目次

  1. 「古いイメージ」が逆風に
  2. 窮地に思い出した父の言葉
  3. 「私にしかできない販売所」を
  4. 店を改装、マルシェも開催
  5. 貧しい子どもに靴を送る活動も
  6. 地域に開かれたカフェをオープン
  7. 販促物を減らしプロパー営業へ
  8. 販売所の後継者たちとコラボを

 読者の皆さんは新聞販売所にどんなイメージをお持ちですか。「古ぼけた看板」、「暗い」、「怖い」、「勧誘がしつこい」という声が出るかもしれません。

 日本新聞協会によると、協会加盟の日刊110紙の総発行部数(2023年10月時点)は約2859万部。前年比7.3%減という減少幅は過去最大で、部数でみると約225万部も落ち込みました。

 スマートフォンの普及など、情報のとり方の多様化などが理由に挙げられますが、瀬谷さんは新聞販売所の古いイメージも原因と考えています。2011年に2代目社長になって以来、大胆なイメージチェンジで成果を上げました。

 瀬谷新聞店は鹿沼市を中心に、毎日新聞や地元の下野新聞などを主に扱っています。瀬谷さんの父健一さんは、東京や栃木の販売店で修業後、1990年に独立し、栃木県足利市で有限会社瀬谷新聞店を立ち上げました。当時は新聞の部数や折り込みチラシも右肩上がりでした。

瀬谷新聞店のスタッフたち
瀬谷新聞店のスタッフたち

 瀬谷さんは2000年、21歳の時に瀬谷新聞店に入社。配達、集金、営業、事務、折り込み作業など何でもこなしました。夏は暑く冬は寒いこの仕事は、最初は嫌々でした。それでも集金に行ったとき、お客様と玄関先でおしゃべりするのが、楽しくなったといいます。

 「市場に行く前に新聞が読みたいから午前2時に届けて」、「山のふもとでたばこを買ってきて」といった地域のニーズに丁寧に応えるうち、最初はツンケンしていたお客様が徐々にファンになってくれたといいます。瀬谷さんはこれこそが新聞販売所の強みと気付き、後に新聞離れに向き合う際のアイデアの原点になりました。

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