目次

  1. 衛星電話サービスとは
  2. ドコモ「ワイドスターⅡ」「ワイドスターⅢ」の通話料改定について
    1. 「ワイドスターⅡ」「ワイドスターⅢ」改定額 
    2. 通話料改定はいつから?
    3. 改定理由
  3. 「ワイドスターII」は2028年に提供終了
  4. 船舶業界はスターリンクの導入を検討か

 衛星電話とは、通信用の人工衛星を経由して、音声通話やデータ通信を行うことができる携帯電話機またはその通信サービスのことです。一般の固定電話や携帯電話のように地上の電話基地局ではなく、宇宙空間の人工衛星を経由するため、山岳地帯、海洋、砂漠など通常の携帯電話の電波が届かない場所などでも音声通話やデータ通信を使用できます。

 また、緊急時や災害時において、地上の通信網が使えない場合も通信が可能です。

 ドコモの公式サイトによると、改定後、通話料は以下のようになります。

 表示金額は税込み価格です。国際サービスの通話料には消費税相当額は加算されません。

改定前 改定後
携帯電話発衛星電話着の通話料 【ワイドスターII陸上】22円/30秒
【ワイドスターII船舶】55円/30秒
【ワイドスターⅢ】55円/30秒
【ワイドスターII陸上】177.1円/30秒
【ワイドスターII船舶】177.1円/30秒
【ワイドスターⅢ】177.1円/30秒
衛星発の通話料(国内向け) 【タイプM】 99円/30秒
【タイプL】 49.5円/30秒
【タイプリミット】49.5円/30秒
【タイプM】 297円/30秒
【タイプL】 148.5円/30秒
【タイプリミット】148.5円/30秒

 ドコモは、2025年4月1日から改定すると発表しています。

 ドコモは通話料改定の理由について、衛星電話サービスに関連するネットワーク設備の維持管理コストが継続的に上昇していることをあげています。これまでは、可能な限りコスト削減に取り組むことでサービスの品質確保と安定運用に努めてきましたが、自社の努力だけではコスト増に対応することが困難になったといいます。

 またドコモの公式サイトにおいて、2028年3月31日に、衛星電話サービス「ワイドスターⅡ」が提供を終了すると発表されています。提供終了に伴い、2025年3月31日に本サービスの新規申込受付も終了します。提供を終了する理由としては、2023年10月からサービス提供を開始した「ワイドスターⅢ」に経営資源を集中するためだとしています。

 光ケーブルのない海上でもインターネットに接続できる手段として、低軌道衛星を用いた「スターリンク」があります。しかし東幸海運によると、「スターリンクは緊急時の安全な通信を確保する国際的な制度『GMDSS』に対応する通信機器として認められていない」といいます。そのため、スターリンクを導入してもドコモの「ワイドスターⅡ」「ワイドスターⅢ」を継続して搭載する必要があります。

 東幸海運で代表取締役を務める笹木重雄氏は、CNET Japanの取材に対して「Starlinkを導入する場合、内航船で一般的な1TBのマリタイムシェアプランでは、概算で船舶1台あたり20万円ほど費用が増える」と述べています。

 船舶業界では値上げを受けて、従来の衛星電話と併用する形で、スターリンクの導入が進むとみられています。