目次

  1. 除菌消臭剤がコロナ禍でヒット
  2. エンバーミングの市場を開拓
  3. 商品ラインアップは千の大台に
  4. 若手抜擢でペット事業を開発
  5. 人材を適正評価する仕組みに
  6. ネットワークづくりをバックアップ
  7. 急成長で取引先は500社に

 イワタは岩田さんの祖父、清一郎さんが1938年に東京都墨田区で創業した岩田商店がルーツ。「八重十字」というオリジナルブランドを手がける脱脂綿のメーカーでした。戦後は衛生材料全般を扱う卸販売にシフト。ドラッグストアの台頭で価格競争が激化すると、2代目の父・庸一郎さんはあらたな販路として葬儀業界を開拓しますが、巻き返そうにも限界がありました。

 岩田さんが家業入りした2015年は庸一郎さんとパート2人という陣容。「ヒトもモノもカネもまったく余裕がない」状況でした。

 「大手を相手にすればどうしたって価格で負けます。生き残っていくためにはやはり、オリジナル商品の開発が急務でした」

 四方八方に広げたアンテナに引っかかったのがPHMB(ポリヘキサメチレンビグアナイド)でした。知恵を借りるべく訪れた工業薬品製造の島田商店(東京都墨田区)3代目の嶋田淳さんが口にしたPHMBは、次世代の消毒成分と目されていました。

家業存続の危機を救った除菌消臭剤「タイトスクラム」
家業存続の危機を救った除菌消臭剤「タイトスクラム」(イワタ提供)

 嶋田さんとは事業後継者のためのビジネススクール、フロンティアすみだ塾で知り合いました。嶋田さんは後に重要なビジネスパートナーとなります。

 嶋田さんの協力をとりつけた岩田さんは2016年、PHMBを主成分とした除菌消臭剤「タイトスクラム」を完成させます。「タイトスクラム」は間をおかず取引先の大手葬儀社、サン・ライフ(神奈川県平塚市、現サン・ライフホールディング)での全館導入が決まります。勝因は血液やたんぱくなど葬儀特有の発生物質に強いという特性にありました。

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