目次

  1. 柔軟な輸送サービスの提供に貢献
  2. 会議のスタートを午前10時に
  3. 混乱なく制度を導入するための工夫
  4. ラッシュ回避で高まるモチベーション
  5. 効率的な働き方と家族生活にプラス
  6. 柔軟な働き方の選択肢を増やす

 JR東日本メカトロニクスは交通系ICカード「Suica」や決済ソリューションの企画開発、駅のホームドアシステムや出改札設備等の開発、施工、メンテナンスが主な事業です。社員数は1392人(2024年4月時点)にのぼります。

 元々、本社はフレックスタイム制度を採用しており、社員が自分の生活スタイルに合わせて通勤するという風土がありました。その流れをさらに加速しようと、2023年5月にオフピーク定期券を社内の通勤制度として導入しました。

 人事部長の宮崎佐知子さんは「JR東日本グループの一員として、通勤時間のピークシフトに積極的に取り組み、柔軟な輸送サービスの提供に貢献するため、オフピーク定期券を導入しました」と話します。

 オフピーク定期券は東京周辺のJR線が対象で、平日朝のピーク時間帯以外のほか土日祝日も利用可能です。2024年10月1日から、割引率がそれまでの約10%から約15%に上がりました。JR線(対象エリア内)と私鉄・地下鉄線にまたがるSuica通勤定期券(連絡定期券)でも、オフピーク定期券の発売が可能で、JR線の運賃に割引が適用されます。

 JR東日本メカトロニクスでは、全社員に通常の定期券代を支給し、オフピーク定期券の購入は個人の判断としています。

 オフピーク定期券の導入でピークシフトを進めるため、JR東日本メカトロニクスでは、朝一番の会議を原則、午前10時スタートに変更しました。

 宮崎さんは「それまでは午前9時半ごろに始めることが多かったのですが、オフピーク定期券の導入に合わせて遅らせました」。それに伴い、出社のピーク時間も30分ほどずれて、午前9時半ごろになったといいます。

 現在、オフピーク定期券の利用は、対象者184人のうち117人(64%、2024年8月末現在)に広がっています。

 宮崎さんは「思った以上に社員が賛同してくれたと思います。特に中途入社の社員からは、色々な働き方の選択肢が用意されているのはありがたいという声も聞きます。方向性は間違っていなかったのかなと感じています」と手応えを口にしました。

 現在の利用率については「高い数字」と受け止めつつ、特に目標を定めていないといいます。「選択は社員の皆さんにゆだね、引き続き自由で柔軟な働き方を推進していきたいと考えています」

 オフピーク定期券の導入にあたって懸念されたのは、給与や手当を計算する人事部担当者の負担が増すのではないかということでした。

 社内で検討を重ねた結果、オフピーク定期券を選んでも、通常の定期券代を支給するという運用で、通勤手当の処理作業に極力、新たな負荷をかけないようにしました。

 通常の定期券代を支給する場合、会社側にコストダウンというメリットは無くなりますが、宮崎さんは「担当者の労力を考え、通常の定期券代を支給する方が効果的だと判断しました」。

 人事部の担当者はオフピーク定期券の利用を広めるため、社員への説明資料を作ったり、何度もオンライン説明会を開いたりしました。宮崎さんは「会社の思いが一方通行にならないよう、担当者が双方向のコミュニケーションを頑張ったおかげで、混乱なく制度を導入できました」とたたえます。

宮崎さんは、オフピーク定期券の社内での周知やスムーズな導入を進めました
宮崎さんは、オフピーク定期券の社内での周知やスムーズな導入を進めました

 実際にオフピーク定期券で通勤している、次世代ICカード部の金澤周平さんにも話を伺いました。

 金澤さんは約1時間、通勤電車に乗っており、「コロナ禍前はすし詰めで、通勤するだけで疲れていました」と振り返ります。

 2024年2月にオフピーク定期券を購入しました。共働きの妻と、2人の子どもを育てていますが、長男が4月に小学校に入学するため、生活リズムが変わるのがきっかけでした。

 「これまでは長男と次男を朝早く保育園に預けて出勤していました。しかし、小学校の登校時間はそれより遅くなるため、長男を見送った後に次男を保育園に送って通勤する生活サイクルになります。通勤電車に乗るタイミングがピーク時間を外れることになり、価格の安いオフピーク定期券を利用し始めました」

 出社のタイミングは20分ほど後ろ倒しになり、金澤さんの通勤環境にも変化が生まれました。

 「通勤電車のスペースにもゆとりがあり、以前よりリラックスした状態で電車に乗っています。以前はスロースタートの面もありましたが、ピークシフトで始業直後のモチベーションが一層高まり、すぐに仕事に取りかかれるようになりました」

 オフピーク定期券導入によるピークシフトに合わせて、社内会議は午前10時スタートになりました。金澤さんは現場社員の立場から、会議の質の変化を感じています。

 「私が入社したころ、会議の長さは1時間単位が多かったですが、今は30分以内の会議も増えています。社内に小さな打ち合わせブースも増えており、細かい議題を随時話しあえるようになり、その分全体会議の時間が減って、効率的な働き方につながっていると思います」

 金澤さんは副課長職として、部下の生活スタイルも考慮した職場環境づくりを意識する立場でもあります。

 「お客様の都合などで、午前10時より早い時間に会議をする場合もあります。ただ、そのときも各自の生活リズムを尊重しながら、『今回は10時前の会議になるけど大丈夫?』といったコミュニケーションを取るように心がけています」

 オフピーク定期券の利用は、家庭生活にもプラスに働いています。

 「私の家では、朝は妻が出勤して私が子どもを保育園に送り、夕方は妻が子供を迎えに行く生活リズムです。今までは子どもが大人の生活に合わせていましたが、オフピーク定期券で朝の時間が増え、子どもも含めた家族がそれぞれのペースで動けるようになりました」

 金澤さんがオフピーク定期券を使い始め、ピークシフトを実現して半年が過ぎました。

 「改めて通勤のストレスはかなり大きかったんだと感じています。そうしたストレスが減れば健康につながり、ワーク・ライフ・バランスを尊重した職場になると思います。子育てだけでなく、介護などの事情を抱えている方も大勢います。家族間の柔軟な生活スタイルの選択肢を増やすには、ピークシフトの推進が有効なのではないでしょうか」

 オフピーク定期券によるピークシフトは様々な企業に広がっています。特に中小企業経営にはどんなメリットがあるでしょうか。

 人事部長の宮崎さんは「時代に合わせて、社員の働き方も見直しが必要になっています。オフピーク定期券は、柔軟な働き方もコストダウンも実現できる制度なので、業績アップにつながるのではないでしょうか。社員の働きがいを高めるためにも、導入を検討していただければと思います」と呼びかけます。

 JR東日本メカトロニクスでは、経営層や管理職からオフピーク定期券を率先して利用しているそうです。「中小企業でも、経営者の方が自ら試してメリットを感じていただくことで、社員の方に伝わるのではないかと思っています」

 中小企業の人手不足は大きな経営課題です。人事部長として多くの就職希望者と接している宮崎さんは、こう話します。

 「特に今の若者は福利厚生への期待や、社会貢献したいという意識が強くなっています。オフピーク定期券によるピークシフトも含めて柔軟な働き方の選択肢を示し、育児や介護、治療と仕事を両立させる環境づくりを進めることが、就職希望者へのアピール材料になり、優れた人材の定着にもつながるのではないでしょうか」

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提供      :東日本旅客鉄道株式会社
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