目次

  1. インバウンド補助金、地方誘客促進を中心に展開
  2. 地方創生プレミアムインバウンドツアー集中展開事業
  3. 地方における高付加価値なインバウンド観光地づくり
  4. 地方誘客促進に向けたインバウンド安全・安心対策推進事業
    1. 地域における観光危機管理計画の策定補助
    2. 観光施設等の避難所機能・多言語対応機能の強化
    3. 医療機関の訪日外国人患者受入機能の強化
  5. 国交省も空港受入環境整備に11億円を計上

 観光庁によると、2024年のインバウンド市場は円安の影響もあり、過去最高の旅行者数3500万人、旅行消費額8兆円が視野に入っています。一方、政府目標は2030年に旅行者数6000万人・旅行消費額15兆円を掲げています。

 目標達成のためには、娯楽サービス費支出が諸外国と比べて低い点を解消し、一人あたりの消費額も2万円以上積み増しすることと、一部の観光地への観光客の偏在を解消する必要があります。また、政府の「国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策」でも地方創生が強く押し出されています。

 こうしたなか、地域資源を活用した特別な体験などの観光コンテンツの造成や高付加価値なインバウンド観光地づくりを支援するとともに、海外への積極的な情報発信するため、観光庁は、政府の2024年度補正予算案に80億円を盛り込みました。

 2025年に活用できるインバウンド補助金は以下となる見込みです。

 観光庁によると、プレミアムインバウンドツアーとは、消費意欲が旺盛なインバウンド客をターゲットにした、日本の観光資源を生かした高価格帯商品のことを指します。消費額の向上だけでなく、コンテンツ単独でインバウンドの来日意欲を創出する効果も期待しています。

地方創生プレミアムインバウンドツアー集中展開事業
地方創生プレミアムインバウンドツアー集中展開事業

 具体的には、以下のようなツアーをイメージしています。

  • 通常飲食不可である特別名勝での茶懐石体験
  • 国指定伝統工芸品『越前和紙』のグランドマスターとの交流・工房見学
  • 国際スポーツ大会における選手との特別交流も含む特別観覧席

 事業の最低事業費は1500万円。1000万円までが定額で補助され、1000万円を超える額のうち、250万~3500万円までの補助率は1/2です。

 つまり、1500万円の事業費の場合、事業者側の負担は250万円となります。

 地方における高付加価値なインバウンド観光地づくりの事業は、以下のモデル観光地で2023年度につくったマスタープランをもとに、魅力的なコンテンツの創出、宿泊施設の高付加価値化、移動のシームレス化、地方への送客・ガイド・ ホスピタリティ人材の育成などを進めることを後押しする予定です。

地方における高付加価値なインバウンド観光地づくり
地方における高付加価値なインバウンド観光地づくり

 一人あたり100万円以上の着地消費が見込める高付加価値旅行者の誘客実績の積み上げを図ることを目的としています。

東北海道
八幡平及び周辺地域
山形
那須及び周辺地域
佐渡・新潟
北陸
富士山麓
松本・高山
伊勢志摩及び周辺地域
紀伊山地及び周辺地域
せとうち
鳥取・島根
鹿児島・阿蘇・雲仙
沖縄・奄美

 日本で大きな災害が頻発するほか、訪日客が増加し旅行中に医療機関を受診するケースも増えると見込まれるため、観光庁は、地域で観光客を含めた危機管理体制の検討・構築、多言語での正確な情報発信、観光施設等における非常時対応機能強化、医療機関のキャッシュレス決済等の整備などを後押しする方針です。

地方誘客促進に向けたインバウンド安全・安心対策推進事業
地方誘客促進に向けたインバウンド安全・安心対策推進事業

 具体的には3つの事業があります。

 各地域における訪日外国人旅行者を含めた観光客に対する災害時の対応方針等の計画策定を支援します。補助率は1/2で、補助上限は500万円です。

 訪日外国人旅行者の一次的な安全・安心確保のため、観光施設等における非常用電源装置や多言語対応AED等の整備、多言語機能の強化等の環境整備を支援します。補助率は1/2です。

 訪日外国人旅行者が医療機関を受診する場合の利便性向上に向けて、キャッシュレス決済の導入、医療機関内の多言語化等の環境整備を支援します。補助率は1/2です。

 国交省も、急速なインバウンド需要の増加に対応するため、航空機の運航に不可欠な人材の確保・育成、操縦士の安定的な養成・確保等の取組を推進するとともに、成田空港の「更なる機能強化」や中部空港の代替滑走路の整備を推進するために、政府の2024年度補正予算案に11億円を計上しています。