際の通関手続きが必要ですが、クーリエ業者は発送者に代わりそれらの通関手続きを代行します |
クーリエと同様に、主に小口荷物の国際配送で利用される物流サービスとして、日本郵便が提供する国際郵便サービスの一つであるEMS(Express Mail Service)があります。
EMSとは、世界120以上の国や地域の郵便事業体が提供している公的な国際郵便サービスです。日本では日本郵便が取り扱っているため、郵便局の窓口から発送できます。
クーリエとEMSは似ていますが、重量制限の有無や配送スピードの差など、サービス内容や利用方法などが異なります。柔軟な対応を求めるのであれば、EMSよりもクーリエの方が便利でしょう。
クーリエとEMSの主な違いを、以下にまとめました。
EMS | クーリエ | |
---|---|---|
送料および関税の支払方法 | 送料は発送者が負担し、関税については荷受人が負担する | 発送者が負担するのか受領者が負担するのか選択可能 |
重量制限 | 最大重量は30kg | 30kg以上の重量の荷物も取り扱いできる |
配送スピード |
通常2~4日の配送日数がかかる。宛先国によっては1週間程度かかることもある |
EMSよりも配送スピードが速い傾向があり、どの宛先国であっても1~3日で配達できる |
通関手続き | 商品価格が20万円以下の荷物は日本郵便が通関を行うが、20万円を超える荷物は発送者が輸出申告を行う必要がある |
通関手続きの代行を含んだサービスのため、発送者は輸出通関の手続きをする必要はない |
フォワーダーとは、船舶や航空機、トラック、電車などを組み合わせて貨物輸送を行う国際輸送業者のことです。自らは輸送手段を持たない代わりに、荷主のニーズに合わせて最適な輸送プランを提案し、通関や保険、船舶や航空機の手配などの輸出に関わる付随業務も行います。
クーリエは小規模な荷物をスピーディに配送することを専門とし、フォワーダーは大量の貨物を複数の輸送手段を駆使して効率的に輸送することに特化しているといえるでしょう。
クーリエとフォワーダーの違いを以下にまとめました。
フォワーダー | クーリエ | |
---|---|---|
輸送手段 | 自らは輸送手段を持たず、陸海空のさまざまな輸送手段を組み合わせて配送する |
自社が保有する航空機を使って荷物を配送する |
取扱品目 | 航空機には積めないような嵩張るものや重量のあるもの、動植物、危険物なども送ることができる | 基本的に航空機で送れるもののみ |
重量制限 | 重量制限はない | 基本的に70kg程度までの荷物を扱う |
海外向けに荷物を発送する際に、クーリエ、EMS、フォワーダーのどの輸送手段を選べばよいの迷ってしまう人もいるでしょう。ここでは、輸送手段を選定するポイントを紹介します。
小型の荷物や少量の荷物、書類などを送る場合はEMSかクーリエが適しています。EMSは30kgまでという重量制限があるので、これらの荷物で30kgを超えるものについてはクーリエを選択するとよいでしょう。
クーリエも通常は70kg程度の重量制限がありますので、それより重量のある荷物や容積の大きい荷物を送る場合はフォワーダーを選択するとよいでしょう。
一般的に配送のスピードが一番速いのはクーリエで、次いでEMS、航空便(フォワーダー)、船便(フォワーダー)という順になります。
具体的な配送日数は宛先国や地域によっても異なりますので、各輸送サービスにおよその配送日数を確認したうえで最も適切な輸送手段を選択しましょう。
小さな荷物や少量の荷物を送る場合、EMSが一番安価です。宛先国や地域にもよりますが、一般的にクーリエはEMSより2~3倍の料金がかかります。
フォワーダーの場合は重量にかかわらず支払わなくてはならないミニマムチャージ(最低料金)があるので、少量の荷物の場合割高になります。
ここまでの情報をまとめてみます。配送業者・サービスを選ぶ際の参考にしてください。
クーリエ | EMS | フォワーダー | |
---|---|---|---|
重量や容積 | 小型の荷物や少量の荷物、書類におすすめ | 小型の荷物や少量の荷物、書類におすすめ(30kgまで) | 大型貨物や危険物に対応 |
配送スピード | 最も速い(1~3日) | 2~4日 | クーリエやEMSに比べるとゆっくり |
コスト | EMSの約2~3倍 | 最も安価 | 少量貨物の場合は割高 |
ここからは、代表的なクーリエ業者を紹介します。
DHL | ドイツに拠点を持つ世界最大規模の国際輸送物流会社 |
FedEx | アメリカに拠点を持つ世界最大規模の国際航空貨物輸送会社 |
UPS | アメリカに拠点を持つ世界最大規模の国際輸送物流会社 |
DHLはアメリカで設立された会社で、現在はドイツポストの一部となっています。本社はドイツのボンにあります。現在、 DHLは世界最大規模の総合物流会社として知られています。
同社は320機以上の専用航空機を保有し、配送可能エリアは世界220以上の国・地域をカバーしています。北朝鮮のような制裁対象国に配送している唯一の輸送会社です。
FedExは、アメリカで設立された世界最大規模の総合航空貨物輸送会社で、本社はテネシー州メンフィスにあります。同社は670機以上の専用航空機を保有し、DHLと同様に世界220以上の国・地域をカバーしています。
大手航空会社並みの自社航空機を保有し、グローバルに構築した自社ネットワークにより世界中でドアツードアのサービスを提供できるところが強みです。
UPSは、FedexやDHLに並ぶ世界最大規模の総合物流会社で、本社はアメリカのジョージア州サンディスプリングスにあります。貨物航空会社としては世界第三位の規模を誇り、自社で保有する290機以上の航空機により世界220以上の国や地域でサービスを展開しています。
オンライン販売の購入者が容易に返品ができるよう、返品サービスの充実に力を入れていることも特徴です。
海外向けにクーリエ業者を利用する際の一般的な流れは、以下の通りです。
発送物を確認する
発送物を梱包する
必要書類を作成する
集荷を手配する
それぞれの工程の流れや注意点について、詳しく見ていきましょう。
まずは、発送したい荷物がクーリエで配送できるかどうかを確認しましょう。上述のようにクーリエで配送できる荷物は、基本的に航空機で送れるものになります。
航空便に積み込めない荷物や動植物、刃物・毒物などの危険物はクーリエでは送れないため、注意しましょう。また、宛先国で輸入を規制している品目なども送れません。
配送できない具体的な品目については各クーリエ業者が公表していますので、そちらを確認してください。
発送したい荷物を梱包します。国際輸送では時に荷物が手荒に扱われたりするので、衝撃に耐えられるよう、ダブルカートンを使用したり十分な緩衝材を入れたりしてしっかりと梱包します。
輸出入の通関に必要な運送状(送り状)とインボイス(貨物の内容明細書)を作成します。書類を発送する場合は、インボイスは不要です。
通常、運送状はクーリエ業者が自社フォームを用意しています。最近では、クーリエ業者独自のアプリを提供している場合もあるため、検索してみるのもよいでしょう。
クーリエ業者に連絡し、集荷に来てもらいます。集荷依頼は、電話でもWebでも可能な場合がほとんどです。
集荷の際に運送状の控えを1部もらいますが、そこに貨物追跡番号(トラッキング番号)が記載されており、貨物の運送状況がその番号で確認できるようになっています。
クーリエは簡単かつ迅速に、ドアツードアで海外の宛先に荷物を届けることができます。特に書類や、高額で小型の荷物を急ぎで海外へ発送したい場合には最適な輸送手段です。さらに、関税の元払いが選択できるので、越境ECなどで海外の購入者に関税の支払いを負担させたくない場合などにも利用可能です。
ただし、同じクーリエ業者でも得意分野や料金、サービス内容に違いがありますので、クーリエを利用する際には、それらについて比較検討することをおすすめします。
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