チャンスをものにするには?掴める人と逃がしてしまう人の違いとは
チャンスは誰にでも平等に訪れるわけではありません。行動を続ける人だけが、チャンスをつかめるのです。この記事では、東京大学で働きながら、アントレプレナーシップ教育に携わる筆者が、行動力でチャンスを引き寄せる秘訣をお伝えします。
チャンスは誰にでも平等に訪れるわけではありません。行動を続ける人だけが、チャンスをつかめるのです。この記事では、東京大学で働きながら、アントレプレナーシップ教育に携わる筆者が、行動力でチャンスを引き寄せる秘訣をお伝えします。
目次
チャンスをものにする人には、いくつかの特徴があります。
チャンスをものにできる人の特徴 |
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・情報を発信し続けている ・周りがやりたがらない仕事に手を挙げる ・数をこなすことの大切さを知っている ・聞き上手である ・レスポンスが早い |
これらの特徴を意識し、継続的にアクションを起こしていくことで、チャンスが訪れる可能性が格段と上がります。
チャンスをものにする人は、情報発信を定期的に行っています。現代は、ブログ、Facebook、X、ホームページなど、さまざま方法で情報を発信できます。
本やインターネットに転がっている情報を発信するだけでなく、自分が仕事上で経験したことや夢・目標を語ることで、その情報に対して共感してくれた人からチャンスをいただく可能性があります。
実際、筆者もFacebookで個人事業主としての活動を発信していたことで、その記事を見てくれた方から「長澤さん、アントレプレナーシップの教材開発しているんだね。今度、うちの社員に対してアントレプレナーシップのセミナーをやってくれない?」というようなチャンスをいただくこともありました。
また、一般社団法人プレゼンテーション協会が主催するコンテストに出場した際、受賞した記事を見てくれた方から、プレゼン指導に関する仕事のお話をいただいたこともあります。
自分自身が何ができるのかをきちんと情報として発信しておくと、チャンスをものにする可能性が高くなります。
周りの人がやりたがらない仕事には、チャンスがたくさん眠っています。筆者が私立中高一貫校で教員をしていたとき「総合的な探究の時間」が高校で教科化されることになりました。
各高等学校で「総合的な探究の時間」のカリキュラムや教材を決める必要が出てきましたが、学級指導、教科指導、部活動指導などで忙しい先生方は、新たな教科に時間を割いて考えていく余裕がありませんでした。筆者も同じ状況でしたが「新しい教科だからこそ学校独自の面白い取組ができるのでは」と思い委員長を買って出ました。
学習指導要領を読みながら、これからの社会で必要となるスキルや考え方が身に着く形のカリキュラムや教材を自分なりに考え、そのアイデアを付き合いのあった教材会社の営業さんに伝えました。すると「先生の理想とする教材を一緒に作りましょう」というチャンスをいただくことができたのです。
新たな教科の委員長に手を挙げたときには、「教材を出版したい」といった願望はありませんでしたが、新しい挑戦に取り組んだことで予想外のチャンスをものにできました。
良い商品やサービスを提供できる自信があったとしても、お客さんの受け入れ態勢ができていなければ、商談成立までいたりません。
「その教材すごく採用したいんだけど、今年度は予算的に厳しいんだよね」
「いい商材だと思うんだけど、部長が新しいシステムの導入に否定的なんだよね」
営業をしていると、お客さんの予算面や政治的な問題など、完全に相手側の問題で商品やサービスを売ることができない、つまり「ノーチャンス」であることが多々あります。だからこそ、1回の商談に一喜一憂しているのではなく、とにかく数をこなす必要性があります。
業種によって成約率は大きく異なりますが、「10回商談して一つ成約がとれればいい」というようなマインドで、とにかく商談数を増やすように行動をしていった方がよいでしょう。また、そのときの商談では断られてしまっても、別のタイミングで成約に至るケースもあります。
取引がうまく行かなかったお客さんに対しては、フォローのメールを送ったり、役に立つような情報を継続的に提供したりして、相手側のよいタイミングで声をかけてもらえるようにしておくことも大切です。
チャンスを与える人は、どんな人にチャンスを与えるのでしょうか。当然のことながら、信頼できる人、または信頼できそうな人に仕事の話を持っていくかと思います。では、人はどのような人に信頼感を抱くのでしょうか。
肩書もそうですが、それ以上に自分の話をきちんと聞いてくれる人に信頼感を抱きます。無表情で相槌もせずに聞いている人と、メモをとりながら表情豊かに頷き共感を与え、適切なタイミングで質問を挟みながら興味を示す人だと、どちらの方が話し手は信頼感を抱くでしょう。当然のことながら、後者です。
筆者がある少人数の交流会に参加したときの話です。代表の方が話をしている際、頷きながら手帳に一生懸命メモをとっていたことがありました。純粋に学べることがたくさんあったのでメモをとっていたのですが、会場でメモをとっていたのが私だけだったため、代表の方がその姿をとても評価してくれたのです。それだけがきっかけではありませんが、後に仕事のチャンスをいただくことができました。
上場企業の社長や会長と話す機会がありますが、彼ら彼女らはとても聞き上手です。無名である筆者の話も、きちんと聞いてくれます。話を聞く姿勢が素晴らしい人ほど、チャンスをものにすることができます。
皆さんはメールのレスポンスは早い方ですか。筆者が尊敬する起業家の方々は、皆さんメールやSNSの返信が早いです。メールの内容によっては、すぐに回答しづらいものもありますが、そういった場合は「検討するのに2日間時間をください」や「調べて今日中にお答えしますね」という返信をされています。
キャッチボールのつもりでボールを投げたら、相手側がそのボールを持ち続けて投げ返してくれないと、投げた方はイライラしてしまいます。キャッチボールというメールのやり取りで、関係を構築するチャンスが台無しになってしまいます。
経営者や起業家の多くは休日という考えを持っていないため、土日祝日でもメールのやり取りをされています。一緒に仕事をしたいと思われる人は、総じてレスポンスが早いものです。レスポンスを早くすることで、チャンスを掴める可能性が高まります。
せっかくチャンスが舞い込んできたのに、それを逃してしまう人がいます。特にネガティブ思考の人は、チャンスを逃してしまう機会が多い傾向にあります。
チャンスを逃がしてしまう人の特徴 |
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・「でも・・・」が多い人 ・失敗を恐れる完璧主義者 |
これらの特徴がある人は、意識的な改善が必要です。
チャンスは突如として降りかかってくるものです。例えば、半年前にセミナーで名刺交換した人から急にお仕事の依頼が来たりすることもあります。当然のことながら、新しい仕事を引き受けるとなると、自分の時間的なリソースを気にしなければいけません。
そのとき「でも今ちょっと忙しいので、少し検討させていただいてもいいですか」と言うのと「お声がけいただき本当にありがとうございます。前向きに検討させていただきますね」と第一声で言うのとでは、仕事の話を持ってきてくれた方に対しての印象が全く違います。
「でも」という逆接の接続詞は、相手の語ったものとは逆の内容を話すために使う言葉なので、仕事をオファーした人は「オファーしない方がよかったかも」と思ってしまうかもしれません。そうすると、次回以降に素敵なチャンスをいただけなくなってしまいます。
チャンスは、人とのつながりで生じるものです。「でも」ではなく「いいですね」や「ありがとうございます」といった相手の言葉をきちんと受け止める表現を普段から使っていくと、より良い関係を構築でき、チャンスをものにすることができると思います。
完璧主義者であるほど、アクションの数が減ってしまいます。自分が「完璧」と思うまで、行動を起こさないことが多いからです。日本人は特に、完璧主義的な考えを持っている人が多いように思います。「失敗してもいいから挑戦する」という精神が身についている人は、多くありません。
伝統的な日本の学校教育ではミスを許さず、先生は「ケアレスミスがなく、完璧な状態になるまで、調べたり解き直しをしてから課題を提出しなさい」という指示を出します。その教育が無意識的に根付いているせいか、大人になっても完璧を追い求めすぎてしまうのです。
特に、自分がやったことがない仕事のオファーをされたときには「他の人の方が完璧にこなすことができるのでは?私がやると失敗してしまうかも」という強迫観念にかられてしまい、その仕事を断ってしまうかもしれません。
ビジネスの世界では、失敗から多くのことを学ぶことができます。仕事のオファーを受けたとき、今の自分がその仕事に対して完璧な状態でなかったとしても、とにかく挑戦をした方が良いのです。
仕事先のパートナーから至らない点を指摘されることもあるかもしれませんが、その指摘を通じて自分自身を成長させていけば、自分のできることがさらに増えてきます。そうすれば、チャンスをものにする機会も増えていくでしょう。
チャンスをものにするための具体的な習慣があります。
チャンスをものにするための習慣 |
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・SNSで自分の情報を定期的に発信する ・メールやSNSの返信は早くする ・人と会い、聞き上手になる ・相手を承認する言葉を増やす |
これらのアクションを意識的に行い、習慣化していってください。チャンスを得る確率が上がります。
週に一回、または月に一回、自分の仕事に関する活動報告をしましょう。自分の価値観や考え方について発信するとなると筆が進まない場合もあるので、事実を記述することから始めていけばよいかと思います。
例えば、「先日、〇〇でアントレプレナーシップに関するセミナー講師をしてきました。参加してくださった皆さん熱心に、ワークシートを用いて自分の中に眠っている起業家精神と対話をしていました!次回は〇月〇日にセミナーを開きます」というような短い文章で十分です。
活動に関する写真があるとより読んでもらいやすくなりますが、写り込んでいるものの権利関係には注意してください。一歩間違えれば信用が一気に落ちてしまい、チャンスをものにできなくなってしまいます。
自分の判断ですぐに答えることができる内容の場合は、メッセージを見たらすぐに返信。すぐに回答することができないような場合は、「ご連絡ありがとうございます。検討させていただきまして、本日の17時までに再度ご連絡させていただきます」と返信すれば「レスポンスが早い人だ」と相手方は認識してくれます。
レスポンスが早いと、「仕事ができる人」「決断力がある人」と相手方は思ってくれて、チャンスをあなたに渡してくれるかもしれません。
毎月必ず何かしらのセミナーやシンポジウムに参加しましょう。そこで、必ず隣に座った方と名刺交換をしてみてください。一番最初に自己開示をしつつ、いろいろと教えて欲しいというスタンスで、質問しましょう。相手が8割ぐらい話をしていれば、大成功です。
相手方はあなたを「話しやすい信頼できる人」と認識して「また話をしたい」「仕事を任せてみたい」と思ってくれるかもしれません。
相手の考えや提案を肯定してあげる言葉を使うように心がけましょう。第一声で「でも」のようなネガティブにとられるような言葉は控えるように意識し、その代わりに、相手を承認するようなポジティブな表現を発するようにします。
相手の提案を断る場合でも、まずは一度承認。よく例に出されるのが、ドラえもんのしずかちゃんです。しずかちゃんはのび太くんや友達に遊びに誘われたときに「私も一緒にいきたいわ。でもピアノのお稽古があるから行けないの。明日ならいいわ」と一度相手を承認したうえで断りを伝え、そして代案を出すことで相手との関係性を継続したいという気持ちを伝えています。
ポジティブな表現で始まり、ポジティブな表現で終わる。このことを意識することで、相手はあなたに対してポジティブな態度になり、繰り返しチャンスを与えてくれる存在になるかもしれません。
日本の学校教育は、実社会で必要なスキルや心構えを十分に育むことができていないという批判があります。筆者自身も中高一貫校で働いているとき、同じように思っていました。
実社会では多くの問題に「正解」は存在せず、自分で行動を起こし、試行錯誤しながら解決策を見つけることが求められます。しかし、日本の学校教育は、既に存在する解決策を学び、それを忠実に再現する能力に重点を置いています。
このような教育環境では、学生たちはリスクを避けるようになってしまいます。失敗を恐れ、積極的に行動できなくなってしまうのです。その結果、将来チャンスを見つけても、それを掴むための行動を起こせない人が増えてしまいます。
学校教育の段階で、答えがない状況に対処する能力や行動力を養うことができれば、学生たちはより積極的にチャンスを追求できるようになるでしょう。
チャンスは、ただ待っていれば自然と訪れるものではなく、行動を起こすことで初めて生まれます。自らリスクを取って挑戦することで、新たな機会を見つけ、それを掴むことができるのです。
チャンスをものにするためには、答えのない問題に挑戦する力や、失敗を恐れずに行動を起こす姿勢が必要なのです。
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