目次

  1. 生産性向上に役立つ補助金とは
  2. 能登半島地震からの再建支援も
  3. 価格交渉で付加価値拡大を

 山本さんはまず、中小企業にとって「人手不足」と「急激な物価上昇」が課題になっていると指摘。これらに対応するためにも「生産性の向上と、積極的な価格交渉に取り組み、付加価値の拡大と賃上げという成果を目指してほしい」と述べました。

 生産年齢人口の減少が今後も続く中での生産性向上のため、支援策として紹介したのが、四つの補助金です。一つ目がものづくり補助金。生産ラインへのロボットの導入など、革新的な製品・サービス開発などに必要なオーダーメイドの設備投資・システム構築の費用を支援するものです。次が、IT導入補助金。DXによる業務効率化に向けた、ITツールの導入費用を補助します。三つ目が持続化補助金。小規模事業者の活動を支援するもので、少額ですが様々に使い勝手がよいのが特徴です。最後が事業承継・引継ぎ補助金。事業承継にあたって、経営を第三者に渡す際や、M&Aを通じたグループ化の際に活用できます。

生産性向上に役立つ四つの補助金(中小企業庁の講演資料から)

 ものづくり補助金の活用イメージとして挙げたのが、冷凍魚の輸出を手掛ける茨城県の会社です。「魚の冷凍加工のプロセスを自動化し、作業人数は14人から3人に減った一方で、生産量は120トンから200トンに増加しました」。

 また、能登半島地震で被災した事業者向けの支援も紹介しました。工場や店舗など施設の復旧費用を補助する「なりわい再建支援事業」、販路開拓の費用を補助する「持続化補助金(災害支援枠)」などを準備しています。日本政策金融公庫による資金繰り支援も実施しています。

能登半島地震で被災した事業者向けの支援策(中小企業庁の講演資料から)

 山本さんは最後に、価格交渉の重要性を訴えました。中企庁の調査に基づいて、「価格交渉の機運自体は広がっているが、価格の転嫁率については伸び悩んでいる」と状況を説明。特に労務費の転嫁がなかなか進んでいないといいます。

 取引環境の整備の一環として、2023年11月に公正取引委員会が「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」を公表しました。労務費の転嫁を求める根拠資料として、最低賃金の上昇率など公表資料に基づくものを発注者が尊重するよう記すなど、価格交渉の場で発注者・受注者がとるべき行動を示して、適切な価格転嫁を促そうとしています。

 「100%の価格転嫁を目指すことは、創意工夫を無用とするものではありません。価格転嫁の環境を整えることで、急激なコスト上昇に対応しつつ、これらを克服する創意工夫により、サービスやモノづくりの付加価値が一層高まる状況にあると、お考えいただければと思います」