ポモドーロテクニックとは 活用できるアプリや効率の良いやり方を紹介
ビジネスシーンでは、効率的なタスク遂行を目的にさまざまな時間管理法が活用されています。そのなかの一つが、短時間の実行と休憩のサイクルを繰り返すポモロードテクニックです。この記事では、ポモドーロテクニックの仕組みやメリット、効果を高めるポイントなどを、製造業界の専門家が解説します。
ビジネスシーンでは、効率的なタスク遂行を目的にさまざまな時間管理法が活用されています。そのなかの一つが、短時間の実行と休憩のサイクルを繰り返すポモロードテクニックです。この記事では、ポモドーロテクニックの仕組みやメリット、効果を高めるポイントなどを、製造業界の専門家が解説します。
目次
ポモドーロテクニックとは、短い休憩を挟みながら集中して作業を進める時間管理手法のことです。短期間集中して作業に取り組むことで、生産性やパフォーマンスの継続性を高めます。長時間にわたる学習、研究、仕事などのシーンで活用でき、特に集中力が必要で疲れやすい作業を効率的に進めたい場合に有効です。
ポモドーロテクニックの「ポモドーロ」はトマトという意味です。ポモドーロテクニックを考案したフランチェスコ・シリロ氏が、トマト型のキッチンタイマーを使用して作業と休憩の時間を計測していたことが名称の由来となっています。
ポモドーロテクニックでは、25分間作業を行った後に5分間の休憩を取って、再び25分間作業するという基本行動を繰り返します。
具体的には、作業が始まる前にタスクを決定し、タイマーを25分にセットします。タイマーが鳴るまで集中して作業を行い、鳴ったら5分間の休憩を取ります。この一連のサイクルを「1ポモドーロ」と呼び、4回終わるごとに15分から30分の長い休憩を取ります。
ポモドーロテクニックが効果的な理由は、定期的な休憩が心理的疲労を防ぎ、注意力が散漫になるのを防ぐからです。短い休憩を挟むことで、長時間の作業においても効率良くタスクに収集して取り組めます。
ポモドーロテクニックの効果についての研究は十分ではありませんが、利用者の経験や限定的な科学的研究から、一定の有効性が示されています。
ポモドーロテクニックは30分間の短いサイクルで行動するため、脳の注意力が維持できる時間を最大限に活用し、定期的な休憩を通じて疲労の蓄積を防ぐ効果があります。
実際に、ポモドーロテクニックを活用したことで、学習面での読解力向上や、裁判など人生を左右する判決をくだす場面で判断力が向上した事例も報告されているのです。
ただし、このテクニックがすべての人にとって最適とは限りません。しばしば「ポモドーロテクニックは嘘」「意味がない」といわれるのは、個人の作業スタイルや課題によって効果が異なるためでしょう。
参考論文 | |
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学習例 | POMODORO TECHNIQUE FOR IMPROVING STUDENTS’ READING ABILITY DURING COVID-19 PANDEMIC |
裁判例 | Extraneous factors in judicial decisions |
ポモドーロテクニックは仕事だけでなく、日常生活などさまざまなシーンで活用できます。ここでは、具体的な効果やメリットを四つ紹介します。
ポモドーロテクニックは25分間という限られた時間を設けることで、作業への集中力を高めるテクニックです。タイマーをセットして作業を開始すると、その時間が「作業のみに集中する時間」と明確に定義されるため、無駄な行動や気が散る要素を排除しやすくなります。集中力が維持されることで効率的にタスクを進められ、作業品質も向上します。
ポモドーロテクニックをチームで採用することで、個々人の作業時間と休憩時間が同期され、全体の作業効率が向上します。作業期間と休憩期間がメンバー間で共有されることで、チーム全体のタスク管理がスムーズになり、作業の連携もしやすくなるため、生産性の向上も期待できます。
ポモドーロテクニックでは、25分という短時間の作業が終わるごとに達成感を繰り返し感じられるため、小さな成功体験が積み重なり、継続的に行動するためのモチベーションの源泉となります。また、作業品質が向上することで得られる満足感も自己効力感を高めるため、持続的なモチベーションの維持に寄与します。
ポモドーロテクニックを利用することで、自然と時間管理のスキルが身につきます。限られた短い時間内でタスクを完了させるためには、作業開始前に時間を最も効果的に使う方法を考え、計画的に行動する習慣が求められます。これは、仕事だけでなく日常生活などでも役立つ重要なスキルです。
ポモドーロテクニックを初めて実施する際には、全体の流れを事前に把握しておく必要があります。ここで紹介する実践する際の手順とルールを参考に、時間管理に取り組んでみましょう。
まずは、実施前の準備が必要です。以下のステップで準備に取り組みましょう。
ポモドーロテクニックのやり方ー準備編ー | |
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①タイマーの準備 | ポモドーロテクニックにはタイマーが必須です。スマートフォンのタイマーアプリやキッチンタイマー、専用のポモドーロテクニックアプリなどを準備しましょう |
②作業リストの作成 | 実施予定のタスクをリストアップし、それらを25分で完了できる小さなステップに分割します。タスクが明確で具体的であるほど、時間内で作業を進めやすくなります |
③タスクの見積もり | タスクの中に25分を超えそうなものがある場合は、さらに小さく分割することが重要です。それによって、作業の進捗が明確になり、達成感も得やすくなります |
準備が整ったら、いよいよ以下の手順で作業を開始します。
ポモドーロテクニックのやり方ー作業編ー | |
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①タイマーを25分にセットする | 最初のタスクに取り組む前に、タイマーを25分にセットします |
②集中して作業に取り組む | タイマーが鳴るまで、予定したタスクに集中します。作業中の予期せぬ中断を避けるためにも、この間は極力、電話やメール対応は避け、ポモドーロの間は各種アプリの通知をオフにするなどして集中できる環境設定を行います |
③タスクの進捗をチェックする | 25分の作業が終了したら、行ったタスクにチェックを入れて進捗を確認します |
作業が終了したら休憩し、また作業を開始するというサイクルを継続します。
ポモドーロテクニックのやり方ー休憩編ー | |
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①5分の休憩を取る | 作業時間終了後、5分間の短い休憩を取ります。この時間は、席を立ってストレッチをしたり、コーヒーを飲んだりしてリラックスします |
②4セット毎に長い休憩を取る | 4回のポモドーロ(25分作業 + 5分休憩の4セット)が終了したら、頭を完全に休めてより効果的なリフレッシュを促すために、15分から30分の長い休憩を取ります |
ポモドーロテクニックは、確実に効果が出る決められたルールがあるわけではありません。以下では、効果を高めるテクニック活用のコツを四つ解説します。
ポモドーロテクニックはツール(アプリ)を活用することで効果的に行えます。ここでは、便利なツール四つの機能とともに紹介します。
Forestは、ポモドーロテクニックとゲームを組み合わせ、楽しく実施するためのアプリです。作業セッションを開始すると仮想の木を植えることができ、セッションを完了すると木が成長します。ただし、途中で作業を中断すると木が枯れてしまうため、継続的な作業が求められます。
集中力を維持するモチベーションとして視覚的に楽しめるため、日常的に集中力を高める習慣を育てるのに役立ちます。
Focus To-Doは、ポモドーロタイマーとタスク管理機能を兼ね備えたアプリです。プロジェクト別にタスクをカテゴリ分けして時間を追跡できるため、組織的に作業を進められます。期限のリマインドや複数デバイス間の同期機能などがあり、個人用だけでなくチームワークが求められる環境でも利用できます。
PomoDoneは、Trello、Asana、Todoistなどのタスク管理ツールと同期できるアプリです。既存のタスクにポモドーロテクニックを適用し、作業と休憩の時間をカスタマイズできます。作業中の集中を保つために、特定のウェブサイトの閲覧をブロックする機能も備えています。
Toggl Trackは、日々の仕事にかかる時間を記録・管理するためのアプリです。詳細な時間追跡と生産性分析が可能で、さまざまなアプリケーションと統合できるため、既存のワークフローにすぐに組み込めます。作業と休憩の間隔をカスタマイズできるため、チームや個人での作業プロセスの最適化や、プロジェクトにかかる時間を追跡したい場合に役立ちます。
ポモドーロテクニックの短い休憩を最大限に活用するには、スマートフォンやパソコンなどの画面を見るのは避け、脳に完全な休息を与えることがポイントです。
具体的には、完全に仕事から距離を置いて、以下のような息抜きを行います。
ポモドーロテクニックの休憩時間の過ごし方 |
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・立ち上がってストレッチを行う ・窓の外を眺めてリラックスする ・オフィス内で短い散歩をする |
これらの活動は血流の促進に効果的で、疲れた目を休めるのにも役立ちます。
ポモドーロテクニックの効果を高めるには、習慣化が必要です。毎日同じ時間に作業を開始し、ポモドーロタイマーをセットすることを日課にしましょう。
まずは、基本的なサイクルである25分間の作業と5分間の休憩を守ることから始め、徐々にこのリズムに慣れていきます。カレンダーやアラーム機能を使って、ポモドーロセッションを計画的に設定・実行すると、習慣化がさらに容易になります。
ポモドーロテクニックを自分の行動特性に合わせてカスタマイズすることで、より作業効率を高められます。例えば、25分の作業時間が短すぎるならば、作業時間を30分や35分に延長し、休憩時間も疲労度に応じて5分より長く取るようにしましょう。
ポモドーロテクニックでは、自分の集中力や疲労感を適切に評価し、それに基づいて作業時間と休憩時間のバランスを調整することが大切です。
ポモドーロテクニックのメリットを最大限に活用するためには、デメリットの理解も欠かせません。
ポモドーロテクニックの注意点・デメリット |
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・作業内容によっては適用が難しい ・中断による調整が必要になる場合がある ・業務遅延につながる恐れがある ・業務効率が落ちる人もいる |
ここでは、テクニック実施に際しての注意点やデメリットを紹介します。
ポモドーロテクニックは1サイクルが30分という短い時間を基本としているため、深い思考や創造的な活動を必要とする作業には向いていません。特に、長文の執筆や資料作成、複雑なデザイン作業など、思考を保持しながら進めるタスクでは、頻繁な中断によって効率が低下する可能性があります。
そのため、ポモドーロテクニックを適用する際は、作業の性質を事前に考慮する必要があります。
在宅ワークやオフィスでの緊急の電話応対、来訪者対応など、予期せぬ中断が発生する場面では、ポモドーロテクニックの継続が難しくなります。25分間の集中作業を確保できない恐れがある環境では、作業時間を柔軟に調整するか、他の時間管理法との併用などの考慮が必要です。
ポモドーロテクニックでは、各作業が25分以内に完了すると想定して実施しますが、予想以上に時間がかかるタスクもあります。時間を割り当てる際に、実際の作業時間を過小評価してしまうと、プロジェクト全体のスケジュールが狂ってしまうリスクがあるため、効果的な計画立てとタイムマネジメントが求められます。
ポモドーロテクニックを活用した短い作業サイクルは、一部の人にとっては逆に効率が落ちる原因になることがあります。短いサイクルの繰り返しによる切り替えのストレスや、頻繁な休憩によるリズムの乱れなど、精神的・肉体的な疲労蓄積につながる恐れもあります。
特に注意力散漫な人やADHDの傾向がある人は、ポモドーロテクニックが適さない可能性が高まります。
ポモドーロテクニックは、作業を短時間で集中して進めるための時間管理手法のことで、25分間の作業と5分間の休憩という30分の基本サイクルを繰り返します。
ポモドーロテクニックは、単純ながら効果的な時間管理法で、適切に適用することで作業効率と集中力の向上が期待できます。実施する際は、少しの時間調整や対象業務の選定が必要かもしれませんが、慣れれば日々の生産性を大いに高めるツールとなります。
時間管理法は、習慣化して定着させることによって効果を高められるため、まずは実践してみて、個人はもちろんチーム内でより効果を高められる配分などを見つけ出しましょう。
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