目次

  1. SNS採用とは
    1. SNS採用が注目されている理由
    2. SNS採用に活用できるSNSの種類
    3. SNS採用の具体的な運用例
  2. SNS採用のメリット
    1. 求職者との接点を拡大できる
    2. 安価・無料で導入できる
    3. 応募者とのコミュニケーションを深められる
    4. 企業広報の活用・ブランディング効果が期待できる
  3. SNS採用のデメリット
    1. 炎上・トラブルのリスクがある
    2. 労力と結果が比例しないことがある
    3. 担当者の人選と質の管理が難しい
  4. SNS採用の成功事例
    1. X(旧Twitter):トゥモローゲート
    2. YouTube:Evand
    3. Instagram:i-UNITEDHOLDINGS
    4. Wantedly:メグラス
  5. SNS採用を成功させるために 導入手順とポイント
    1. SNS採用の目的を設定する
    2. SNSの選定をする
    3. 運用目標を決める/ベンチマークを設定する
    4. 運用メンバーとルールを決める
    5. 定期的に効果を検証する
  6. SNS採用は中小企業にこそ向いている採用手法

 SNS採用とは、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)を活用し、採用につなげる手法をいいます。

 会社の公式アカウントや採用アカウント、また経営者や採用担当者の個人アカウントなどを使って情報発信し、最終的に応募につなげる「広報ツール」としてSNSを利用するものです。

 X(旧Twitter)やInstagram、LINEといったSNSには、同じ趣味や興味・関心を持つ人同士が情報を共有・拡散する仕組みがあります。

 これにより、就職活動や転職活動に興味・関心をもつ人に自社の情報を届けるだけでなく、普段から使い慣れているSNSを通じて、気軽な接点をつくる「コミュニケーションツール」としての役割も期待できます。

 SNS採用は、SNSの利用に積極的な若年層へのアプローチに有効な手段として徐々に浸透してきました。

 その背景として、以下の3点が挙げられます。

  • SNS利用者の全体的な増加
  • 就職活動・転職活動のタッチポイント増加
  • 求人増加を背景にした採用難

 以下で詳しく解説します。

①SNS利用者の全体的な増加

 代表的なSNSの一つあるLINEを例に挙げると、2019年に66.8%だった利用率は2023年には83.7%まで増加しており、SNS利用者は増加傾向にあるとわかります(参照:LINE利用率83.7%:10~60代まで8~9割が利用|NTTドコモ モバイル社会研究所)。

 年代によって使用するSNSに違いはありますが、採用を計画する企業の担当者や経営層まで含め、日常的にSNSを利用し、その有用性に理解が深まっていることもSNS採用導入に繋がっています。

②インターネット利用普及に伴う、就職活動・転職活動のタッチポイント増加

 数年前までは、2000年代に普及した就職ナビサイトを中心とした就職活動がスタンダードとなっていました。しかしここ数年、スマホでのインターネット利用普及を背景に、スカウト型、エージェント型など就職・転職サービスの幅が広がっています。

 要望に合わせて企業探しのための媒体を使い分ける人が増えていることも、SNS採用のニーズが増えている一因です。

③求人増加を背景にした採用難

 コロナ禍で一旦下がった求人倍率は、徐々に回復傾向にあります。特に、従業員数300人未満の中小企業では6.19倍(2024年3月卒)と高い水準になっており、さらなる「採用難」が予想されている状況です(参照:ワークス大卒求人倍率調査〈2024年卒〉p.2|リクルートワークス研究所)。

 少子高齢化が加速するなかで、採用の窓口を増やしたいと考える企業は今後もさらに増加する可能性があります。SNS採用は、SNSを利用している若い世代に向けたアプローチができる新しい手法として注目されています。

 「SNS採用」と親和性が高く、活用されているSNSの特徴について、2023年のモバイル社会白書をもとに紹介します。自社のリソースや目的に合わせてSNSを選びましょう。

X(旧Twitter) 20代の76.9%が利用しているといわれているX。「就職アカウント」を作成し、卒業年次別にハッシュタグをつけ、交流する学生も多い。情報の拡散力が強く、最大140字のテキストが中心のため参入ハードルも比較的低い
LINE 全ての年代で最も利用率の高いSNS。法人ユーザー向けにさまざまな機能があり、即時性・双方向性に優れたコミュニケーションをとることができる
Instagram 写真・短い動画が中心のInstagramは、若年層を中心に人気の高いSNS。社内風景や社員の雰囲気を視覚で訴える効果が高いが、撮影するコンテンツに乏しい場合は活用が難しい
Wantedly 今回紹介するSNSのなかで、最も利用者数が少ないものの、就職・転職に特化したSNSのため、応募者増に直結しやすい。スカウトサービスなどのオプションも活用できる
YouTube

動画コンテンツのSNSの代表ともいえるYouTube。コロナ禍で導入が進んだオンラインでの説明会や職場見学会など、繰り返し利用が可能な動画コンテンツとして利用するケースが増えている

 ほかにも、FacebookやLinkedInといったSNSも利用できます。ただ、ほかのSNSに比べて利用者の年齢層が高かったり、日本での知名度が低かったりするため、SNS採用で利用する際は十分にターゲットや目的を明確にしたうえで運用することが大切です。

 上記のようなSNSを、実際の採用の流れの中でどのように運用しているか、具体的な事例で紹介します。

X(旧Twitter):ハッシュタグ
企業の公式アカウントとしてSNSを立ち上げ、企業のトピックスやイベント情報などと採用情報も一緒に情報発信する手法は、最も取り組みやすいSNS採用の手法です。Xで「#企業公式」と検索すると、多くのユニークなアカウントを見つけることができます
LINE:公式アカウント

SNSのなかでも特に利用者が多いLINEは、年代や地域に関係なく学生とのコミュニケーションが取りやすいツールといえます。公務員採用でも導入されており、熊本県ではLINE公式・公式Instagramを通じて説明会や採用試験の情報発信に取り組み、2024年採用時は500人近い登録者を集めています

Instagram:採用代行業者の活用

若年層に支持の高いInstagramは、採用の分野でも運用代行業者の選択肢が豊富です。自社内でSNS運用担当者を置くのが難しい場合、代行業者は複数の候補から検討し、自社の業務への理解ができていることを重視して選定しましょう

Wantedly:スカウト機能

求職者と直接コミュニケーションを取るツールとしてSNSを活用することで、企業規模や認知度だけでなく、やりがいや事業の社会的意義を通じて会社に興味を持ってもらえる可能性が高まります

YouTube:限定公開機能

検索結果に表示される動画の他に、対象者を限定して公開できる「限定公開」機能と組み合わせることで、応募段階に合わせた「特別な」動画を届けることができます。志望度を高める・内定者教育に利用するなど、多様な活用法があります

 SNS採用の概要を確認したところで、そのメリットについて紹介します。

 一般的な就職ナビサイトなどの検索では、企業規模や業種、職種などあらかじめ応募者が絞り込んだ条件に含まれなければ情報を届けることができません。SNSは「拡散」により、これまでもてなかった接点が生まれることがあります。

 SNSのアカウント開設はほとんどの場合無料です。一部、機能を追加することで有料となる場合もありますが、多くのケースで広告媒体よりも安価です。

 SNSには基本的に双方向のコミュニケーション機能があります。単に情報を届けるだけでなく、気軽なコミュニケーションをとることで、理解促進や志望度を高める効果が期待できます。

 SNS採用は、必ずしも採用専用アカウントの開設が必要なわけではありません。お客様向けを含めた、企業公式アカウント、商品広報アカウントを利用するという方法もあります。採用のための情報発信が、企業そのもののブランディングにもつながる可能性があります。

 多くのメリットがあるSNS採用ですが、環境や条件によっては大きなデメリットが生じる場合もあります。自社のリソースと照らし合わせ、リスクも含めて検討しましょう。

 SNSでは過去にも多くの炎上・トラブルが発生しています。私用アカウントと採用アカウントを混同して投稿を取り違えてしまったり、写ってはいけない個人情報や社外秘情報をアップしたりといったトラブルが発生しないよう細心の注意が必要です。

 SNS採用の成功のためには、ある程度の投稿量が必要です。しかし、その労力と結果は必ずしも比例するものではありません。過度な期待は禁物です。

 誰でもが簡単に扱えるSNSですが、誰でもがユニークなコンテンツを発信できるわけではありません。担当者の人選やコンテンツ提供にどれだけ社内の理解が得られるかなど、質を管理する難しさがあります。

 SNS採用は大手企業、一般的な知名度が高い企業ばかりが利用するものではありません。エリアや社員数・売上規模に関わらず、アイデア次第で大きな反響が期待できます。

 ここでは、SNSの使い方の参考になる成功事例を四つ紹介します。

X(旧Twitter) トゥモローゲート
YouTube Evand
Instagram i-UNITEDHOLDINGS
Wantedly メグラス

 「SNS採用」の代名詞ともいえるのが、Xに代表取締役自ら11万人のフォロワーを持つトゥモローゲート。ブランディングに特化したコンサルティング・デザイン事業を展開し、自社の採用でも、毎年多数の応募をSNS経由で集めています。

 X|西崎康平@ブラックな社長

 さまざまな人材サービスを展開しているEvand。YouTubeの検索機能や説明欄を活用した会社説明会の動画は、わずか1年足らずで1万8000回以上の視聴数を集めています。X、Instagram、Facebookなど他SNSや公式ホームページなどの誘導動線もわかりやすく、応募者に合わせた細やかな設計が参考になります。

 YouTube|Evand株式会社<わくわく!>WEB会社説明会【2024年卒向け】Suprieve Holdings

 山口県山口市の建設不動産業i-UNITEDHOLDINGSの採用Instagramは、社名ではなく入社3年目社員である「採用担当まさひろ」名で運用されています。社員数千人以上の大手企業の採用アカウントでもフォロワー数は数百人程度が一般的であるにもかかわらず、1500人近くのフォロワー数を獲得しています。

 Instagram|採用担当まさひろ

 愛知県で介護事業を展開するメグラスでは、Wantedlyのスカウト機能を利用して異業種から2名の転職者採用を実現しています。会社のストーリーには月に1度必ず記事をアップし、社内の雰囲気を伝えることを意識しているといいます。自社のビジョンやビジョンに共感してくれる人材に出会えるのも、SNS採用ならではです。

 Wantedly|メグラス

 費用がかからず、SNS自体の使い方を知っている人は多いため、導入ハードルが低いSNS採用ですが、安易に開設しただけでは採用にはつながりません。SNS採用を成功させるための導入手順とそのポイントを解説します。

 SNS採用に限らず、採用の目的を共有することは必要不可欠です。採用ターゲットや時期、人数の設定はもちろんのこと、企業認知度を高めるためか、応募数を増やすためか、辞退率を下げるためかなど、SNSを通じて解決したい課題・目的をしっかりと設定しましょう。

 SNSによってその特徴はさまざまです。設定した目的に応じて選定をします。予算の有無や対応できる人数など、社内のリソースにも考慮が必要です。

 効果測定のためにも、運用目標を設定します。運用目標を決めるときは、SNS採用におけるベンチマーク的存在を調べ、PVやフォロワー数などを参考にしましょう。

 「開設はしたものの、自動応答botのメッセージが配信されるだけ」なSNSになってしまっては逆効果です。運用メンバーと運用に当たってのルール・スケジュールは最低限設定します。

 SNS採用の結果がすべて目標・想定通り進むことはありません。どんなコンテンツがどのように評価されるのか、知見を積み重ねる必要があります。定期的に効果を検証するため、データに記録しておきましょう。

 自社の「採用ターゲット」に合わせたSNSを選定でき、見せ方を工夫しながら必要な情報を届けることでより効果が期待できるSNS採用は、意思決定のスピードが早い中小企業にこそ向いている採用手法といえます。SNS利用者が全体的に増加しているいま、新しい採用手法にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。