目次

  1. 経営に必要な三つの力
  2. 34歳で妻の家業に
  3. 「どんぶり勘定」を見える化で改善
  4. 住宅の単価を大手並みに引き上げ
  5. 大手が並ぶ住宅展示場に進出
  6. 更地の段階からビラ配り
  7. 展示場閉鎖でモデルハウス移築
  8. 社員の5分の1が「お客さま」
  9. 「気づきの朝礼」で情報共有
  10. 「木の遊び場」を核に年3万人を集める
  11. ベクトルを合わせて組織をまとめる

 経営には、価値ある商品・サービスを「つくる力」、それを必要とする人と「つなげる力」、環境変化に「もちこたえる力」の三つが必要と言われます。エコ建築考房の喜多さんは「つくる力」を社員に任せ、「つなげる力」と「もちこたえる力」に特化。年商は約5億円から約12億円に、社員数を10人から60人に伸ばしました。

エコ建築考房の社員たち。〓が2代目の喜多茂樹さん
エコ建築考房の社員たち。前列左から3人目が2代目の喜多茂樹さん

 創業者は喜多さんの義父・髙間利雄さんです。ハウスメーカーのトップセールスマンでしたが「100年住める健康的な家を作ろう」と、建築士と2人で1998年に立ち上げました。

エコ建築考房創業者の髙間利雄さん
エコ建築考房創業者の髙間利雄さん

 一般的な住宅は壁の仕上げにビニールクロスを用いますが、エコ建築考房では自然素材の漆喰・珪藻土で仕上げています。建物には国産材を用いて、合板や集成材といった新建材は使いません。これによって、湿気が通り、結露や人体に悪影響のある化学物質の充満を抑えられるといいます。

 ハウスメーカーの多くは工業化された部材を大量に生産し、組み上げて家をつくります。しかし、エコ建築考房では大工が昔ながらの手仕事で作り上げ、鴨居や階段も一本一本手作りです。

エコ建築考房の住宅はオール国産材で建築しています
エコ建築考房の住宅はオール国産材で建築しています

 2016年の熊本地震を教訓に耐震性も強化。耐震等級3(消防署などの耐震性に相当)の住宅を無垢材で作るため研究を重ね、2018年、合板・ベニア・面材を一切使わず、国産の無垢材を利用した国内では珍しい耐震等級3の標準化を実現しました。

 高品質が強みでしたが、喜多さんが12年前に入社した当時は「つなげる力」、すなわち売れる仕組みが弱いと感じていました。

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