チームビルディングゲームとは 職場・研修で使えるおすすめゲーム6選+2例
役職や立場にとらわれずに意見を戦わせ、協力し合う、心理的安全性の高いチームをつくりたい。そこで、職場や研修でチームビルディングゲームをやろうとすると「ゲームなんて意味あるの?」という疑問の声を聞くときがあります。この記事では、その疑問に応えつつ、チームビルディングにゲームをどう活用するとよいのかをご紹介します。
役職や立場にとらわれずに意見を戦わせ、協力し合う、心理的安全性の高いチームをつくりたい。そこで、職場や研修でチームビルディングゲームをやろうとすると「ゲームなんて意味あるの?」という疑問の声を聞くときがあります。この記事では、その疑問に応えつつ、チームビルディングにゲームをどう活用するとよいのかをご紹介します。
目次
「チームビルディングゲーム」とは、チームビルディング(チームづくり)に活用できるゲームのことです。ここでいうゲームとは、単なる遊び、不真面目なものではなく、組織・ビジネス上の成果につながる「楽しさや遊びの要素を含む、ある一定の規則に従って行うもの」を指します。
では、今回のテーマであるチームビルディングゲームの話を進めていく前に、「チーム」とは何か、「チームビルディング」とは何かについて確認しましょう。
チームとは、単なる人の集まりではありません。チームとは「同じ目標に向かって、メンバーが協力しあい、それぞれの人が力を発揮し、より高い成果を目指す集団」のことです。集まったメンバーが「チーム」として機能するようになるために必要となるのが「チームビルディング」です。
今回のテーマは「チームビルディングゲーム」ですが、ゲームを活用すればチームビルディングがうまくいくわけではありませんし、ゲームを活用しなければチームビルディングがうまくいかないわけでもありません。
ゲームのメリットと注意点を踏まえて、どのように活用するとよいのかを検討するとよいでしょう。
チームビルディングにゲームを活用する最大の利点は、役職、立場や属性にとらわれない取り組みを促しやすいことです。
日常業務の延長線では、役職、立場や属性にとらわれないようにしようと上司が掛け声をかけても、なかなか上手くいかない職場もあります。しかし、ゲームは業務知識・経験差に関係なく、リーダーを含めたメンバー全員が同じ立場で取り組むことが可能です。
また、ゲームの特徴である「目新しさ」「楽しさ」「双方向性」も、メンバー同士の関係を深めるためによい効果をもたらします。ゲームは、役職や立場等にとらわれずに意見を戦わせ、協力し合う土壌をつくったり、信頼と心理的安全性の高いチームをつくったりする「しかけ」として有用な手段だといえます。
メリットがある一方で、チームビルディングにゲームを活用する際の注意点もあります。例えば、次のような状況を想像してください。
・ゲームを始めてみたら、お手並み拝見を決め込んでいるのか、斜に構えている人がいて話しにくい ・チームのうちの誰かが「こんなことをするのは時間の無駄ではないか?」と疑問を呈し場が凍りついた ・役職の高い人ばかりが話し、他の人は黙って従っている |
このような場に参加していたら、どう感じるでしょうか?「この人たちと一緒にやっていけるのか…」と不安になってしまうかもしれません。
つまり、チームビルディングにゲームを活用する際には、全員が公平に、主体的に参加できるような働きかけが大切なのです。具体的には、ゲーム開始前に、ゲームの目的とチーム活動へのつながりを十分に説明します。
また、「各自がどのような意識・態度でゲームに参加するとチームづくりに貢献できるか」について、グランドルールとして提示するか、参加者全員でグランドルールを考える時間を持つとよいでしょう。
「チームビルディング」のプロセスのモデル「タックマンモデル」にそって、チームビルディングゲームの目的と効果を確認していきます。
「タックマンモデル」では、チーム形成のプロセスは「形成期(模索)」→「混乱期(主張、対立)」→「統一期(規範統一)」→「機能期(結束、一体)」→「散会(目的達成等による終結)」とされています。
チームは「形成期」→「混乱期」を経て、チームとしての統一感、一体感がつくられ(統一期)、機能する(機能期)ようになります。チームビルディングゲームは、「形成期」「混乱期」を早く抜け出して機能するチームをつくっていくために有効な手段の一つです。
形成期と混乱期の詳細や活用できるゲームについて、詳しく見ていきましょう。
形成期とは、メンバーが集まった段階で、まだお互いのことをよく知らず、チームとしての目標、進め方のルールも定まっていない段階です。
この段階でのゲームの活用は「経験や人柄、特徴を知りあう」「チームの共通ルールをつくる」ことを主目的とし、相互理解を深める効果があります。例えば、自己紹介、ディスカッション、共通体験を要素としたゲームを活用します。
混乱期とは、メンバーが始動することで、それぞれの考えを主張するようになり、意見対立が生じる段階をいいます。意欲的に取り組むからこそ生じる混乱であり、必要な段階です。
この段階でのゲームの活用は、「お互いの強み・弱み、価値観を理解しあう」ことを主目的とし、それぞれの意見の背景にある強み・弱みや価値観を理解し、活かしあう機運を醸成する効果があります。例えば、価値観、グループワークを要素としたゲームを活用します。
室内でできるチームビルディングゲームの利点は、いつものオフィスでできる、仕事の合間に短時間でもできる「利便性」です。多様な働き方の推進、リモートワークの普及により、オフィス出社を前提としない組織・人もいますので、オンラインでも実施可能なゲームを紹介します。
ゲームの要素がある自己紹介で、コミュニケーションの入り口である相互理解を深めます。
私のとっておき自己紹介(基本) | |
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概要 | 誇れる経験やはまっていることが伝わる現物(モノ、写真・映像など)を持ってきて、その内容や選んだ理由などを交えて自己紹介をする |
目的 | 自分らしさ・特徴をお互いに紹介し合い、距離感を縮める |
効果 | 現物があることで、話し手は具体的に話しやすくなる。生き生きとしたエピソードから聞き手に人柄が伝わりやすい |
推奨人数 | 15人程度までを推奨。3~6人のグループに分け、複数回実施してもよい |
実施時間 | 話す時間は1人あたり3~15分が目安。アイスブレイクとして短時間での実施、深いコミュニケーションを目的とした長時間での実施のいずれも可能 |
準備するもの | 各自が自己紹介したい内容を一番表現できる現物(モノ、写真・映像など) |
実施のポイント | 1. 聞き手 聞き手は、話し手が話しやすい態度・表情(相づち、笑顔、質問するなど)を心がけ、話し手のよさ・強みを理解するために聴く 2. 座り方 話し手が安心して話せるように、お互いの顔が見えるよう椅子を円形に並べるか机を囲んで座る。オンラインであれば、ビデオON(顔出し)を原則とする 3. 話す順番 誕生月や通勤時間の長さなど、メンバーに関する情報をもとに決めたり、話し手が次の人を指名したりするなど、リーダーが指名する以外の方法がよい |
「私のとっておき自己紹介(基本)」と同様に進めますが、より効果をあげるためにアレンジしたやり方を紹介します。
私のとっておき自己紹介(アレンジ) | |
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自己開示の幅を広げる | ■話し手による内面語り 事実やできごとの説明といった外的な話に加えて、自分が大切にしている思い・価値観、自分らしさの原点、未来に実現したいことなど、自分の内的な話をより多く話すと、一歩踏み込んだ相互理解につなげることができる。 例えば、「仕事で大事にしていることは~」、「最初の失敗で学んだことは~」、「このチームだから実現したいことは~」など |
双方向性を高める | ■聞き手によるプラスフィードバック 自己紹介後、聞き手が話し手のよいところをフィードバックし、お互いの強み・よさを生かす意識を醸成する ■聞き手による質問① 自己紹介後に質問タイムを設け、お互いに関心を持ち合うこと、より深く理解しあう意識を醸成する ■聞き手による質問② 自己紹介の内容に対して、話し手の大切にしている思い・価値観、自分らしさの原点、未来に実現したいこと等を引き出す質問をし、一歩踏み込んで相手を理解する。例えば、「その選択をしたのはなぜですか?」「〇〇さんにとって、楽しさとはなんですか?」など |
双方向のコミュニケーションが、会話量、対話量を自然に増やし相互理解を深めます。
インタビュー他己紹介(基本) | |
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概要 | 2人1組でお互いにインタビューし、インタビューした相手について、他のメンバーに紹介(他己紹介)する |
目的 | インタビューを通じて双方向のコミュニケーションを促し、距離感を縮める |
効果 | インタビューし合うことにより、会話量、対話量を自然に増やせる |
推奨人数 | 15人程度までを推奨。3~6人のグループに分け、複数回実施してもよい |
実施時間 | インタビューの時間は1人あたり10~15分が目安。他己紹介の時間は、1人あたり3分が目安。双方向、多方向にコミュニケーションを活発に行うことで効果が高まるので、時間に余裕を持ち、例えば6人の場合で1時間以上かけて行なうことを推奨 |
準備するもの | なし |
実施のポイント | 1. ルール 聞き手は、話し手が話しやすい態度・表情(相づち、笑顔、質問するなど)を心がけ、話し手の人柄、よさ・強みを引き出すインタビューをする。話し手は、聞き手の質問に対してできるだけ具体的に話す 2. インタビューのコツ あれこれと散漫に質問をして広く浅く聞くのではなく、質問の切り口を絞り、一つの話題に対して深く掘り下げて聞いていく 3. 座り方 話し手が安心して話せるように、お互いの顔が見えるよう椅子を円形に並べるか机を囲んで座る。オンラインであれば、ビデオON(顔出し)を原則とする 4. 話す順番 誕生月や通勤時間の長さといったメンバーに関する情報をもとに決めたり、話し手が次の人を指名したりするなど、リーダーが指名する以外の方法がよい |
「インタビュー他己紹介(基本)」と同様に進めますが、より効果をあげるためにアレンジしたやり方を紹介します。
インタビュー他己紹介(アレンジ) | |
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思いや価値観をインタビューする | ■スリーポイントインタビュー&他己紹介 より深い相互理解を促すには、思いや価値観につながる話題を選択する。具体的には、企画者・進行役があらかじめインタビューする三つのポイントを決め、全員が共通の三つのポイントでインタビューと他己紹介を行なう。例えば、「大切な思い出」「誇れる仕事」「自分トリセツ(取扱説明書)」など |
ディスカッションで今後のチーム活動につなげる | ■グランドルール 他己紹介が終わった後に、今後のチーム活動におけるコミュニケーション(伝える、聴く)のグランドルールをディスカッションする ■実現したい理想のチーム 他己紹介で理解した多様なメンバーの個性や特徴を踏まえて、どのようなチームを目指し、実現したいのかをディスカッションする。ディスカッションの結果は文章表現で残し、職場で常に見えるようにする。また、シンボルマークなどを作成し、さらなる一体感醸成につなげてもよい |
体をつかう、屋外で行なうチームビルディングゲームの利点は、日常業務から離れた環境や場、設定で行なうため「開放性」があることです。この「開放性」が、タックマンモデルでいう「混乱期」初期に、日常の関係性・コミュニケーション・チームの目標を、冷静に客観的に見つめなおすために役に立ちます。
短時間での実施ではなく、2~3時間かけて取り組むことで、日常業務では見えていなかった意外な面を発見できるかもしれません。
日常業務を離れた共同作業で、日常の関係性等を客観視し、協力関係を強化します。
紙コップタワー | |
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概要 | 紙コップでタワーを建設する |
目的 | 共同作業に取り組むことで、協力関係を強化する |
効果 | 協力して進めるためのコミュニケーションの取り方の課題、お互いの強みに気づく |
推奨人数 | 3~6人のグループで実施 |
実施時間 | 最低60分(説明・準備10分、第1回作戦会議・建設10分、実績報告2分、作戦会議10分、第2回建設5分、振り返り15分) |
準備するもの (1グループ分) |
・紙コップ(20個 × グループ人数) ・作戦会議および振り返り用の記録用紙 ・記録測定用メジャー(一つ ※数グループに一つでも問題ない) |
実施のポイント | 1. ルール グループに配られた紙コップを使い、タワーを建設する。グループの中でいくつタワーを建設してもよいが、グループのなかで一番高いタワーの高さがグループの実績となる 2. 会場設営 広めの会場で、グループごとに話し合いと建設の両方ができるスペースを確保する 3. 作戦会議と振り返り 作戦会議と建設で、誰がどのような発言をしたか、アイデアを出したか、意思決定はどのようになされたかを振り返る。今後のチーム活動を協力して進めるために、どのようなコミュニケーションが必要なのか、お互いの強みをどう生かすかを考える 4. 注意点 YouTubeなどに建設方法の動画があるので、参加メンバーに対しては「チームビルディングのグループワーク」をやることだけを案内し、具体的なゲーム名称は伏せておくとよい |
進め方は「紙コップタワー」と同様です。グループ分の文具を用意する必要があるため、準備にやや手間がかかります。また、紙の切り方、折り方、貼り方でタワーの精度が変わるので、紙コップタワーより難易度が高く、実施時間が長くなります。
ペーパータワー | |
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概要 | 紙を自由に切ったり、折ったり、貼ったりしながら、タワーを建設する |
準備するもの (1グループ分) |
・A4コピー用紙(20枚 × グループ人数) ・はさみ ・定規 ・のり ・セロテープ ・記録測定用メジャー(一つ ※数グループに一つでも問題ない) |
進め方は「紙コップタワー」と同様です。複数の材料と文具をグループぶん用意する必要があるため、準備に手間がかかります。また、材料が多く、紙コップタワーやペーパータワーより難易度が高いので、実施時間は長くなります。
マシュマロタワー | |
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概要 | 材料と文具を使って、マシュマロをてっぺんに配したタワーを建設する |
準備するもの (1グループ分) |
・乾燥パスタ1.7mm推奨(20本) ・マスキングテープ(90cm) ・ひも(90cm) ・はさみ(一つ) ・マシュマロ(一つ ※大きいほど難易度が上がる) ・記録測定用メジャー(一つ ※数グループに一つでも問題ない) |
日常業務、時間や課題から離れた場で、自分自身とチームメンバーの考えや価値観に触れ、相互理解を深めます。
チームの宝物 | |
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概要 | 自然あふれる屋外の公園や森を散策しながら、「チームとして大切にしたいこと」を表すモノやコトを発見する |
目的 | 自然を五感で味わいながら、自分自身とチームメンバーの考えや価値観に触れ、相互理解を深める |
効果 | リラックスした気持ちで、時間に追われずに自分自身の心の声やメンバーの話に耳を傾けることができる |
推奨人数 | 3~6人のグループで実施 |
実施時間 | 最低60分(説明・準備10分、散策・発見タイム30分、振り返り20分) |
準備するもの | 各自メモ帳や電子デバイス(メモや写真で記録) |
実施のポイント | 1. ルール 正解はないので、それぞれが感じたことを否定せずに聴き合う 2. 散策・発見タイム それぞれが「チームとして大切にしたいこと」を話しながら散策し、それぞれが発見したモノ(動物、植物、風、空、石、風景など)やコト(群れている、伸びているなど)を記録しておく 3. 振り返り それぞれの記録を紹介しながら、それぞれが「チームとして大切にしたいこと」を聴き合う。結論を一つにまとめる必要はない。焚火を囲みながら実施してもよい |
最後に、チームビルディングゲームの成功のポイントを整理します。
チームビルディングにゲームを活用するのは、信頼と心理的安全性の高いチームをつくる「しかけ」として有用な手段だからです。役職や立場などにとらわれずに意見を戦わせ、協力しあう土壌づくりを促進するために、リーダーを含めたメンバー全員が同じ立場でゲームに取り組むようにしましょう。
また、チームビルディングのプロセスも意識してください。チームの状態を観察し、チームビルディングのプロセスのどの段階にいるのかを把握したうえで、メンバー全員がゲームの目的を理解し、取り組むことが大切です。
最後に、ゲームの目的を理解し取り組んだ後に、それぞれのメンバーが感じたこと、考えたこと、気づいたことを振り返り共有し、今後のチーム活動にどういかしていくのかを話し合いましょう。
振り返りの時間を十分に確保するのはもちろんですが、今後のチーム活動に生かすためにどのようなポイントで振り返りを行なうのかを事前に検討しておくことが重要です。
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