目次

  1. アクティブリスニングとは
    1. アクティブリスニングが重要な理由
    2. アクティブリスニングが活用されるシーン
    3. アクティブリスニングと傾聴の違い
  2. アクティブリスニングの3原則
    1. 自己一致
    2. 共感的理解
    3. 無条件の肯定的関心
  3. アクティブリスニングのやり方
    1. バーバルコミュニケーション
    2. ノンバーバルコミュニケーション
  4. アクティブリスニングのトレーニング法
    1. 本を読んでイメージトレーニング
    2. テーマを決めてロールプレイ
    3. 研修会への参加
  5. アクティブリスニングの注意点・デメリット
    1. 結論付けをせずサポートに徹する
    2. 聴き手のストレスがたまりやすい
  6. アクティブリスニングが企業生き残りの要

 アクティブリスニングとは、文字通り相手の話に対して積極的に耳を傾けて聴くことをいいます。「積極的傾聴」ともいわれます。ただし、単純に耳を傾けるのではなく、話す人の「成長」を促し、自分自身で「問題解決」できるように手助けする聴き方であるのが特徴です。

 アクティブリスニングは、アメリカの臨床心理学者カール・ロジャーズが提唱したものです。彼は「相談者(話し手)の主体性を尊重し、その人が自ら建設的な選択ができるようサポートする」ことに着目し、アクティブリスニングを重視しました。

 アクティブリスニングは、会話のなかから「話し手の感情」を主体的に把握します。そこから、相手が伝えたい本質的な部分を汲み取ります。

 すると、話し手は「この人は私の話を理解してくれているんだ」という思いが強くなり、さらに自分のなかにある思いや考えを話してくれるようになります。その結果、問題の本質に気づくことができ、自己解決へとつながるのです。

 ほかにも、信頼関係を向上させたり、コミュニケーション力を向上させたりと、私達の生活のなかでは欠かせない重要な要素が含まれています。

 アクティブリスニングは、コミュニケーションが発生する場面では必ず活用できます。具体的なシーンとしては、次のようなものがあります。

アクティブリスニングが活用されるシーン
カウンセリング
接客スタッフ
看護師
上司と部下

①カウンセリング

 悩みを相談し、解決に導くカウンセリングの場面で、アクティブリスニングはとても重要なものとなっています。

 一方的なアドバイスとは違い、気持ちを理解してくれた上で相談者本人が自己解決できるように促すため、納得できる答えを導くことができます。

②接客スタッフ

 接客スタッフはお客様の要望を聞き取り、気持ちに寄り添う姿勢が大事です。そのため、接客スタッフの研修でアクティブリスニングを取り入れているところも多く見られます。

 例えば、マクドナルドがクルーに対してアクティブリスニング研修を実施し、さらに社員同士でのコミュニケーション向上にも役立てている話は有名です。

③看護師

 医療の現場では患者さんに安心して診療を受けてもらうために、良好なコミュニケーションが欠かせません。そのため、アクティブリスニングで相手の感情に共感しつつ、話そうとすることに理解を深める姿勢がとても大切になります。

 そうすることで、患者さんは自分の気持ちや症状を自由に話せるようになり、診療に対してのストレス軽減にもつながります。

④上司と部下

 上司と部下といった上下関係が生じる場面でのアクティブリスニングも欠かせません。特に上司は部下の気持ちや感情を読み取り、さらにどんなことをしてみたいのかなどを聴き取ることで、部下のストレスを軽減できます。

 また、部下も上司の意向をきちんと汲み取り、間違いのない仕事を遂行するためにも、アクティブリスニングの活用が必要とされます。お互いがアクティブリスニングを活用することで、組織内コミュニケーションも良好となります。

 傾聴は大きく二種類あります。一つは能動的に聴く「アクティブリスニング」、もう一つが受動的に聴く「パッシブリスニング」です。

 受動的に聴く傾聴「パッシブリスニング」は単なる情報の受け取りだけで、相手の話に対して黙って耳を傾けることが主な行動となります。そのため、深いレベルでの理解を求めたり、共感したりはしません。

 具体的には、音楽を聴く、テレビやラジオのニュースを聴くなど、情報の送り手主体となる聴き方になります。そのため、話し手は相手が内容を理解したかどうかがわかりません。

 アクティブリスニングの提唱者、カール・ロジャーズは、傾聴の3原則として「自己一致」「共感的理解」「無条件の肯定的感心」を挙げています。この3原則は、アクティブリスニングを実践するうえで欠かせない要素となります。

 自己一致とは、聴き手が自分の感情、行動、思考が一致した状態で、ありのままを受け止められる状態のことです。つまり、自分をかっこよく見せようとするのではなく、真摯に相手と向き合う状態のことをいいます。

 アクティブリスニングをする側が「この人の前ではかっこよく」という意識を持つと、心が不安定な状態になります。すると、素直に相手の話を聞けなくなります。また、心が不安定な状態に陥ると、信頼関係を築けなくなります。

 相手の話がわかりにくいと思ったら「わかったふり」をするのではなく、その真意を確かめることも必要です。

 共感的理解とは話し手の内容だけでなく、そのときの感情に共感をしながら相手の立場に立って理解をしようとすることをいいます。

 特に大事なのは、相手の気持をしっかりと汲み取ることです。「それはたいへんでしたね」と言葉だけで共感を伝えるだけでなく、親身になって寄り添う姿勢が大事になります。

 そうすることで、話し手は聴き手に対して、より深い信頼感を抱くようになります。

 無条件の肯定的感心とは、話し手に対して好き嫌い、善悪などの評価を入れずに話の内容や背景に対して肯定的に受け止めて聴くことをいいます。

 このとき、話し手に対しての先入観を持たないよう気をつける必要があります。見た目や話し方、また周りの評価などを意識せず、全てを受け止めるように意識しましょう。

 これにより、話し手は「この人は自分の味方だ」と感じてくれるようになり、安心して心の内を話してくれます。

 続いては、具体的な実践方法を紹介します。アクティブリスニングのやり方には、二つの種類があります。

アクティブリスニングの種類
バーバルコミュニケーション 言語を使って行うコミュニケーション
ノンバーバルコミュニケーション 言葉以外の領域で相手と行うコミュニケーション

 両者の特徴や具体的なやり方などを、詳しく見ていきましょう。

 バーバルコミュニケーションとは、言語を使って行うコミュニケーションです。次に紹介するようなやり方を活用して、効果的なコミュニケーションを促します。

バーバルコミュニケーションのやり方
パラフレーズ 相手の言ったことを繰り返して伝える
オープンクエスチョン 自由に答えられる質問をする
言い換え 相手の話を適切な言葉に言い換える

①パラフレーズ

 パラレルフレーズはオウム返しとも言われ、相手の言ったことを繰り返して伝えるものです。ただし、相手が言ったことをそのまま繰り返すのではなく、「今のは◯◯なんですね」と確認を取るように行います。

 それにより、話し手は自分の言葉を振り返ることができ、自分の思いや考えと向き合えるようになります。

②オープンクエスチョン

 オープンクエスチョンとは、自由に答えられる質問です。アクティブリスニングでは単純に「はい/いいえ」で答えられる質問では、話し手の奥にあるものを聞き出すことができません。

 「それについてはどのように思ったのですか?」というように、話の本質に迫るような質問を行うことで、話し手がより深く自分のなかにある思いを感じ取れるようになります。

③言い換え

 自分の思っていることや論点に対して、明確な言葉で伝えるのは難しいものです。思いついた言葉を口にすることが多いので、これらをわかりやすく、適切な言葉に言い換えてあげましょう。

 話し手の長い話を「ということは、◯◯だということなのですね」のように要約して言い換えてあげると、話し手自身も自分の言いたいことを深く理解できるようになります。

 ノンバーバルコミュニケーションとは、非言語コミュニケーションともいわれ、言葉以外の領域で相手と行うコミュニケーションのやり方です。人が会話をする際の多くはノンバーバルコミュニケーションを活用しています。

ノンバーバルコミュニケーションのやり方
姿勢 直立もしくは若干前かがみになって聴く
声の出し方 声の出し方を話し手に合わせる
表情 話の内容に合わせた表情をつくる

①姿勢

 体を話し手に向けて、直立もしくは若干前かがみになり「あなたの話しに興味があります」という姿勢をとりましょう。

 また、座る位置も正面を向き合うのではなく、ハの字、もしくは90度の角度にすると話しやすくなります。このときに、腕や足を組むことは避けてください。これは、話し手に無意識の威圧感を与えてしまいます。

②声の出し方

 話すときのトーンや大きさ、スピードといった声の出し方は、なるべく話し手に合わせるように意識をしてみましょう。

 これにより、ペースが噛み合い、話し手もリラックスでき、心地の良いリズムで会話を行うことができます。まずは「相手に合わせる」ことを意識しましょう。

③表情

 聴き手の表情は、会話の雰囲気をつくる大きな要因となります。そのため、基本的には笑顔を心がけましょう。

 ただし、話の内容によっては笑顔が不適切な場面もあります。辛かった話、悲しかった話などのときには、その場面に応じて言葉とともに表情も共感を意識してください。

 これにより、話し手が「私のことを理解してくれている」という思いを目で確認してもらうことができます。

 アクティブリスニングは、やり方だけを知っていても、いざというときにすぐに使えるものではありません。しっかりとトレーニングを行い、身につけることが必要です。

 ここでは、アクティブリスニングのトレーニング法を三つご紹介します。

アクティブリスニングのトレーニング方法
本を読んでイメージトレーニング
テーマを決めてロールプレイ
研修会への参加

 傾聴やアクティブリスニングに関する本を読んで、そのなかにある会話例をしっかりとイメージしてみましょう。会話例を自分に置き換え、セリフを変えてイメージするのも効果的です。頭の中で何度もイメージを繰り返すことで、必要となる場面で思った通りの行動を行えるようになります。

 イメージトレーニングはリラックスした空間で、さらには一人で自分の好きな時間で行えるため、取り掛かりとしての練習には最適です。

 話し手と聴き手役を決め、テーマを決めた会話で実践を行うロールプレイは、トレーニングには最適な方法です。イメージトレーニングだけではわからない、実戦で初めて気づける点があるはずです。

 また、話し手や周りの方からのフィードバックを受けることで、自分の欠点に気づけるのもメリットです。さらに、自分が話し手になることで「こんな聴き方をすると効果的なのか」という発見もあります。

 カウンセリングやコーチングなどの研修会で、アクティブリスニングの技術を学ぶことも効果的です。専門家からの知識や経験談、さらにはフィードバックをもらうことで深い学びを得られます。

 また、不明点や実際の場面での活用方法などを質問できるのも、大きなメリットです。

 アクティブリスニングを行う際には、次のような注意点やデメリットがあります。

 アクティブリスニングでは、話し手の会話に対して聴き手が結論付けないように注意する必要があります。

 特に注意しなければいけないのが、相談事に対してです。普段の会話では、聴き手はつい「こうすればいいよ」と解決策をアドバイスをしがちになりますが、これは避けましょう。

 アクティブリスニングは、話し手自身が結論を導けるよう、聴き手はサポートに徹することがとても大切です。

 アクティブリスニングでは、話し手の会話を全て受け止めることが大切になります。そのため、ネガティブな内容でも耳にしてしまいます。さらに、共感を行うため、相手の感情に同調してしまい、特に負の感情に引っ張られてストレスがたまる危険性があります。

 また、先程お伝えしたように「解決策をアドバイスしない」というのは、言いたくても言えないという大きなストレスになることもあります。

 聴き手にストレスをためないようにするためには「この問題は話し手のものであり、自分のことではない」と、役割をしっかりと認識することが必要です。

 現代社会はストレス社会、メンタルを病んでしまう人がとても増えています。このような環境のなかで企業が生き延びるには、まずは心の健康に取り組む必要があります。

 だからこそ、アクティブリスニングの活用が必要となるのです。上司が部下の話を聴くだけでなく、担当者が取引先の話を聴く、社員同士で話を聴き合うといった風土をつくれば、社員も生き生きと働くことができるでしょう。

 アクティブリスニングを効果的に取り入れ、みんなが笑顔で働ける職場づくりを目指してください。