目次

  1. 薄板ステンレスの溶接で存在感を発揮
  2. 「ざっくり」「連携不足」課題が山積
  3. 部門長を刷新 改革がスムーズに
  4. 顧客ごとにアプローチを変える体制へ
  5. 受注の波に対応するため デジタル化を推進
  6. 従業員エンゲージメント向上へ 自社商品を開発
  7. 世の中のためになることだったら何だっていい
  8. ベトナムでうどん店を開業

 精和工業所は原さんの祖父の山下清至さんが、業務用厨房機器やショーケースなどのステンレス製品の加工を手がける会社として、1962年に創業しました。その後はいわゆる給湯器、小型電気温水器関連のステンレス製品の加工や溶接も手がけるようになります。

ステンレス製品を溶接加工している様子
ステンレス製品を溶接加工している様子

 中でも高い技術力が必要とされる薄さ1㎜以下の薄板溶接を手がけることで、存在感を発揮。現在はエコキュートなど住宅設備機器をメインに、環境試験装置、燃料電池関連の筐体なども扱い、従業員約250人、売上高50億円規模にまで成長しています。

 原さんは会計系大手コンサルティング会社でのキャリアを経て、2004年に家業に入ります。前職時代のクライアントには大手メーカーが多かったこともあり、すぐに家業の課題に気づきます。

 トップダウンで多くの物事が進んでいく。部門間同士の連携が足りない。部門長は自部門の進捗や業績ばかりで、会社全体の目標達成や利益を考えていないなど、組織として醸成されていない点です。

 「いわゆる管理会計のスキームや意識が経営者だけにしかない、と感じました。経営者目線のメンバーが少ない、とも言えるでしょう。完全分業制のようにも見えました」

 会社全体としての明確な数値目標や、中期経営計画といった指標もありませんでした。原さんの言葉を借りれば「曖昧」「ざっくり」で、事業はまわっていました。

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