目次

  1. 経緯報告書とは
    1. 経緯報告書と顛末書(てんまつしょ)の違い
    2. 経緯報告書の作成・提出が求められる理由
  2. 経緯報告書に記載する項目
  3. 【社内向け】経緯報告書の書き方・例文
  4. 【社外向け】経緯報告書の書き方・例文
  5. 経緯報告書を書くときのポイント
    1. 時系列でわかりやすく書く
    2. 客観的な事実を正確に伝える
    3. 誰宛の報告なのかを踏まえて5W1Hを伝える
  6. 経緯報告書に関する注意点
    1. 迅速に作成・提出する
    2. 対象事案以外のことについては別文書などで伝える
    3. メールで提出する際は送付先を慎重に吟味する
  7. 経緯報告書はスピードとわかりやすさで勝負

 経緯報告書とは、物事が発生した経緯を報告する書類のことです。企業活動のなかで業務上の問題やトラブルが発生した場合に、発生に至った経緯をいち早く報告するために作成されます。通常、物事が計画通り問題なく進んでいるときには、特別な目的がない限り経緯報告書が作られることはありません。

 経緯報告書は発生した問題やトラブルの原因究明や再発防止策を講じるための重要なよりどころとなるため、客観的な事実を記載することが重要です。

経緯報告書のテンプレート
経緯報告書のテンプレート

 経緯報告書と顛末書はどちらも問題やトラブルの経緯を説明する文書ですが、作成するタイミングが異なります。問題やトラブルの渦中、関係者に向けて経緯と状況を説明する目的で作成される経緯報告書に対し、顛末書は問題やトラブルが解決した後で作成します。

 経緯報告書も顛末書も、事案の一部始終を詳細に報告する役割は同じですが、顛末書には企業としての責任や再発防止のための対策なども含まれているのが特徴です。

 業務上の問題やトラブルが発生した際に経緯報告書が必要となるのは、そのトラブルによって影響を受ける範囲が、社内の他の部署や社外に影響が及ぶケースです。

 しかし、組織によっては他部署への影響がなくても、部署内の上司や関係者への説明や情報共有の部内資料の一部として作成し、トラブルの再発防止や業務方法の見直しを図ろうとする場合もあります。

 例えば、トラブルが発生すると業務の担当者に非難の目が向けられがちです。しかし、情報がわかりやすく整理されていれば、トラブル発生を一方的に個人の責任にせず、客観的な事実に基づいて状況を把握しやすくなります。結果として、社員同士の信頼関係を保つことにもつながります。

 経緯報告書に記載する項目は、事案の内容や影響する組織の規模によって変わりますが、標準的な経緯報告書の項目は以下の通りです。

経緯報告書に記載する項目
・報告者氏名
・報告者の所属部署
・報告日
・報告内容のタイトル
・問題/トラブルの発生日
・問題/トラブルの発生場所
・問題/トラブルの概要
・問題/トラブルの詳細と経過
・現状(報告書作成時点)
・原因
・今後の対策と見通し
・その他

 社内向けの経緯報告書は、簡潔でわかりやすく記載することが求められます。社内向けの場合は、必要に応じて口頭で報告者に直接詳細を確認することもできます。

【例文】

作成日:〇年〇月〇日
作成者:〇〇部○○課 氏名

タイトル:〇〇に関する経緯報告書

〇年〇月〇日〇時〇分に発生した〇〇の件について、以下の通り経緯をご報告いたします。

概要:
在庫管理システムの在庫データエラーの発生

発生日時:〇〇年〇月〇日〇時〇分
発生場所:在庫管理システムの〇〇機能

問題・トラブルの詳細と経過:
〇月〇日〇時〇分 ○○が在庫データのエラーを発見。システム担当の〇〇に連絡。
〇月〇日〇時〇分 エラーの報告を受け、システム担当の〇〇が調査を開始。
〇月〇日〇時〇分 システム担当の〇〇が前日のシステムメンテナンス作業時の更新プログラムのバグを確認。
〇月〇日〇時〇分 最新情報を〇〇がメンテナンス担当チーム内で共有し、再発防止策を検討中。

現状(報告書作成時点):
プログラム管理チームにてプログラムのバグを修正中。

原因:
〇月〇日のメンテナンス作業時の更新プログラムのバグによるものと判明。

今後の対策と見通し:
〇月〇日〇時までにプログラム管理チームにて、メンテナンス作業時のデータ更新用プログラムのバグを修正予定。
〇月〇日〇時までに更新プログラムの新しいバージョンの検証作業を完了予定。
〇月〇日〇時に更新後のプログラムでのメンテナンスを再度実施予定。

以上

 社外向けの経緯報告書は、会社としての発行する正式文書という位置づけになるため、基本的なビジネス文書の書き方を元に、客観的な事実と経緯を時系列で記載していきます。

 トラブル発生から現状までの担当部署の対応と状況の流れに矛盾がないこと、社内でしか通用しない用語や表現を使わないなど、読み手の立場に配慮して作成する必要があります。

【例文】

株式会社〇〇御中

作成日:〇年〇月〇日
作成者:〇〇株式会社 〇〇部○○課

タイトル:〇〇に関する経緯報告

拝啓 貴社ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。平素は格別のお引き立てを賜り、誠にありがとうございます。この度は弊社の不手際により貴社に多大なるご迷惑をおかけしましたことを、深くお詫び申し上げます。今回の件に関しまして、以下の通り経緯をご報告申し上げます。

敬具

概要:
在庫管理システムの在庫データエラーの発生

問題・トラブルの詳細と経過:
〇月〇日〇時〇分 ○○担当者が在庫データのエラーを発見。システム担当者に連絡。
〇月〇日〇時〇分 エラーの報告を受け、システム担当者の〇〇が調査を開始。
〇月〇日〇時〇分 システム担当者が前日のシステムメンテナンス作業時に使用した更新プログラムにエラーを確認。
〇月〇日〇時〇分 上記までの経最新情報をメンテナンス担当チーム内で共有し、再発防止策を検討中。

現状(報告書作成時点):
プログラム管理チームにてプログラムのバグを修正中。

原因:
〇月〇日のメンテナンス作業時の更新プログラムのバグによるものと判明。

今後の対策と見通し:
〇月〇日〇時までにプログラム管理チームにて、メンテナンス作業時のデータ更新用プログラムのバグを修正予定。
〇月〇日〇時までに更新プログラムの新しいバージョンの検証作業を完了予定。
〇月〇日〇時に更新後のプログラムでのメンテナンスを再度実施予定。

この度は貴社に多大なるご迷惑をおかけし、誠に申し訳ございませんでした。今後はこのようなことが発生しないよう再発防止に徹底して努めてまいります。今回の事案に関しましては、対応準備が整い次第、再度ご報告と具体的な対策をご案内させていただきます。

今後とも、引き続き変わらぬご愛顧を賜りますよう、謹んでお願い申し上げます。

以上

 経緯報告書で一番大切なことは事実関係を簡潔に分かりやすく伝えるという点にあるため、以下のポイントを押さえて書くことが重要です。

 経緯とは、物事が起こった流れの順序で説明することです。事案が発生した時から現在までの事の成り行きを時系列で読み手が理解できるように、簡潔な表現でわかりやすく伝える必要があります。

 報告書はある時点までの事案の経緯を説明する文書ですが、事案の規模や内容によっては後日再度経緯報告書の更新版を提出しなければならない場合もあります。そのため、発生した事案の経緯を説明するだけでなく、その報告書がいつの時点で作成されたのか、何についての報告なのかが端的に分かるタイトルで作成しておくことも重要です。

 簡潔で分かりやすく経緯を伝えるには、客観的な事実を正確に伝えることが最も重要です。客観的な事実を伝えずに曖昧な表現や謝罪のみに終始した報告書は、読み手の信頼を失う危険性があります。

良い例 悪い例
〇月〇日〇時頃、棚卸のためシステムデータの更新作業を実施中、システムエラーが発生したため、作業を中断し、エラーの内容を上司に報告した。 昨日の夕方、データの更新中に急にシステムが使えなくなった。原因は分からないが、以前も似たようなことがあったので、しばらく様子をみることにした。

 経緯報告書では、極力客観的な事実を伝えることに注力しましょう。

 発生した事案について時系列で説明する際、報告者が立場上暗黙に了解している事柄については無意識に説明が省略される場合があります。そのため、報告書の読み手が誰なのか、誰に対して説明をするのかを意識して作成することが大切です。

 必要に応じて読み手が正しく報告内容を理解するうえで必要な情報を補足しながら「5W1H(いつ、どこで、誰が、何を、なぜ、どのように)」を伝えましょう。

 経緯報告書を作成する際は、以下のような点に注意する必要があります。

 経緯報告書の作成に当たっては、正確な事実情報の確認が重要であることは言うまでもありません。しかし、報告書の提出はスピード勝負でもあるため、報告する側が報告したい情報が揃うまで待ち過ぎると、それまでに状況が二転三転してしまう可能性があります。

 経緯報告書の提出が求められる場合、報告を受ける側に正確な情報をできるだけ早く伝えることが非常に重要です。状況によっては後日報告書の更新版を作成する必要が生じる可能性も念頭に置いて、最初の経緯報告書を準備する必要があります。

 経緯報告書では客観的な事実のみを簡潔に記載し、事案の背景にある報告側組織の都合や担当部署の特殊事情などは記載しないのが基本です。

 事案に関する事実面の経緯以外の情報についても報告が必要な場合は、別文書を準備して補足情報として伝えることを検討しましょう。

 メールで経緯報告書を提出する場合、報告書の送付宛先として誰を指定する必要があるかをあらかじめ上司と確認しておく必要があります。また、セキュリティ面の観点から、経緯報告書の内容に応じてメールの転送や報告書の共有先について制限を設ける必要もあるでしょう。

 経緯報告書は、当事者にとっては好ましくない状況を関係者に伝えなければならないときに必要となる報告書という性質上、積極的に作成したい文書ではありません。しかし、だからこそ迅速にわかりやすい経緯報告書の価値と評価は高いといえます。

 特に、社外に対する報告が必要な事案の場合は、経緯報告書の内容と作成のスピードはその後の会社への信頼関係にも影響を及ぼす可能性があります。

 経緯報告書に関する会社の対応次第では、失いかねない取引先との信頼関係の維持に貢献できる可能性があることを認識し、迅速かつわかりやすい経緯報告書を作成するポイントを押さえておきましょう。