北浜グローバル経営が破産 中小企業の補助金申請支援で事業拡大
杉本崇
(最終更新:)
中小企業向けの補助金申請支援などを手がける経営コンサルの「北浜グローバル経営」(大阪市)は2024年5月24日付で破産手続開始の申立てを行い、同日、破産手続き開始決定を受けたことを自社の公式サイトで公表しました。東京商工リサーチによると、負債総額は2023年3月期決算時点で約20億5300万円。破産管財人室のサイトによれば、債権者数が多数に上る一方、債権者への配当の見込みが直ちには立ちがたく、破産手続が配当に至らずに廃止となる「異時廃止」となる可能性もあるといいます。
北浜グローバル経営とは 中小企業の補助金申請を支援
帝国データバンクなどによると、北浜グローバル経営は2012年10月設立。中小企業向けの補助金・助成金の申請支援など経営支援サービスを手がけていました。
業務提携する金融機関や保険会社からの紹介などで、関西圏を中心に全国規模で事業を展開してきました。
コロナ禍以降は事業再構築補助金の計画策定支援を伸ばし、2023年3月期には年収入高約35億8500万円に拡大させたといいます。
支援実績は、中小企業庁の認定支援機関情報にも掲載されており、たとえば、事業再構築補助金では、755事業者を支援し、このうち、316事業者が採択されていました。
この間、事業拡大で本店を大阪のビジネス中心地へ移転。多くの補助金申請に対し、スタッフを増員して対応してきましたが、補助金審査の厳格化により案件の進行遅れが続出していたといいます。人件費と家賃負担が先行するなか、資金繰りが急速に悪化し、今回の破産に至りました。
破産管財人、補助金支援中の顧客に文書公開
北浜グローバル経営の公式サイトは、すでに破産手続き開始決定のお知らせが表示されるようになっており、破産手続開始決定と同時に選任された破産管財人室のサイトを通じて情報発信する予定だといいます。
管財人のサイトは、5月下旬に都内で開催したクライアント説明会の動画と資料を公開しています。
たとえば、補助金申請支援中の取引先と補助金採択後支援中の取引先に向けて、支援サービスが提供できなくなったとして、破産管財人のサイトで資料を公開しています。
それによると、それぞれ補助金の公募要領を示しつつ、今後取引先自身が対応する必要のある作業について列挙しています。
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この記事を書いた人
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杉本崇
ツギノジダイ編集長
1980年、大阪府東大阪市生まれ。2004年朝日新聞社に記者として入社。医療や災害、科学技術・AI、環境分野、エネルギーを中心に取材。町工場の工場長を父に持ち、ライフワークとして数々の中小企業も取材を続けてきた。
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